AND MORE

2023.09.09

世界で4枚のはずだったミステリアスなコインとは

世界の富裕層の間で高い注目を集めるアンティークコイン。40年以上にわたってコイン販売専門店を経営し、日本におけるアンティークコイン収集の第一人者である大谷雄司氏が、資産性、アート性、歴史的価値などその多様な魅力を解説する連載の第11回。

エドワード8世戴冠記念 5ポンド金貨
Pick-up Coin》エドワード8世戴冠記念 5ポンド金貨
「王冠を賭けた恋」としても知られるエドワード8世とアメリカ人女性ウォリス・シンプソンとの恋愛譚(たん)。戴冠記念のプルーフセットは試作品として4セットのみ残されたはずだったのだが、1998年にそのセット以外の5ポンド金貨が発見された。製造の経緯などはいまだ謎のまま。市場価格は約¥250,000,000。

運がよければ手に入る!? “存在しないはずのレアコイン”

彼は、王位継承後に離婚歴のあるアメリカ人女性と結婚すべく、わずか325日で王位を退いた。そのため戴冠式は行われず、王室造幣局はコインの発行を断念。ロイヤルファミリー用など4セットのみを試作品として残したとされていた。

「ところが1998年、このセット以外の金貨が突如市場に現れました。当時の造幣局関係者が非公式に製造し、隠し持っていたという説が有力です」

エドワード8世戴冠記念 5ポンド金貨の裏面
エドワード8世戴冠記念 5ポンド金貨の裏面。

似た話はアメリカにもあり、製造されていないはずの1913年製の5セント白銅貨が発見されたことがあるという。

「今では考えられないことですが、半世紀ほど前までは、造幣局長や局員が勝手にコインを製造して持ち帰ることもあったようです。ソ連崩壊時には、給与が支払われないことに腹を立てた国立造幣局員が、コレクターから私的にコイン製造を請け負い、お金を稼いでいたという話もあります。本来存在しないはずのレアコインが、今後も見つかるかもしれません」

Yuji Otani
1978年に外国貨幣の鑑定・販売を手がけるダルマを設立。自身も数千枚のコインを持つ収集家であり、著書に、『あなたも虜になる アンティークコイン』(幻冬舎)等がある。

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=古谷利幸

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2025年1月号

シャンパーニュの魔力

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2025年1月号

シャンパーニュの魔力

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ1月号』が2024年11月25日に発売となる。今回の特集は“シャンパーニュの魔力”。日本とシャンパーニュの親和性の高さの理由に迫る。表紙は三代目 J SOUL BROTHERS。メンバー同士がお互いを撮り下ろした、貴重なビジュアルカットは必見だ。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる