35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第207回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
トラフィック イズ ステイショナリーとは何事か
英語ペラペラの韓国人の友人が、1年ぶりに日本に遊びに来たので会おうということになり、新宿駅で待ち合わせをしました。当日、彼女はいろいろ観光をしてからタクシーで来るということ。けれども待ち合わせの時間になってもなかなか来ません。
なにかあったのかと思って電話をしてみると、第一声で彼女はこう言いました。
Sorry! The traffic is stationary we haven’t moved.
英語で電話をするのはいつも緊張します。
というか、ほとんど英語の喋れない私が彼女と友達でいられるのは、
彼女の日本文化への理解度が高すぎて、「多分こう言いたいんだよね?」といつも私のヘタな英語を噛み砕いてくれるからです。もちろん彼女は話す時もゆっくり、優しい言葉を使ってくれます。
しかし、その日は遅刻して焦っていたのか、早口でした。しかも電話なので顔が見えず、どういうことを言おうとしていたのか、うまくニュアンスがつかめませんでした。
トラフィック イズ ステイショナリー。
そこだけは聞こえたのですが、ステイショナリーって、「文房具」という意味の名詞だった気がします。
であれば、「交通状況は文房具」ということになってしまいますが、これはどういう意味でしょうか。
とりあえず、遅刻していることはわかったので「大丈夫、ゆっくり来て」とだけ言って電話を切ったあと、こっそり調べたら、結構同じ勘違いをしている人がたくさんいました。
Stationery=文房具
Stationary=「静止して動かない状態」を表す形容詞
ということでした。一文字違うだけで全然意味が違いました。
ですので、彼女は「渋滞していて、クルマが動かないの。全然進んでないの」と言っていたみたいです。
リスニング能力のない私には、どちらの発音も同じ「ステイショナリー」と聞こえるのですが、ネイティブや英語が上手な方からしてみれば、ちゃんとeとaの発音は区別されているようなので、すぐにどっちを言っているのか聞き分けられるそうです。
一文字違いで、意味不明に!
一文字違うだけで意味が違うなんて、音も似ているし困るな、英語って難しいな、と思ったのですが、日本語だって「不倫」と「プリン」とか、一文字違うだけで致命的に違うものになる言葉は多いので、これはどの言語も共通のことなのでしょう。
そういえば、ちょっと昔に「#名作を1文字変えて微妙な感じにする」というハッシュタグで「我輩は猫である」を「我輩はおこである」と変えている人がいて、笑ったのを思い出しました。
一文字違い、注意したいと同時に、aとeを聞き分けられるリスニング能力をつけられるよう、日々たくさん聞いていかないとな、と実感しました。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。