35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第193回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
フェンスの上にいるってどういうこと?
日本の政治や文化にとても興味を持っているアメリカ人とたまにスカイプします。その方は、選挙が近づくたびに、どの党に投票するのかすごく聞いてきます。
一応、政治と宗教の話はあまりしないようにしていますので「いやぁ、まだ決めてなくて」といつもお茶を濁しています。
その際に一度、こう言われたことがありました。
You can't sit on the fence any longer.
直訳すると、「これ以上フェンスに座っていることはできない」となります。私は別にフェンスに座ってスカイプしていた訳ではありません。
「は? ちゃんと椅子に座っているけど。しかもこれ、最近自宅仕事が多いから奮発して買ったちょっといい椅子だけど?」とわざわざ椅子をスカイプの画面に写して見せたら、笑われました。
on the fence=決められず迷っている状態
ということでした。例えば“I am on the fence.”と言えば、「私はまだ決めていない」「まだ迷っている」ということになるそうです。ケンブリッジの英英辞典ではこういう例文がありました。
Todd’s still sitting on the fence, trying to decide which school he wants to go to.
「トッドはどっちの学校へ行くか決めようとしているが、まだ迷っている」
ということでしょう。
You can't sit on the fence any longer.
アメリカ人が言ったこのフレーズは「いつまでもフェンスに座っていてはいけない」となり、つまり「いつまでもグスグスしていないで決めなさい」という意味なのでしょう。
そもそもフェンスは家と家の間にあるもので、そのフェンスの上にいて、どっちの家に行くか決めかねている、という状態を表しているのだそうです。
レストランで迷った時に使える!
さらに“Sit on the fence.”だと、そのフェンスの上に腰掛けてしまってずっと動かず、どっちつかずの状態を続けていることになります。なので「いい加減立場を決めろ!」と若干非難している表現だったと思われます。
“Stop sitting on the fence.”というフレーズもあるようで、これもやはり「グスグスしないで立場をはっきりさせろ」というちょっと怒っている際に使うフレーズだそうです。
もちとん立場とか、政治とか、小難しいシチュエーションだけではなく、レストランで「魚にするか肉にするか迷っている」という際にもこのように使えるみたいです。
I am on the fence between these two.
(このふたつの間で迷っている)
レストランやショップで悩んでいる際、いつも私は “I am worried about these two.”と言ってしまっていましたが、これは「このふたつについて思い悩んでいる」という意味合いになり、「どっちがいいかな〜」というよりはもっと深刻に悩んでいると受け取られるようです。
ちなみに以前私は、よく当たると評判の占い師さんの取材に行った際に、「あなた、決められない人でしょ」と言われたことがあります。
確かに、レストランで席に着くなりすぐ注文を取りたがるウエイターさんがいる店は、「まだ決まってないのになあ」とハラハラします。
“I am on the fence.”は、決められない人にはかなり使えるフレーズかなと思います。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。