35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第189回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
私は暗闇の中にいます!? I am in the dark.の英語の意味、わかる?
先日、仕事で沖縄に行きました。
ホテルには外国人のお客さんもちらほらいて、受付の方は流暢な英語で対応されています。
次の予定までロビーに座って待機していた私はぼんやりと、その会話を聞いていました。
Do you know how to get to that place?
受付の方が外国人の方に「その場所への行き方をご存じですか?」と訊ねています。
すると、英語ネイティブと見られる外国人の方はこう答えました。
No, I'm completely in the dark.
直訳したら「いいえ。私は完全に闇の中です」となります。
「闇の中にいる」という大袈裟な表現を聞いて、ぎょっとしてふり返り、その人の顔を見てしまいました。
確かに困っている様子でしたが、「闇の中にいる」というほどに、落ち込んでいる感じではありません。受付の人は落ち着いた様子で地図を見せて、なにやら道を説明しているようでした。
I am in the dark.=まったくわかりません
という意味でした。
ケンブリッジの英英辞典によるとこう説明されていました。
not informed about things that might be useful to know
(知っておいた方がいいことを、知らされていない)
例文にはこうありました。
Our boss tends to keep us in the dark most of the time.
私たちの上司は、だいたいにおいて私たちを、なにも知らない状態にしがちだ。
これはつまりは「上司はいつも詳細を教えてくれない」ということでしょう。
「あとはお願い」と、途中までやっていた仕事を部下に放り投げ、引き継ぎもままならない上司とか、確かによくいます。「上司が詳細を教えてくれない」は、英英辞書に載るくらいインターナショナルな現象だったのだと、ちょっと感動してしまいました。
米軍関係者に人気の“coco”とは
また、もうひとつの例文はこうでした。
“Do you know anything?” “No, I'm completely in the dark, like everyone else.”
「なにか知っている?」「いいえ、私も他の人と一緒、なんにも知らない」
この“No, I'm completely in the dark. ”は、まさにその外国人の方が言った言葉と一緒でした。
2つの例文から見るに、このフレーズは「知らされていない」「情報を教えてくれなかった人のせいで困っている」という状態で使われるようです。
確かにその外国人の方も、沖縄だというのにちゃんとジャケットを着ていたので、観光ではなくビジネスでいらしたのでしょう。「弊社にお越しください」と言われたのに、その会社の住所や行き方を教えてもらっていなかったのかもしれません。
ビジネスでは、「情報共有されていなかった」ということは結構あるので、そういう時に、このin the darkというフレーズはかなり使えるなと思いました。
蛇足ですが、沖縄で乗ったタクシーの運転手さんが「このあたりには米軍の兵士が多いから、自然と私たちも英語が話せるようになるんですよ」と言っていました。
「でね、米軍のお客さんを乗せる時、1番言われるのが“Go to coco.”なんです」
とも運転手さんは言っていました。
「coco? ココってなんですか?」
と聞いてみたら、カレー屋「CoCo壱番屋」のことでした。
なぜか米軍関係者に人気で、2021年には、全国のCoCo壱の売上ベスト1〜3位のすべてが沖縄の店舗だったそうです。
沖縄にいると、ホテルのロビー、タクシーの座席と、座っているだけで英語の勉強になることがたくさんありました。ぜひまた行かせてもらえるよう、「詳細を教えてくれない」上司にも食らいついて、仕事をしていきたいと思います。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。