筋肉美をもつ女神シリーズ54人目は、キム・ユンジ。
典型的な“痩せ型肥満”からの進化
現役の看護師でもあるキム・ユンジ。体の弱かった祖母を中学1年生の頃から看病するようになり、「寄り添い誠心誠意を尽くすことで、弱った人が健康を取り戻していく姿に喜びとやり甲斐を感じて看護師になりたいと思った」という。
その夢を実現するために看護学科のある大学に進学し、夜通し勉強を続けて国家試験にも合格。念願叶い看護師になったものの、現実は甘くはなかった。
日勤と夜勤を繰り返し、時には徹夜勤務もある日々。2020年からは新型コロナウイルス感染症のパンデミックもあって、コロナ病棟に臨時派遣されることもあった。まさに朝から晩まで業務に追われる毎日で、気がつくと体が危険信号を発していたという。
「全身の筋肉量が減って下腹部がポッコリと出た、典型的な痩せ型肥満の体型になっていたんです。重いものを持ったり、ちょっと走っただけで息切れしてしまうほど、体力も落ちていました。学生時代はバレーやバドミントン部の部長も務めるなど、スポーツ好きだっただけに、ショックでした」
患者たちの健康を管理する立場にあるはずの看護師が、自らの健康も管理できていなかった。ユンジはすぐに食生活を改め、看護師の業務スケジュールに支障がない範囲でできる体力強化方法はないかと考えた。
シフト勤務の看護師に合った運動とは
「慣れ親しんだバレーやバドミントンも考えましたが、同好会のスケジュールに合わせるのは簡単ではなかったし、自分のワークスタイルに合ったスポーツもなかなか見当たらなくて……。
そうこうしているうちに行き着いたのがウエイトトレーニングだったんです。筋トレなら、一人でいつでもどこでもできますからね。仕事がないときはジムに行き、パーソナルトレーナーの指導を受けながら正しい姿勢や効果的なフォームもマスターして、体を鍛えました。
看護師は不規則なシフト勤務なので辛いときもありましたが、運動をすることでストレスも発散でき、気持ちを切り替えることもできる。ジムに行くことで、心身ともにポジティブになりましたね」
筋トレの世界にすっかりハマったことで、日常にも活気が戻ったというユンジ。体力とエネルギーを取り戻しただけではなく、気持ちも前向きになり何事にも熱心に取り組むようになったという彼女は、自分の体の変化も実感したことで新しい挑戦を決心したという。
フィットネス大会初出場で入賞を果たす
「フィットネス大会に出場して自分の体を評価してもらう、自分の限界がどこまでなのか試してみようと思ったんです」
もっとも、その挑戦は決して楽ではなかった。
「大会出場を決めてからは食事量を段階的に減らしながら、トレーニングの強度をどんどん高めていきました。今振り返っても辛くなるぐらい、極限まで自分を追いこみましたよ。それでもトレーニングを続けられたのは “今は辛くても、それを乗り越えた明日はもっと素晴らしい自分になっている”という思いがあったからでした」
“明日の自分”を信じて頑張ることで得たことも多かった。フィットネス大会初出場で入賞する快挙を成し遂げたのだ。
「だから今も筋トレはやめられません。トレーニングが日常生活で欠かすことができないものとなりました。例えば旅行に行くときも、ウェイトトレーニング器具やフィットネス施設が備わっているホテルに泊まるようになりましたし、近所に新しいジムができると、一日利用権を購入して体験してみたり(笑)。今ではトレーニングが生活の一部になっています」
笑顔でそう語るユンジ。最近はその筋トレメニューや日々のルーティンを韓国のフィットネス専門誌『MAXQ』の公式YouTubeなどに投稿し、“フィットネス・クリエイター”の顔も持つ彼女は、これからますますその知名度を高めそうな予感だ。