記憶の整理や体のメンテナンスを睡眠時に行っている私たち。睡眠の質を上げることは毎日を快活に過ごすことに直結する。ここでは、健やかな睡眠へと導く「睡眠誘導」の方法をご紹介。『聴くだけで快眠、疲労回復! 脳休瞑想』より一部抜粋してお届けする。
免疫力の低下と肥満につながる睡眠不足
睡眠不足が長く続くと、具体的にどんなデメリットがあるのでしょう? まだお伝えしていないこととして、以下の2つがあります。
1つめに、交感神経が優位になり、自律神経のバランスが崩れて免疫細胞がダメージを受け、風邪をひきやすくなること。
2つめに、短時間睡眠の人は長時間睡眠の人に比べ、肥満になりやすいという傾向があること。これは、十分に寝ないとテストステロンの分泌が低下し、筋肉が増えず、基礎代謝が低下することから起きるそうです。
そもそも睡眠には、体と脳を休めて疲れを解消したり、細胞を再生・修復したりといった役割があります。そのため、質のよい睡眠は、心身の“メンテナンス”にとても重要なのです。
体内時計のリズムを保ち、質のいい睡眠を
このメンテナンスを担うのが、睡眠中に分泌される「成長ホルモン」。こちらの記事でもお伝えしたように、睡眠サイクルの中でもっとも深い眠りを得られるのは1回目か2回目のノンレム睡眠のとき。つまり、寝入ってから「最初の3時間」が大切なのですね。なぜなら、この3時間の間に、成長ホルモンが多く分泌されるからです。
成長ホルモンとは年齢にかかわらず分泌される物質。骨の修復や代謝の促進など、さまざまな作用があります。また、成長ホルモンは「メラトニン」によっても分泌が促進され、この分泌量が増えるタイミングで人は眠気が強くなります。具体的には、起床後、太陽の光を浴びてから14〜16時間後に、多く分泌されると言われています。メラトニンとの関係から見ても、質のいい睡眠をとるためには、体内時計のリズムを一定に保つことが重要と言えますね。
ここでは、就寝前の思考をゆるめて入眠へといざなう「睡眠誘導」をご紹介します。ぜひ、こちらからナレーションと心地よい音楽で構成された「睡眠誘導」の動画版をお試しください。
改めて、快活な毎日を作るのは、質の高い睡眠です。ここで挙げたポイントを参考に、心地よい睡眠タイムを目指してみましょう。
「睡眠誘導」のポイント
睡眠誘導は、スムーズに眠りに入るための準備として行います。仰向けになり顔や全身の力を抜いて、誘導の声と音楽に耳を傾けたら準備は完了です。ここでは、そんな睡眠誘導の概要をご紹介します。
①寝る前の準備
・照明を落とした空間で過ごす
・お風呂でゆっくり体を温める
・音量はやや小さめがおすすめ
・目の上にタオルやアイピローをのせて、少し圧をかける
②「睡眠誘導」スタート
今日も1日、おつかれさまでした。よく動いてくれた体と頭に感謝し、たっぷりと休ませていきましょう。今日はどんな日でしたか? 心が温まったこと、笑顔になれたことを振り返ってみましょう。温かい布団に包まれ眠れる幸せを、全身で味わいます。
③脚を伸ばす
背中をまっすぐにし、脚を伸ばしていきましょう。両脚に「今日もありがとう」と気持ちを込めて動かしていきます。ふくらはぎ、足の甲を伸ばし、かかとを押し出してつま先を前に倒しましょう。呼吸に合わせて、繰り返しましょう。
④鼻を通す
続いて、鼻を通していきます。まずは両鼻で1呼吸。指先で右の小鼻をやさしく押さえ、左鼻だけで呼吸します。次に、左の小鼻をかるく閉じ、右の鼻で呼吸します。吐き終わったら、両腕を伸ばしましょう。
⑤楽な姿勢で眠りへ…
手のひらを上に向け、肩甲骨を背骨に寄せて胸を開きます。やさしくお腹で呼吸しましょう。ゆったりと穏やかに続けます。吐く息ごとに全身の力を抜いて、楽な姿勢で眠りましょう。今日より幸せで、よりやさしく、より強く、より笑顔になれる1日を楽しみに。この後も、心地よい音楽に包まれながら、ゆっくりとお休みください。