ゴルフは時にビジネスに通ずる大切なことを教えてくれ、人生の幅をも広げてくれるもの。他のスポーツでは決して味わえない奥深い魅力や醍醐味を、ゴルフ好きな業界人に教えてもらった。今回は、俳優の木戸大聖氏に話を聞いた。【特集 GOLF:MORE THAN A GAME】

俳優。1996年福岡県生まれ。2017年俳優デビュー。Netflixオリジナルシリーズ『First Love 初恋』で一躍注目を集めた後、多くの作品に出演。映画『ゆきてかへらぬ』が現在公開中。
ゴルフは人と人をつなげてくれるツール
ゴルフの前夜は何を着て行こうかと頭を悩ませる。そんなことは学生の時以来かもしれないと話すのは俳優の木戸大聖氏。ゴルフとの出合いは5年ほど前で、番組の共演者から誕生日プレゼントとしてパターを贈られたのがきっかけになったという。
「もともとゴルフに興味はありましたが、軽くやってみたいなと思っていた程度で、こんなにのめりこむとは思っていませんでした」
父親がゴルフをやっていたこともあり、まったく触れる機会がなかったわけではないが、子供の頃は休日にやっているテレビ中継を目にしながら「こんなにゆったりしたスポーツのどこが面白いんだろう?」と思っていたと振り返る。
「スピード感もないですし、ゴルフに対してスポーツというイメージを持てなかったんだと思います」
中学、高校とバスケットボール部に所属し、汗を流してきた木戸氏だけに、そこと比較する部分があったのかもしれない。ただ、そんな木戸氏だが、いざゴルフを始めてみると、他のスポーツにはないある魅力に気づかされたという。
「ゴルフには人と人をつなげる不思議な力があると感じていて。例えば誰かとゴルフに行けば、ほぼ1日一緒にいるわけじゃないですか。当然距離感は縮まりますが、それと同じことが仕事場でも起こるようになって。現場でゴルフの話題が出ると、初めましての人でも急激に距離が縮まるようになったんです。特に仕事では年上の方々とご一緒することが多いので、コミュニケーションツールという意味でゴルフに助けられているなと感じる場面は本当に多いです」
そんな先輩ゴルファーのなかのひとりに、同じ事務所の大先輩である小栗旬氏がいる。
「旬さんの場合は集中しながらスポーツとしてやっている感じがありますね。黙々とプレイするタイプです」
小栗氏のように淡々とプレイをする人もいれば、ずっと喋りっぱなしのようなタイプの人もいる。ゴルフはよく性格が出るスポーツだといわれるが、だからこそ、ゴルフを通して木戸氏は人間観察をしているのかもしれない。
「共演する前にゴルフでご一緒することがあると、すでに関係性が構築できているので、いい雰囲気で作品に入れますし、結果的にいいものができるのではないかと感じています」
人間関係だけでなく俳優という仕事の質を上げる意味でもゴルフはひと役かっているようだ。
では木戸氏自身はどのようなタイプのゴルファーなのだろうか。好きなプロゴルファーは? との質問を投げかけてみた。
「最近は岩井姉妹のプレイが好きですね。妹さんの千怜プロがパー5のセカンドショットでドライバーを使って2オンに成功させたことがあり、魅せるゴルフというか、観客を喜ばせる姿勢が素晴らしいなと感じました。感情を出して盛り上げようとする感じが好きなんです」
見る人を感動させる。どこかで俳優という仕事と共通する部分を感じているのかもしれない。
「ゴルフって性格が出るじゃないですか。僕は負けず嫌いな性格なので、周囲に嫌な思いをさせない程度に悔しい時は感情を出すようにしているんです。そういうことも自分を知ってもらうために大切なことかなと」
相手のことを知り、自分のことを知ってもらう。芝居を演じるうえで大切なことをゴルフを通して手に入れようとしているのかもしれない。

ゴルフ歴|5年
ベストスコア|85
始めたきっかけ|番組の共演者の方から誕生日プレゼントでパターをもらったことがきっかけ。
年間ラウンド数|約20回
好きなコース|山梨県・レイク相模カントリークラブ
得意なクラブ|フェアウェイウッド、ユーティリティ
この記事はGOETHE 2025年5月号「総力特集|GOLF:MORE THAN A GAME 単なるゲームを超えるゴルフ、60通りの誘惑」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら