GOLF

2025.02.22

手打ちはダメ、体と腕をシンクロしないと! って、つまりどういうことなの?

今回はルドビグ・オーバーグのように体と腕のシンクロを高める練習法を紹介する。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン/ルドビグ・オーバーグのように体と腕のシンクロを高める練習法

完成度の高いオーバーグのスイング

ロサンゼルスの山火事の影響で例年開催しているリビエラCCから、同じカリフォルニア州南部のトリーパインズGC サウスコース(カリフォルニア州)に移して行われたジェネシス招待(2025年2月13日〜16日)。

最終日に3位からスタートしたルドビグ・オーバーグが66を出し、12アンダーで今季初勝利を挙げた。2023年「ザ・RSMクラシック」以来のPGAツアー2勝目となった。

最近のPGAツアーでは、大学在学中のアマチュア選手や、大学を卒業したての若手プロゴルファーの活躍が目立つが、スウェーデン出身のルドビグ・オーバーグもそのなかの一人だ。

2022年にアマチュア世界ランキングで1位となり、テキサス工科大在学中にはベン・ホーガン賞とジャック・ニクラス賞、ハスキンズ賞と米国学生ゴルフ界の賞を独占。

最強のアマチュアゴルファーとして2023年にプロ転向すると、11月のザ・RSMクラシックでツアー初優勝を果たし、2年目の2024年には初出場のマスターズで2位に入り、世界ランキングも10位以内に入った。

3年目の2025年はメジャーでの初勝利など、さらなる飛躍が期待される。

そのオーバーグの武器は、再現性の高いスイングだ。

精密機械のようなスイングから放たれるショットは方向性だけではなく、飛距離も申し分ない。スイングの完成度はPGAツアー選手の中でも5本の指に入るだろう。

アマチュアの皆さんにもお手本にしてほしい、基本に忠実で美しいスイングをしている。

オーバーグのスイングスキルはすべてにおいてレベルが高いが、そのなかでも特に素晴らしいのは体と腕のシンクロだ。

ゴルフスイングにおける体と腕のシンクロとは、両肘と胸でできた空間をキープしてスイングをすることだが、プロとアマチュアの一番の差はこの体と腕のシンクロにあると言ってもいいだろう。

オーバーグは体の動きを主体としてスイングをしており、腕はほとんど使っていない。アマチュアゴルファーは腕を振って手打ちになることがあるが、わきを締めて体の前に腕をキープするように意識をすることで体と腕がシンクロし、再現性の高いスイングになる。

体と腕をシンクロさせて下半身を使う

今回はオーバーグのように体と腕のシンクロを高める練習法を紹介したい。

体と腕がシンクロすることでスイングの再現性が高まり、手打ちが解消されてボールの方向性が良くなる。それに加えて、インパクトの際にボールに十分な力を伝えることができるので、飛距離が出るようになるメリットもある。

また、飛距離のばらつきが抑えられるため、縦の距離感を合わせることが可能になる。ライン出しショットなどのコントロールショットをマスターする必要がある中級者以上のゴルファーには欠かせないスキルだ。

よく「両腕でできた三角形の形を崩さない」という指導があるが、これも体と腕のシンクロを高めることを目的とした教え方だ。だが、実際のスイングでは、トップで右ひじが曲がるのでスイング中に三角形をキープし続けることは難しい。

しかし、両肘と胸でできた空間はスイング中にキープすることができるので、この空間にゴムボールやクッションなどを挟んで練習するといいだろう。

フィニッシュではこの空間を維持することは難しいので、フォロースルーで右腕が地面と平行になるあたりまでの振り幅で行ってほしい。その他に、わきにタオルを挟む練習や、片手打ちも体と腕をシンクロさせるために有効なドリルなので試してみるといいだろう。

スイング中は腕を振らずその場に留めることで、体と腕に一体感が出て、スイングがシンプルになる感覚が生まれるようにしてほしい。

オーバーグのスイングは、体と腕のシンクロさせたうえで、下半身を使って力強いスイングをしていることも見逃せない。

地面を踏み込むことでスイングを始動し、切り返しで左足をタイミングよく踏み込み、左脚を抜重させながら地面反力を使ってスイングをしている。オーバーグはスイング中に上半身を方向性をつかさどるハンドル、下半身を飛距離を生み出すエンジンとして使っており、教科書どおりのスイングを体現していると言っていいだろう。

アマチュアの皆さんも、ぜひオーバーグのスイングを参考に練習に取り組んでほしい。体と腕のシンクロ高めるドリルに取り組むことで、スイングは見違えるほど安定するはずだ。

動画解説はコチラ

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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