今回は連続動作でパッティングの成功率を高める方法を紹介する。
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アドレスで固まると思い通りに打てなくなる
ゴルフではアドレスの重要性が語られることが多く、コーチから「正しいアドレスを身につけてください」と繰り返し指導を受けた人もいるだろう。
ただ、アドレスを気にし過ぎるのも考えもので、まじめで一生懸命な人ほど、しっかりとしたアドレスをしようとして体を固めてしまいがちだ。
パッティングの場合、ボールを打つ動きは小さいので、アドレスを固めたほうが良さそうに感じるかもしれない。実際にパッティングアドレスで頭を動かさないようにしたり、下半身を固めることに気をつけている人もいるだろう。
しかし、意外に思うかもしれないが、パッティングにおいてアドレスで体を固定させることは効率的ではない。
なぜなら、人間は完全に止まった状態から再び動き出すことが苦手だからだ。止まった状態から動き出す「静から動」になると、始動がぎこちなくなったり、リズムが失われることがある。
それに対して、常に動き続ける「動から動」のほうがスムーズに動くことができてパフォーマンスも向上する。バスケットボールのフリースローや野球のピッチングなどでは、常に動き続けて投球モーションに移るが、スムーズな動作をするためには体を固めないことが大事なのだ。
パッティングでバックストロークを引くときにぎこちなく感じる人は、体を固定する意識を持っていることが原因かもしれない。
パッティングの名手は「固定しない」
1990年代にPGAツアーで活躍し、パッティングの名手として知られるブラッド・ファクソンは、現在はパッティングコーチとして、ローリー・マキロイらを指導している。
そのファクソンは、パッティングの際にアドレスで体を動かし続けることを推奨している。アドレスで揺れるように体を動かし続け、その流れで始動をする「連続動作」を行うことでスムーズなストロークができるという。
パッティングではアドレスやストローク中に頭やひざなどは固定したほうがいいと思われがちだが、無理に動きを止めることで体全体の動きがぎこちなくなり逆効果になる。それよりも常に体を動かし続けることで力を抜き、自然なストロークができるように心掛けることが大事だという。
パッティングアドレスで足踏みをしたり、ワッグルをするようにクラブを揺らしたりといった具合に、常に動き続けているプロゴルファーを見かけることがあるが、彼らのように自分に合った方法で体を動かし続けるようにするといいだろう。
このアドレスで動き続けることはパッティングだけでなく、ドライバーやアイアンでも同じだ。
下半身を固めたほうが安定しそうに感じるが、地面反力が使えず、飛距離をロスするだけではなく、手打ちにつながりやすい。ゴルフでは体の動きを無理に止めることは、非効率な動きにつながるので気をつけたい。
アドレスからスムーズな始動につなげるために、始動のきっかけとなる動きの「トリガーモーション」を入れるといいだろう。
フィル・ミケルソンのように手元を目標に寄せる動きなどが代表的なものだが、このような動きによって滑らかなバックストロークを行うことができる。
アドレスで揺らぎ動作を入れ、トリガーモーションによってスムーズな始動を行う連続動作によってストロークの再現性が高まるだろう。
パッティングの際はアドレスで固まらずに、毎回決まったきっかけでストロークを始動することでスムーズなパッティングができるようになる。
リラックスしたアドレスから滑らかなストロークができるように一連の動きのなかでボールを打つようにしてほしい。
動画解説はコチラ
◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。