GOLF

2024.10.11

「下半身でスイングをリードして腕は振らない」アマが取り入れたい、PGAトッププロのスイングをわかりやすく解説

レギュラーシーズンとプレーオフが終わり、来シーズンの出場権を巡って争うフェデックスカップ・フォールが始まったPGAツアー。大会の見どころとともに、アマチュアゴルファーが取り入れるべき、基本に忠実なパットン・キザイアのスイングを紹介する。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。

番外編「吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン」/アマが取り入れたいパットン・キザイアのスイング

来シーズンの試合出場を目指す秋の陣

PGAツアーはレギュラーシーズンとプレーオフが終わり、来シーズンの出場権を巡って争うフェデックスカップ・フォールが始まった。

2023年から始まったフェデックスカップ・フォールも2年目となり、試合数も昨年より1試合増え、日本でもZOZOチャンピオンシップも開催するなど盛り上がっている。

今回はフェデックスカップ・フォールの日程や見どころなどを紹介しよう。

フェデックスカップ・フォールはシンプルに言うと、来シーズンの出場権を争う最後の戦いだ。

現在のPGAツアーのフォーマットでは、年間王者を決めるプレーオフ最終戦の終了時点で上位70人に来シーズンのシード権が与えられる。シード枠は125人なので、残り55人のシード権はフェデックスカップ・フォールの成績次第となる。

100位以内の選手は125位以下に転落することは考えにくいため、現在80位台の久常涼は来シーズンのシードはほぼ確定(2024年10月6日現在)。120位前後の選手たちはシード権の獲得を目指して目の色を変えて戦うことになる。

また、シード選手のなかでもランクがあり、プレーオフ2戦目のBMW選手権に進出した50位までの選手は高額賞金のシグネチャー大会を含めたフル参戦権が与えられ、フェデックスカップ・フォールで順位は変動しない。

51位~70位の選手はシグネチャー大会以外のフルシード権となるため、シグネチャー大会の出場権を目指してポイントを稼ぐ必要がある。

最終戦のザ・RSMクラシック終了時点でフェデックスカップ・フォールのポイント上位10に入ると、来シーズンのシグネチャー大会のAT&Tペブルビーチプロアマとザ・ジェネシス招待に出場できる。

50位以内の選手でも、フェデックスカップ・フォールで優勝した選手には2年間のシード権や開幕戦とマスターズの出場権が与えられるため、優勝経験がない選手が勝利を目指して参戦することもある。

若手の躍進やベテランの復活などドラマが多い

2023年のフェデックスカップ・フォール初戦は、当時25歳だったサヒス・ティーガラがツアー初優勝を飾り、飛躍のチャンスをつかんだ。最終戦のザ・RSMクラシックで優勝したルドビグ・オーバーグもフェデックスカップ・フォールで勝利し、今シーズンのブレイクにつなげた。

優勝して自信をつけることができるうえに2年間のシードが約束されるのは大きい。少なくとも翌年1年間は順位をあまり気にすることなく試合に臨めるため、余裕をもってコンディションを整えられる。

もちろん、復活を目指す中堅やベテランも優勝争いに絡んでくるため、決して若手が優勝しやすいわけではない。

2023年は41歳のカミロ・ビジェガスが、バターフィールド バミューダ選手権で9年ぶりの優勝を果たした。ワールドワイドテクノロジー選手権を制したのは120位前後でシード権争いをしていた中堅、33歳のエリック・ファンローエンだった。

2024年のフェデックスカップ・フォール初戦のプロコア選手権は、9月12日から15日までシルバラードリゾート・ノースコースで開催され、38歳のパットン・キザイアが優勝した。

キザイアは196cm、97kgと恵まれた体格をしているが、2008年にプロ転向した後は芽が出ず、PGAツアーになかなか昇格できなかった。

2012年にジュニア時代から親しかったハドソン・スワッフォードやハリス・イングリッシュらが住むジョージア州のシーアイランドに引っ越したことが転機となったという。

シーアイランドは大西洋に面した高級リゾート地で、フェデックスカップ・フォールの最終戦、ザ・RSMクラシックが開かれるシーアイランドリゾートがある。この大会は地元に住むデービス・ラブ3世がホストを務めている。

このシーアイランドでキザイアはラブ3世をはじめ、地元のPGAツアー選手らと交流を深め刺激を受けた。特にラブ3世とは10回以上もコースを回り、生活習慣や考え方を学んだという。そして、3年後の2015年にPGAツアーの下部ツアー、ウェブドットコムツアーで賞金王となりPGAツアー昇格を果たした。

今回のプロコア選手権では初日から好調で、2日に通算13アンダーで首位に立つと、そのまま逃げ切り、最後は2位に4打差の快勝だった。

キザイアは6年ぶりの勝利によってフェデックスランキングは132位から70位に浮上し、来シーズンのシード権を手元に手繰り寄せた。

パットン・キザイアの体と腕のシンクロをマスターする

キザイアのスイングは基本に忠実なため、アマチュアにとっても手本となる。本人も「下半身でスイングをリードして腕は振らない」と言っているので、体と腕のシンクロを一番意識しているのだろう。

体と腕のシンクロとは、わかりやすく言えば体の動きに合わせて腕が動くということだ。ただ、体と腕のシンクロは思っている以上に難しい。なぜなら、多くの人は普段から使い慣れている手や腕を使ってしまうからだ。そのため、練習で普段の動きと異なる動きである、体と腕のシンクロを身につける必要がある。

体と腕のシンクロに関してはアドレスの肩と両腕でできた三角形を崩してはいけないと言われることがあるが、両肘と胸の空間を変えないことを意識するようにしてほしい。この空間にちょうどいい大きさのゴムボールを挟んでスイングする練習ドリルを取り組んでみよう。

ボールを挟んで素振りをすると、腕を振ってしまう人はバックスイングで右わきが開いてトップでボールが落ちたり、インパクトで両肘の間隔が狭くなってボールがつぶれて真上に飛ばしてしまう。スイング中にボールが落ちないように、腕を振らないスイングをするように気をつけて練習をしてみてほしい。

体と腕をシンクロさせることができればスイングの再現性が高まりミスも減るはずだ。シャドースイングでも十分効果があるので試してみてほしい。

動画解説はコチラ

吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=AP/アフロ

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