今回はアマチュアゴルファーにも参考になる、コリン・モリカワに学ぶ、アイアンの精度を高める方法を紹介する。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】。
PGAツアー屈指のアイアンの名手
PGAツアー選手のなかでも、日本人ファンの多い選手として名前が上がるのがコリン・モリカワだ。
モリカワは名前のとおり日系3世の米国人選手で、2021年の東京五輪でメダル争いをしたことや、2023年10月に日本で開催された「ZOZOチャンピオンシップ」で2年ぶりのツアー優勝を果たしたことを覚えている人も多いだろう。
メジャートーナメントでは、2020年に全米プロ選手権を制し、2021年には全英オープンでも優勝した。史上初めて2つのメジャー大会をいずれも初出場で制するという輝かしい戦歴を持つ。
モリカワは身長175cmとPGAツアー選手のなかでは体格に恵まれているわけではないが、正確なアイアンショットを武器にトップ選手として活躍をしている。
アイアンショットを含むグリーンへ向かって打つショットのスコアへの貢献度を表す「ストローク・ゲインド・アプローチ・ザ・グリーン」というスタッツがあるが、モリカワは2020-21年シーズンでPGAツアーNo.1となり、2023年シーズンもスコッティ・シェフラーに次いで2位だった。2024年のマスターズでもPGAツアー屈指のアイアンショットを武器に、3位に入る活躍を見せた。
体の回転で長いインパクトを生み出す
モリカワのアイアンショットは再現性が高く、アマチュアゴルファーにも参考になる。今回はモリカワのスイングからアイアンの精度を高める方法を紹介したい。
モリカワのスイングには2つのポイントがある。
一つ目はバックスイングで地面とクラブが平行になるハーフウェイバックでのクラブヘッドの位置だ。モリカワの場合、後方から見たときにクラブヘッドが手元よりやや外側にある。
このポジションにクラブヘッドがあることで、アドレスでつくった両ひじと胸の空間がキープしやすくなる。この空間をキープして体と腕の動きをシンクロさせた状態でスイングをすることで、スイングの再現性は飛躍的に高まるのだ。
これに対して、アマチュアゴルファーはヘッドが手元より内側に入ってしまうことがある。
バックスイングでクラブを内側に引き込んでしまうと、体と腕がシンクロせず手打ちになりやすいので、バックスイングの上げ方に気を付けてほしい。鏡の前でクラブヘッドが外に上がっているかを繰り返し確認してみてほしい。
もう一つのポイントは、トップの位置で左手首が手のひら側に折れる「掌屈(しょうくつ)」の状態になっていることだ。
モリカワは手首が掌屈しているため、トップでフェースの向きがやや閉じた状態になる。そのままの手首の角度で腰を早く回転させながら振り下ろすことによって、インパクトでフェースはスクエアに戻る。
手首を掌屈させることで、クラブと腕を1本の棒のように使いやすくなるため、インパクトゾーンでフェースの開閉が少なくなり再現性が高まるのだ。
デビュー当初のモリカワは、今よりもトップ・オブ・スイングでフェースが閉じていた。そこから腰の回転を先行させることでフェースをスクエアに戻していたのだが、この動きが過度になり振り遅れてしまうことがあった。
今はフェースがスクエアに近づいてきており、必要以上に体を先行させる必要がなくなったため、以前よりスイングの再現性が高まった印象がある。
モリカワは再現性の高いスイングで正確なショットを打つことで、体格の良い他の選手のパワーに対抗している。ぜひモリカワのスイングを参考に、再現性の高いスイングを身につけてほしい。
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■連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。