年に一度、全国のゴルフ関連企業が新商品や新サービスを紹介する「ジャパン ゴルフフェア 2024」が、パシフィコ横浜で2024年3月8日から3日間にわたり開催された。今年も国内外の200社以上が出展し、クラブやトレーニング機器などさまざまな商品を展示。プロゴルファーのトークショーやレッスンなどのイベントもあり、会場は大勢のゴルフファンや関係者でにぎわっていた。ティーチングプロ・吉田洋一郎が気になった注目ギアを紹介する。
【ジャパン ゴルフフェア2024レポート①】電気刺激で足を鍛えるフットフィット
1つ目に紹介するのは、シックスパッドの「フットフィット3ヒート」だ。
シックスパッドといえば、EMS(筋電気刺激)で腹筋などを鍛える機器を思い浮かべる人も多いと思うが、このフットフィット3ヒートは足の裏やふくらはぎを鍛える機器だ。
地面に置いた機器に足の裏やふくらはぎを乗せるだけで、筋肉が電気で刺激され、運動したのと同じように鍛えることができるという。
筋肉は大きく分けて、主に持久力を発揮する「遅筋」と、瞬発力を発揮する「速筋」の2種類があり、筋肉を増やすには速筋を鍛えることが必要だ。
通常の運動では遅筋から動きだすため、速筋を動かすには激しい運動が必要になる。しかし、EMSで電気的な刺激を与えると、速筋から動くため、負担の大きい運動をしなくても筋肉を鍛えられる。
実際、1日1回のトレーニングを8週間続けた結果、ふくらはぎの筋力が50%以上増加し、歩行速度も約10%向上するなどの成果が確認されたそうだ。
2018年に発売され、これまで累計100万台を出荷してきたが2023年11月にデザインや機能を一新。日々のトレーニング状況を記録する専用アプリも開発するなど、日々のトレーニングを継続するための機能もプラスされた。
フットフィットは、高齢者の足の衰えを防ぐのに効果があるが、もちろんスポーツのトレーニング用としても効果的。
シックスパッド独自のコアテクノロジーである「CMM Pulse」は、世界的な運動医科学の権威によるEMS理論と世界的トップアスリートのトレーニング理論、開発元のMTGの開発力の3つの融合によって生まれたものだ。
実証されたエビデンスに基づいたトレーニングで、効果的に筋肉に刺激を与えてスポーツパフォーマンスを高めることが可能。使用してみると、ふくらはぎにビクビクするような刺激があり、筋肉が鍛えられていることが感じられる。
足の筋力が衰えると、ラウンド後半に足が動かなくなり、思い通りのプレーができなくなることがある。足が動かなくなると手先でクラブを振ろうとして、飛距離が落ちるだけではなく方向性も損ねることになる。
ラウンド後半にスコアを崩してしまう悩んでいる人は、スキルの問題ではなく体力の問題かもしれない。特に、デスクワークが多く運動不足になりやすい人は、フットフィットで足の強化をしておくと、スコアアップが期待できるだろう。
【ジャパン ゴルフフェア2024レポート②】毎回同じアドレスを実現するウェルスタンス
ゴルフトレーニング用品を開発するフランスのウェルパットから、適切なアドレスを身につけられる練習器具「ウェルスタンス」が発売された。
ウェルスタンスはボード型の練習器具で、地面に置いてアドレスをチェックするシンプルな練習器具だ。
アマチュアゴルファーはボールを打つ練習は熱心にするが、アドレスを確認しながら練習に取り組んでいる人は少ない。
しかし、アドレスで適切に構えることができなければ、スイング中にアドレスの狂いを補正しなければいけないため、ショットの再現性が低くなる。目標にまっすぐに立っているつもりでも、気がつかないうちに肩の向きが右や左に向いてしまっている人は少なくない。
実際、プロゴルファーでも気づかないうちにアドレスが変化することがあるため、アドレスに狂いがないか日々の確認を怠らない。
国内女子ツアーで活躍する藤田光里プロは、今回のゴルフフェアでウェルスタンスを使用したレッスンイベントに出演し、ウェルスタンスのメリットを語っていた。
「いつも練習や試合会場で動画を撮ってアドレスを確認していますが、ウェルスタンスには鏡が付いていて、自分のアドレスの姿勢や肩の向きがボールを打ちながら確認できるので便利ですね」
ウェルスタンスがあれば、ボードを地面に置いて目標にセットするだけでスタンスやアドレスを確認することができる。
ボートの側面には、クラブごとのつま先位置を示す足型やボール位置が表示されているので、それに合わせて両足の位置を決めることで、日々変化しやすい足幅とボール位置の適切な位置を確認できる。
また、表面には鏡が設置されており、アドレスしたときの頭や肩の位置、両目のラインを確認できるため、目線のズレや体の傾きなども気づきやすい。
ウェルスタンスはフランス製の商品だが、日本での発売に合わせて製品全体のサイズやスタンス幅も日本人仕様に微調整しているという。
アドレスで間違ったクセが身につくと、なかなか治らないものだ。初心者のうちからこのようなアドレス矯正器具を使うのはもちろん、中上級者も日々のアドレスのチェックをおこなって不調を未然に防ぐようにするといいだろう。
ゴルフはやみくもに練習をすればうまくなるものではない。効果のあるツールを使って、効率よく上達することで自分の望むプレーができるようになる。ぜひ、今回紹介したツールを有効活用して、自分のゴルフをレベルアップさせてほしい。
吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。