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GOLF

2024.02.25

飛距離UP! PGAの新星・ダンラップに学ぶヘッドスピードUP法

吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。今回はPGAツアーに現われた20歳の新星・ダンラップが実践する、肩の縦回転で飛距離を伸ばす方法を紹介する。

アメリカン・エキスプレス・ゴルフ・トーナメントの最終ラウンド、4番ホールでティーショットを見つめるニック・ダンラップ。
アマチュアとして「ザ・アメリカンエキスプレス」を制覇したニック・ダンラップ。

20歳の大学生が33年ぶりのアマ優勝

PGAツアーの2024年シーズンは1月4日のザ・セントリーで開幕したが、第3戦のザ・アメリカンエキスプレスで突如として新星が現れた。アラバマ大学の2年生で約1ヵ月前に20歳になったばかりのニック・ダンラップだ。

主催者推薦で大会に出場したダンラップは初日5位タイと順調なスタートを切った後、2日目には3位タイに順位を上げ、3日目には「60」をマークして、パトリック・カントレーが持っているアマチュア最少ストローク記録に並んだ。

12アンダーはこの日の最少ストロークで、2位に1打差の単独トップ。最終日は70で他の選手の追い上げを受けたが、1打差で逃げ切って見事に優勝を果たした。

最終日は熾烈(しれつ)なトップ争いだったが、17番パー3で首位タイだったサム・バーンズが池に入れたことで1打リードする展開となった。

最終18番は2打目がグリーンからこぼれるなど危ない場面もあったが、最後は1.5mのパーパットをしっかり決めて、力強くガッツポーズを決めた。

アマチュアによるPGAツアー優勝は1991年のフィル・ミケルソン以来、実に33年ぶりだ。20歳29日での優勝はアマチュアとして史上最年少の優勝記録となる。

20歳のアマチュアといっても、ただの若者が勢いとツキだけで優勝したわけではない。

2021年「全米ジュニア」と2023年「全米アマ」を制して、タイガー・ウッズ以来の2冠を達成するなど、すでに広く資質は認められていた。

12歳での優勝スコアは「59」

ダンラップがゴルフを始めたのは10歳の頃から。特に両親が熱心だったわけでもなく、近くにゴルフ場があったため自然とゴルフの道に進んだようだ。

ダンラップは運動神経が抜群で、野球やアメリカンフットボールでも活躍する選手だったという。環境が違えば、野球選手でもアメリカンフットボールでも非凡な選手になっていただろうという声もある。

そんなダンラップはゴルフに夢中になり、毎日ゴルフ場で練習を続けた。営業終了後もこっそりコースで練習していたほど熱心に練習をしていたという。

12歳の時に地域のゴルフ場で行われたローカル大会で初めて優勝したのだが、その時になんと59のスコアをマークし、後続に13打差をつけて圧勝したという。

練習熱心な姿勢はその後も変わらず、15歳の頃には指導を受けていたプロに同行し、PGAツアー下部のコーン・フェリーツアーでキャディも務めていたが、ラウンドを終えるとトレーニングのため一目散にジムへ向かったという。

恵まれた才能に加え、地道な努力を行ってきたことが今回の勝利につながったといえるだろう。

ザ・アメリカンエキスプレスの賞金は151万2000ドル(約2億2360万円)だったが、アマチュアは賞金を受け取れない。しかし、プロに転向すれば2026年シーズン終了までのフルシード権を得られる。

一方で、アマチュアとしての出場が認められていた全英オープンには出場できない。また、大学生の大会を前に大学チームから離れることにも心残りがあり、プロに転向すべきか相当悩んだようだ。

だが、優勝から4日後にプロ転向を表明して、2024年2月1日から行われた米男子ゴルフツアー「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」に出場した。

会場のペブルビーチ・ゴルフリンクスは、PGAツアーでもなじみの名門コースで、海風の影響を受ける難コースとして知られる。

初めてコースを回るダンラップは「シミュレーションゴルフでプレーしたことがある」と周囲を笑わせたが、実際の試合はゲームのようにうまくいかなかったようだ。結果は80人中最下位と残念な結果に終わった。

だが、プロ生活は始まったばかり。プロとして多くのコースで経験を積み、さらに技術を磨けば、輝く未来が待っているだろう。

前後軸を使って肩を回転させる

ダンラップのスイングの特徴は、右肩がダウンスイングからインパクトにかけて下がり、フォロースルーで目標方向に出ていく点だ。この動きから、前傾角度を保ちながら肩を縦に回転させていることがわかる。

肩を縦回転させるときの軸を前後軸というが、前後軸の回転の速度を上げれば、スイングのスピードを上げ、より大きな力をボールに伝えられる。やや細身のダンラップが300ヤードを超える飛距離を出せるのも、前後軸の回転速度を高めてスイングスピードを上げているからだ。

前後軸の回転速度を上げるカギはやはり下半身にある。肩の縦回転のスピードを上げるには、地面反力を利用することが大切だ。切り返しで左足を踏み、ダウンスイング後半で左足を抜重させることで地面反力を使って肩を縦回転させることができる。

前後軸を回転させるイメージがつかめない人はクラブを短く持ち、体をグッと深く前傾させて、肩を縦に回転させてみるといいだろう。膝をがっちり固定するより、両膝を交互に伸ばしたほうが肩を縦回転させやすく、スイングスピードが速くなることが実感できるはずだ。

ダンラップのように地面反力を効率的に使って肩を回転させ、飛距離を伸ばしてほしい。

動画解説はコチラ

吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=AP/アフロ

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