今回はパッティングの軌道について。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】。
親指と手のひらでパターをはさむソーグリップ
プロゴルフの世界では「パットイズマネー」といわれ、勝敗に大きな影響を与えるパッティング。ボールを転がすだけなので身体的な能力はほとんど関係なく、アマチュアゴルファーがプロゴルファーに勝てる可能性のある唯一のクラブといえるだろう。
簡単そうに思えるパッティングだが、ゴルフが上達するにつれ、微妙な感覚を合わせる必要が出てくる。特にパッティングに大きな影響を与えるのは、グリップの握り方だ。PGAツアー選手のパッティンググリップを見てみると、十人十色でそれぞれ異なる握り方をしている。プロゴルファーも自分にあったパッティンググリップを見つけるために試行錯誤しているのだ。
近年増えているパッティンググリップの一つに、右手の指先でパターをつまむように握るクローグリップがある。ちなみにクローとは鳥やトカゲなどの鋭く曲がった鉤爪(かぎづめ)のことで、爪で物をつかむときの形に似ていることからクローグリップと呼ばれるようになった。
そのクローグリップと似た握り方にソーグリップがある。クローグリップは右手の親指とその他の指の指先でクラブをつまむようにして持つが、ソーグリップは指の付け根あたりでクラブを挟むようにして握る。
ソーはノコギリという意味で、ストロークのときの右手の動きがノコギリで木を切る動きに似ていることからソーグリップと呼ばれるようになった。
ソーグリップはマスターズや全英オープンなど通算16勝を挙げた往年の名選手、マーク・オメーラが取り入れていたことで知られている。オメーラはタイガー・ウッズの親友としても知られるが、他のPGAツアー選手とも親交があり、パッティングに苦しんでいたコリン・モリカワにソーグリップを使ってみるようアドバイスした話は有名だ。
ノコギリを使うように右手を動かす
今回は、パッティンググリップがしっくりこないという人のために、ソーグリップをマスターする方法を紹介しよう。
ソーグリップのメリットは手元を真っすぐ動かしやすく、ストローク軌道が安定しやすいことだ。パッティングの軌道が安定せずに、ひっかけたりプッシュアウトしやすい人に効果があるだろう。
ソーグリップの右手の握り方は、指先で握るクローグリップとは異なり、指の付け根あたりでグリップを挟むようにして握る。小指側の手のひらの側面の「掌外沿」をのこぎりの歯に見立てて、のこぎりで木を切る動きのように右手を動かす。飛球線に対してのこぎりをまっすぐ動かすようにストロークをすることで、直線的に手元を動かすことができるようになる。
他のパッティンググリップと同様に、ソーグリップも左サイドの使い方が重要になる。7対3で左手を意識してストロークし、左サイドとパターを一体化させるようにする。右手に力を入れてしまうとクラブがスムーズに動かないため、右手は柔らかく添えるようにしてほしい。左サイドを主導的に動かし、右手は軌道をガイドするイメージを持つといいだろう。
パターのグリップには相性があり、誰にでも合うわけではないが、今のグリップがしっくりこないと感じているのなら、一度ソーグリップを試してみてはどうだろうか。
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■連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。