世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム69回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
軌道よりフェースの向きの方が影響する
パッティングでヘッド軌道とフェースの向きのどちらがボールに影響を与えるだろうか。意識のしやすいヘッド軌道の方が影響が強いと思われがちだが、フェースの向きは軌道の4倍ボールの転がりに影響がある。そのため、パッティングにおいてアドレスした時にフェースがどこを向いているのかは非常に重要なことだが、フェースが目標に正確に向いている人は非常に少ない。今まで多くのプロやアマチュアを指導してきたが狙ったところにピッタリとフェースを合わせてアドレスで来ている人は20%ほどしかいなかった。
先日あるアマチュア2人に特殊なレーザー機器を使用して3メートルのパッティングのアドレスの向きをチェックした。
「吉田さん、アドレスのフェースの向きなんて、まっすぐになっているに決まっているじゃないですか!」
最新理論の打ち方ならともかく、今さらフェースの向きをチェックするのかと渋々アドレスに入ったが、一人目はフェースの向きはカップ1.5個分左、二人目はカップ2個分右を向いていた。
いつの間にか蝕むバイアスがカップインを阻む
この二人は80台でラウンドする経験と技術があるゴルファーだ。それにもかかわらず、なぜそれほどまでにパターのフェースの向きが狂っていたのか。それは彼らにバイアスがかかっていたからだ。ここでいうバイアスとは「人間が知らないうちに持ってしまっている偏った見方」と定義したい。
多くのゴルファーは適切なアドレスができていないことや体の癖によって、目線や体の向きがズレてカップに対してまっすぐにフェースを合わせることができていない。しかし、フェースの向きがまっすぐセットできていなくても、ストローク軌道を調整したりフェースを開閉させたりしてストローク中にアジャストする動きをいれることでボールを目標方向に転がしている。当然パッティングストロークが安定せず、ボールの転がりも不安定だがパッティングではドライバーなどに比べて明らかなミスが少なく、「目標方向に転がっていくし、こんなものか」という感じで問題意識を持たずにやり過ごすケースが多いのだ。
バイアスを取り去るために、フェースの向きをチェックをしてみよう。自分でチェックすることもできるが仲間に見てもらうといいだろう。3メートルの距離から仲間に後方からシャフトなど棒状のものを使ってフェース中央がどこを向いているのか確認してもらおう。人によってフックライン、スライスラインで誤差が大きい人もいるので曲がるラインでもチェックするといいだろう。
ゴルフにおいても普段の生活でも「自分の見えている世界」がズレていないか気を付けたいものだ。