GOLF

2023.04.22

“ボールはさみ”ドリルは、なんのためにやるのか!?

今回はボールはさみドリルについて。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……

両肘と胸でできた空間を崩さない

ゴルフレッスン書籍や動画などを見て「体と腕をシンクロさせる」とは、どのようなことだろうかと疑問に思った人は少なくないだろう。体と腕のシンクロに関して、「アドレスでできた三角形を崩さない」「手を体の前にキープする」という説明を聞いたことがあるだろうが、少しわかりにくいかもしれない。

シンプルに言うと、体と腕のシンクロとは体の動きに連動して腕が動くということだ。

体と腕のシンクロについて「犬がしっぽを振るのであって、しっぽに犬が振られるわけではない」と語ったのは、アーニー・エルスやリディア・コなど、多くのメジャーチャンピオンを指導した名コーチ、デビッド・レッドベターだ。レッドベターは、犬を体、しっぽを腕になぞらえ、体で腕をコントロールすることの重要性を説き、再現性の高いスイング理論を提唱した。

ほとんどのプロゴルファーは体と腕がシンクロしているが、アマチュアゴルファーは普段使い慣れている手や腕を使ってスイングをしてしまいがちだ。プロとアマチュアの差は、体と腕をシンクロしているかどうかと言ってもいい。

遠くにボールを投げるときは腕を振って投げるのが自然な動きかもしれないが、ゴルフは棒の先にフェース面が開きやすい特性を持ったヘッドがついているため、本能のままに腕を振ってもうまくはいかない。

腕を振ることで毎回同じようにスイングができればいいが、大抵のアマチュアは腕を振り戻すタイミング次第で右にも左にもボールが飛ぶ手打ちスイングになりやすい。腕の振りに頼らず、体で腕をコントロールすることでスイングの再現性を高め、飛距離を伸ばすことができるようになる。

ボールを胸の前に挟んだ素振りのドリル

一般的なレッスンでは「アドレスでできた胸の前の三角形を崩さない」などと指導することが多いが、実際スイングするときに三角形を保ち続けることはできない。三角形をキープしようとしても、トップで右肘が曲がるため、どうすればいいのか疑問に思う人も多いだろう。

そこで、今回は体と腕のシンクロの定義と身に付けるためのドリルを紹介しよう。

まず、体と腕のシンクロの定義だが、アドレスで両肘と胸でできる空間の形が変わらないこと覚えてほしい。スイング中にこの3点でできた空間をキープすることで、体の動きで腕をコントロールすることができる。

この空間が崩れる主な原因は、腕の運動量が多いことだ。バックスイングで腕の運動量が多くなることで、手元が背中側に移動してしまったり、右わきが開いてオーバースイングになると、ダウンスイングで腕を振り戻さなくてはならなくなり手打ちになってしまう。

この両肘と胸でできた空間を崩さないために、ボールを使ったドリルを練習に取り入れてみよう。練習方法はサッカーボールほどの大きさのボールを用意し、胸と上腕のスペースに挟んで素振りをする。ボールは自分の体格に合わせて、収まりのいい大きさのものを選んで欲しい。

ボールを挟んで素振りをすると、右わきが開く癖がある人は、バックスイングでボールが落ちてしまう。また、インパクトで右腕を振ってしまう人は、両肘の間隔が狭まって、インパクト後にボールが上に飛び出してしまうことがある。

スイング中にボールが収まったままスイングすることができれば、体と腕がシンクロしている状態と言える。今まで手打ちだった人は、最初はかなり窮屈に感じてスイングしづらいとだろう。

だが、その窮屈さによって腕を振ることができなくなるため、体を使わざるを得なくなり、徐々に体の動きが活性化してくる。最初はトレーニングだと思って、シャドースイングから始めるといいだろう。

体と腕をシンクロさせることができれば、スイングの再現性が高まってミスが少なくなり、ボールも真っすぐ飛ぶようになる。ぜひボールを使って両肘と胸でできた空間を保つドリルに取り組んでみてほしい。

【動画で解説はコチラ】

過去連載記事

連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

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TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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