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GOLF

2023.03.12

50歳を過ぎて300ヤード超えの飛距離を実現した男の練習法

シニア入りしてから飛距離を伸ばした、米シニアツアーのPGAツアーチャンピオンズで活躍するパドレイグ・ハリントンが実践する練習法を紹介する。

シニア入りしてから飛距離を伸ばしたパドレイグ・ハリントン

米シニアツアーのPGAツアーチャンピオンズで活躍するパドレイグ・ハリントンは、シニアツアー選手の中でも屈指の飛距離で知られている。PGAツアーチャンピオンズ2022年シーズンのドライバー平均飛距離は308.7ヤードを記録し、同ツアー1位となっている。PGAツアー2021-22年シーズンのランキングに換算すると、ホアキン・ニーマンに次ぐ35位にランクされ、PAGツアー選手と比べても遜色ない飛距離を誇る。ハリントンが元々飛ばし屋だったら20代のPGAツアー選手と同じくらい飛ばしても驚かないかもしれないが、ハリントンの2020年シーズンの平均飛距離は290.7 ヤードで飛ばない部類の選手だった。驚くべきことに50歳を超えてから約20ヤードも飛距離を伸ばし、飛ばし屋として開花したのだ。

もともと若い頃から名コーチ、ピート・コーウェンの指導を受け、2007年の全英オープンをはじめ3度のメジャー制覇を果たすなど華々しい活躍を見せていたハリントンだったが、30代後半から膝の痛みや視力の衰えに悩まされるようになり低迷が続いていた。かつての活躍を考えると、体調が戻ればシニアツアーで強さを見せるのも当然だが、それでもシニア入りしてから飛距離を伸ばすのは大変なことだ。

近年では、飛ばない選手が急激にドライバーショットの飛距離を伸ばし、アドバンテージを得るケースが増えている。最も印象深いのは、ブライソン・デシャンボーが肉体改造とスイング改造によって大幅に飛距離を伸ばした例だ。デシャンボーの場合、別人のように大型化した肉体改造に目が行きがちだが、スイングも大幅に変更し、地面反力を最大限活用したスイングとなった。

ハリントンの場合も同様に、50歳を過ぎて飛距離を伸ばしたのは地面反力を利用したスイングを手に入れたことが大きい。ハリントンはスイングコーチだけではなく、バイオメカニストに指導を受けながら、理に適った方法で飛距離アップに取り組んできた。デシャンボーのように戦略的にスイング構築を行うことができる、非常にクレバーな選手だと言っていいだろう。

ハリントンのシニアツアーでの初優勝は、2022年6月の全米シニアオープンだった。飛距離で他の選手を圧倒しながら3日目に5打差でトップに立ち、大量リードを維持してそのまま逃げ切った。2022年シーズン最終戦のチャールズ・シュワブカップチャンピオンシップでも、2位に7打差をつけて圧勝。惜しくも年間王者のタイトルには届かなかったが、シーズン4勝を挙げてランキング2位となり、米シニアツアーのルーキー・オブ・ザ・イヤーに選出された。今シーズンはDPワールドツアー・アブダビHSBC選手権で2打差の4位に入るなど、シニアツアーだけではなくレギュラーツアーでも活躍している。シニアツアーで手に入れた自信と勝負勘を武器に、まだまだレギュラーツアーやメジャーの舞台で活躍してくれるだろう。

ステップドリルで足の使い方と一連の運動連鎖を身に付ける

今回はハリントンが練習に取り入れている飛距離を伸ばすための練習法「ステップドリル」を紹介しよう。

ステップドリルは左右の足を積極的に動かし、地面反力を使えるようにするための練習ドリルだ。通常は左足を目標方向に一歩踏み出すだけという場合が多いが、ハリントンの場合は、左足の動きに加えてインパクト以降に右足を目標方向に一歩踏み出す独特なステップドリルを行う。このドリルを行うことで、左右の足を使って最大の地面反力を使うことが可能になる。

具体的な方法を紹介すると、まずはミドルアイアンを持ち、少し足幅を狭くしてアドレスをする。そして、いつも通りに始動し、バックスイング後半あたりで左足を目標方向に一歩踏み出し、インパクトからフィニッシュにかけて右足を目標方向に踏み出す。

切り返しで左足を踏み出す動きによって縦方向の地面反力を生み出し、その反力によって肩の縦回転が促進される。そして、ダウンスイング後半に右足で地面を押すことによって、垂直軸を回転させるトルクの力も利用できる。縦の地面反力とトルクの2つの力を使って体を回転させることで、ヘッドスピードを上げられるようになる。

このドリルは足を踏み出すタイミングが難しい。特に左足の踏み出しは、クラブがトップ・オブ・スイングに到達してから踏み出すのでは遅く、クラブを上げながら左足を踏み出す必要がある。この動作を行うことで、運動連鎖がスムーズになり、効率的に地面反力を活用できる。

普段のスイングでは上半身やクラブばかりを意識していて、足を使ったスイングが難しいと感じる人は、左右のどちらかの足だけで練習を始めても構わない。それぞれの足を踏み出すタイミングがつかめたら、両足で練習してみよう。うまくできるようになったら、実際にボールを打ち、クラブもアイアンからドライバーに変えていくといいだろう。

ステップドリルは短期間で習得するのは難しいが、足を踏み出すタイミングをつかみ、運動連鎖がスムーズになれば飛距離は大きく伸びるはずだ。

【動画レッスンはこちら】

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=青木紘二/アフロスポーツ

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