今回は膝の意識と地面反力について。連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……
【膝に力を入れすぎると地面反力を生かせない】
スイング中の膝の使い方に関しては「膝を固定する」「柔らかく使う」など様々なレッスンがある。アマチュアゴルファーの場合、下半身を固定しようとして膝をがっちり固めてしまっている人が多い。スイング中の膝には、地面反力や体の回転などの各種の動作によって、さまざまな力が働いているので、それらの力を妨げないように膝を無理に固定しないほうがいい。
例えば、インパクトで膝が伸び上がらないように力を入れて膝の角度をキープしていると地面反力を適切に使うことが難しくなる。ダウンスイングで地面を踏み込むことで反力が上方向に向かうが、膝の角度をキープしようとするとその力の伝達を阻害してしまい、地面反力を使えなくなってしまう。
【膝は受動的に動かす】
膝は基本的に一方向に曲げ伸ばし可能な関節だ。膝を回す準備運動があるが、あれは股関節と足首を回しているのであって、膝自体が回っているわけではない。
動く方向が制限されている膝関節を様々な方向に動かすことは難しいため、膝は股関節や足首などの自由度の高い関節に連動して動かすほうが効率的だ。特にゴルフスイングの場合は、膝の動きよりも股関節の動きを意識してスイングしたほうが効率的なスイングができる。膝はあくまでも脇役として受動的に動かされるイメージを持つといいだろう。
スイング中の膝の動きを、順を追って説明していくと、始動で右足を踏み込んだ後、上方向に向かう地面の反力を受けて右膝が伸びながら右股関節が切れ上がっていく。ここで右膝に力を入れて角度が変わらないようにしてしまうと、上方向に向かう地面反力を抑えつけてしまうことになる。しかし、意識して右膝を伸ばす必要はなく、地面反力を受けて自然に膝が伸ばされれば十分だ。
そして、トップからの切り返しで左足を踏み込むが、この時に意識して左膝を曲げようとする必要はない。左膝を曲げるのではなく、お尻を後ろに引きながら骨盤を前傾させることで、結果的に左膝が曲がる。スクワット動作のように、骨盤から前傾することで自然と膝に角度ができるので、膝が前に出るNGの動作にならない。
左足で地面を踏み込んだ後は、インパクトに向けて徐々に左膝が伸びていく。この時に意識的に左膝を伸ばす必要はなく、地面反力によって自然と伸ばされるのがベストだ。ジャンプをする時、膝の曲げ伸ばし動作だけでは高く飛ぶことはできない。それと同じように、ゴルフスイングの場合も下半身をうまく連動させて抜重動作を行うことが大事になる。
インパクトで膝を曲げて下半身に力を入れたほうが力強い球が打てそうな気がするかもしれない。しかし、膝が曲がったままだと地面反力が使えないだけではなく、体が回転しづらくなり手打ちを誘発してしまうので気を付けたい。
ゴルフスイングにおいて、膝を意識して動かしたり、無理に固定する必要はほとんどない。膝を意識して余分な力を入れてしまうと、飛距離をロスしてしまうことに加え、スイングの再現性も損なってしまう。膝に力を入れて頑張るのではなく、膝は他の動きに連動して楽に動くようにしてほしい。
【動画解説はこちら】
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連載【吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】とは……
世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。