世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム182回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。今回のレッスンテーマは、シャフトクロス。改めてシャフトクロスの説明から、正しい練習方法、ミスしないポイントまでを伝授。
【体と腕のシンクロの崩れがシャフトクロスの原因】
ティーショットでボールが大きく右に曲がるスライスが出たり、ボールが右に出るプッシュアウトが出てしまい、「どうもドライバーが苦手だ」と思っているゴルファーは、トップでシャフトクロスが原因となっている可能性がある。
シャフトクロスとは、トップでクラブヘッドが飛球線よりも右を向いている状態のことを指し、シャフトが飛球線と平行ではなく交差(クロス)していることからそのように呼ばれている。シャフトクロスはオーバースイングとセットになっていることが多く、トップ・オブ・スイングを改善したいと思っているアマチュアゴルファーにとって悩みの種となっていることが多い。
このシャフトクロスは、自分で改善したいと思っても、根本的な原因を理解していなければ直すのは難しい。シャフトクロスを改善するために、シャフトクロスとは逆の動きになる、シャフトが目標よりも左を向く「レイドオフ」にしてクラブを寝かせようと意識したとしても、簡単に直るものではない。もし、形が直ったとしても、手先でスイングの見た目を直しても飛距離は出ないし、再現性も低いので結局は元に戻ってしまう。
では、シャフトクロスになる根本的な原因が何かといえば、それは体と腕のシンクロが崩れていることにある。シャフトクロスになっている人は、腕を使ってクラブを上げようとするため、右脇が大きく開いてしまう傾向がある。腕の運動量が多いため、スイングプレーンから軌道が外れ、クラブヘッドが右を向いてしまうのだ。そこからクラブを振り下ろすと、腕を振り戻してアウトサイドからクラブを下ろしてスライスになる。クラブを振り戻すことができなければ、振り遅れてボールが右に飛ぶプッシュアウトになる。
【腕を使わずに右脇の開きを抑えてスイングするポイント】
シャフトクロスを直すには、体と腕のシンクロを身に付ける必要がある。特に上半身と腕がうまく同調すれば、腕の運動量が減ることで脇が開いたり、クラブを担ぎ上げたりすることがなくなるので、トップ・オブ・スイングでクラブは自然と飛球線と平行になる。つまり、体と腕がシンクロした再現性の高いスイングをすれば、ミスショットの原因となるシャフトクロスにはならないということだ。
体と腕のシンクロという言葉が理解できない人もいると思うので、おさらいをしておこう。体と腕のシンクロとは、両肘と胸でできた空間をスイング中に変えないことだ。よく「アドレスでできた三角形を崩さない」というレッスンがあるが、両腕と胴体でできた三角形の形をスイング中に維持することは困難だ。三角形のうち、肘から上の空間を維持するようにしてほしい。
シャフトクロスを解消するために、以下に紹介する2つのポイントに気を付けて練習してほしい。1つ目のポイントはバックスイングの初期にクラブを内側に引かないことだ。クラブヘッドをスイングプレーンに対してインサイドに引いてしまうと、腕の運動量が増えることで、左上腕と胸の空間がつぶれ、手元は背中側に移動してしまう。体と腕のシンクロが崩れた「横にズレた」状態になってしまう。
そして、横にズレた状態からクラブを上げるには、腕でクラブを持ちあげるしかない。そうすると、右脇が開いた「縦にズレた」状態になってしまう。クロスシャフトになっているスイングでは、このように本来のスイング軌道から、横にも縦にもズレてしまっている状態になってしまっていることが多い。
そこで、まず横のズレを解消するために、クラブヘッドを外側に上げるイメージを持ってほしい。クラブヘッドを外に上げるために、バックスイングを始動したら、グリップエンドを動かさないイメージを持つといいだろう。グリップエンドを動かさないことで、腕を振ってクラブを上げる動作を抑制し、クラブヘッドの運動量を増やして外に上げやすくする。今までに比べると、クラブヘッドからクラブを上げるイメージになるかもしれないが、今までが腕や手元が大きく動きすぎていたため、そのような感覚になる。バックスイングでシャフトが地面と平行になった時に、後方から見てヘッドが手元より外側にあるように鏡などでチェックをしてみよう。
2つ目のポイントは、縦のズレを解消するために右脇を締めることだ。腕でクラブを上げてしまう癖がついている人は、右脇が開いてしまう傾向がある。右脇にタオルを挟んでスイングをしたり、左手で右上腕部を押さえながらスイングをするドリルを繰り返し、上半身と腕を同調させる感覚を身に付けよう。
シャフトクロスになるゴルファーの中には、上記以外にも、バックスイングの後半で力を入れることで問題が起きている人もいる。トップ・オブ・スイングでは、バックスイングで上がってきたクラブが減速し、いったん動きが止まる。そのため、クラブは両腕が地面と平行になったポジション以降、減速しながらトップ・オブ・スイングへ向かう。バックスイング後半以降、惰性でクラブを上げていくのが理想なのだが、減速すべきところで力を入れてクラブを振り上げようとすると、オーバースイングやシャフトクロスの原因となる。バックスイングは左腕が地面と平行になった時点で終わりにするイメージを持ち、バックスイング後半は惰性でクラブを上げるようにすると、シャフトクロスが防げるだろう。
シャフトクロスが直ればスイングも安定し、とんでもないスライスやフックに悩まされることもなくなるはずだ。見た目も方向性も良いトップポジションを目指して、正しい方法でスイング練習に励んでほしい。
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