連載「I Don’t WEAR Jewelry. I WEAR Art」。第27回は、高貴なるストリートを表現したハリー・ウィンストン。
現代におけるジュエリーの解釈を体現する名門のプライド
1932年にニューヨークで創業したハリー・ウィンストン。世界的ジュエラーのなかでも突出した名門であることは、もはや説明の必要はないだろう。ハリウッドスターや数々の高貴な人々から愛されてきた歴史からすれば、「ニューヨーク・コレクション」で展開する「グラフィティ・シリーズ」は斬新な造形といえる。
特徴は、その名のとおりグラフィティアートから着想を得た「HW」のシルエット。立体的にデフォルメされた形状こそ一見ストリートだが、地金はプラチナ、そして全面にあしらわれたダイヤモンドが、あくまでも名門の貫禄を示す。
ギャップか、それとも必然か、ニューヨーク生まれゆえの提案
ダイヤモンドとともにセットされるのは、グラデーションを描くブルーサファイア。言うまでもなく高価な貴石たちだが、グラフィカルなロゴにあしらうことでストリートな雰囲気をも楽しませる。ラグジュアリーとストリートの蜜月具合が定着した今、各ジュエラーからもそんな時代を意識した提案はあるが、ハリー・ウィンストンとなるとやはり別格だ。
ダイヤモンドやブルーサファイアにはクラシカルなラウンド・ブリリアントカットが採用されるなど、“キング・オブ・ダイヤモンド”の威厳を感じさせる。一方で、グラフィティアートは1970年代から続くもはやニューヨークを語るうえで不可欠なカルチャー。つまり、「グラフィティ・シリーズ」はハリー・ウィンストンであればこそといえるのだ。
■連載「I Don’t WEAR Jewelry. I WEAR Art」とは……
時にファッションとして、時にシンボルとして、またはアートに……。ジュエリーを身につける理由は、実にさまざまだ。だが、そのどれもがアイデンティティの表明であり、身につけた日々は、つまり人生の足跡。そんな価値あるジュエリーを紹介する。