今、チェックしておきたい音楽をゲーテ編集部が紹介。今回は、フレッド・アゲインの新作『USB002』。

パーソナルな情感から都市を揺らすビートへ
現在のEDMシーンを代表するDJ/プロデューサーのフレッド・アゲインが最新プロジェクト『USB002』をリリースした。
2025年のフジロックにヘッドライナーとして出演した彼。そのライヴで感じ入ったのは、楽曲のエモーショナルな深度と、強いコミュニケーションへの希求だった。ダンスミュージックの「踊らせる」という機能性だけではない。オーディエンスを自身の物語に巻きこみ、ともに高揚感のクライマックスにいたる。高い評価を集めたリアルな日記的作品の『ACTUAL LIFE』シリーズでも、友人との会話をサンプリングし、日々の感情や周囲とのつながりを音に刻んできた。そのセンチメンタルな情感が大きな魅力だ。
新作は「無限に進化し続けるアルバム」というコンセプトを掲げて2022年に始動したUSBシリーズの第二弾。収録曲には「10週間で10都市を回りながら10曲をライヴで発表し配信」というスタイルで、リリースを重ねてきた楽曲が並ぶ。「Victory Lap」を筆頭に、低音の鳴りとグライムの迫力を前面に出したフロア映えするサウンドが特徴だ。持ち味の情緒性に加え、各都市のクラブを揺らしてきた強靭なビートを堪能できる。
Tomonori Shiba
音楽ジャーナリスト。音楽やカルチャー分野を中心に幅広く記事執筆を手がける。著書に『ヒットの崩壊』『平成のヒット曲』などがある。

