「日本とサウジの音楽の握手。それがマーヴェルス・オブ・サウジ・オーケストラ―東京公演なのです」と、サウジアラビア音楽委員会CEO、ポール・パシフィコ氏は言う。このコンサートのクライマックス、上手から布袋寅泰がゆっくり歩を進めた。

サウジと日本、クラシックとロックのクロスオーバー
長身にタキシード。照明でギターが輝く。ステージには白い民族衣装に身を包むサウジアラビア国立管弦楽団・合唱団と東京音楽大学オーケストラ・アカデミーの演奏家が約130名。
戦慄を覚えるイントロを鳴らした。「バトル・ウィズアウト・オナー・オア・ヒューマニティ」。クエンティン・タランティーノの映画『キル・ビル』のテーマとしても世界に知られる布袋の代表曲である。そこにオーケストラが力強くも温かい音を重ねた。クラシックの殿堂、東京オペラシティの空気がロック色に塗り替えられた。
2025年、日サの国交70周年を迎える。アジア初のコンサート地として東京が選ばれた。2024年11月22日のイベントのテーマは、サウジの芸術の存在感の向上、各種芸術と文化の支援、国際文化交流の促進─など。ステージではクラシック、ロック、サウジの民族音楽、雅楽がクロスした。
「ニューヨークやロンドンなどでも公演し、今文化の胎動が生まれています。サウジの食、デザイン、ファッションも世界に伝えたい」とポール氏。フジロックやサマーソニックなどへの参加も意識しているという。

2023年よりサウジアラビア音楽委員会CEOとして「マーヴェルス・オブ・サウジ・オーケストラ」の活動を国内外で促進。
布袋寅泰(右)
1982年BOØWYのギタリストとしてデビュー。1988年からソロに。2012年よりロンドンを拠点にワールドワイドに活動する。