CAR

2025.10.21

業績絶好調! ロールス・ロイスCEOが説く、ラグジュアリービジネスで成功する秘訣

ロールス・ロイスは2024年に創立120周年を迎えた。このブランドが、長きにわたって高級車市場の頂点に君臨している理由はどこにあるのか。来日中のクリス・ブラウンリッジ最高経営責任者が、われわれの質問に答えた。

クリス・ブラウンリッジ
ロールス・ロイス・モーター・カーズ 最高経営責任者。1974年英国生まれ。エクセター大学で経営学を学んだ後、1995年にBMWグループに入社し、セールス、ブランド、およびプロダクトのマネジメント職を歴任。BMW英国およびアイルランドCEOを務めた後、2023年12月より現職。

ロールス・ロイスは、高級車市場で最も成功を収めているブランドのひとつだ。この15年で販売台数を約6倍に伸ばし、2024年は過去3番目に多い5712台を納車している。

販売台数の増加と並んで、オーナーの平均年齢が56歳から43歳に若返っていることも特筆すべきだろう。この事実は、ロールス・ロイスが単に伝統のあるブランドというだけでなく、新しい時代のエグゼクティブから支持されていることを示している。

ロールス・ロイスの最高経営責任者を務めるクリス・ブラウンリッジが、「ロールス・ロイス・モーター・カーズ大阪」の移転オープンのタイミングで来日した。この機会に、ブランド戦略が成功している理由や、リーダーとしての心得などをうかがった。

組織で大切なのは、オープンであり、透明性があり、ストレートにやりとりができること

──ブラウンリッジさんは、2023年にロールス・ロイスの最高経営責任者に就任されました。成功を収めている組織のリーダーとして意識なさっていることを教えてください。

「信頼されるブランドであり続けるためには、素晴らしいプロダクトやサービスが必要です。そしてこれを実現するには人が重要です。自分の部下をエンパワーし、いかに能力を発揮させるのか、このことを常に念頭に置いています」

──部下が力を発揮できる環境とは、具体的にどのようなものでしょうか。

「ロールス・ロイスは完璧を求めるブランドですが、完璧を実現するには常に改善が必要です。改善するためには、ミスやエラーをしっかり認める必要がある。だからうまくいかなかったことをオープンにできる環境が必要だと考えています。自分の思ったことを自由に発言することができて、建設的な意見交換のできる環境が大切ですね」

──リーダーとして大事にしている言葉はありますか。

「オープンであり、透明性があり、ストレートにやりとりをする、この3つでしょうか」

──キャリア形成についてうかがいます。ブラウンリッジさんは1995年に新卒でBMWグループに入社された後、BMWやMINI、そしてロールス・ロイスと一貫してグループ内で働いています。ヘッドハンティングの誘いもあったのではないかと推察しますが、ひとつの組織でキャリアを積んだ理由はどこにあるのでしょう。

「グループ内でさまざまなブランドを経験しました。当時はランドローバーやローバー、MGもBMWグループ傘下でしたし、MINI、BMW、そしてロールス・ロイスといったブランドで製造やブランディングについて学ぶことができました。ひとつのグループ内ですが、多様な経験をすることができたことが、大きな理由です」

リニューアルした、ロールス・ロイス・モーター・カーズ 大阪。

販売台数を追いかけることは一切考えてない

──ロールス・ロイスの販売台数が飛躍的に増え、オーナーも若返っているという成功の理由はどこにあるとお考えですか。

「もちろんクラフツマンシップやエンジニアリングの努力も大きいと思いますが、お客様に素晴らしい体験を提供できていることが最大の理由だと考えています。ラグジュアリービジネスでは、お客様にパーソナルなサービスを提供することが重視されていますが、ロールス・ロイスは早い時期からパーソナライゼーションに取り組んできました

たとえば、車両をビスポークするためのプライベート・オフィスをソウルに開設しました。イギリスの本社まで行くのは少し遠いとお考えの方でも、デザイナーと直接ディスカッションしながら愛車を仕立てることができます。結果として、お客さまとの距離が近いブランドになったと考えています」

──今後の方針についてうかがいます。さらに販売台数を増やすのか、あるいは台数が増えすぎると希少性が損なわれてしまうのか、そのあたりはいかがお考えでしょう。

「われわれは一切、台数を追うことは考えていません。おっしゃるとおり、希少性を大事にしているからです。今後も、お客様ひとりひとりのために特別なクルマを作っていくことを重視していきます。プライベート・オフィスといったクリエイティブな環境を提供して、お客様にロールス・ロイスの一員だと感じていただけるようなクルマを提供することがさらに大きな意味を持つようになるでしょう。より多様化し、複雑化するビスポーク需要に対応するために、3億ポンド以上を投資して英国グッドウッドの製造施設を拡張しています」

──大阪の店舗のオープンにあわせて来日されたとのことですが、日本市場のポテンシャルや今後の可能性についてお聞かせください。

「日本でのロールス・ロイスの需要が伸びているなかで、素晴らしい店舗がオープンすることは楽しみですし、大きな期待を寄せています。ヘリテージやクラフツマンシップを重んじ、ものづくりの細部にこだわる価値観は、日本のみなさんとロールス・ロイスのに共通するものです。ぜひ多くのみなさんにロールス・ロイスの店舗に足を運んでいただき、私たちが提供する価値を体験していただきたいと考えています」

問い合わせ
ロールス・ロイス・モーター・カーズ TEL:0120-980-242

TEXT=サトータケシ

PHOTOGRAPH=ロールス・ロイス・モーター・カーズ

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