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2023.09.26

トヨタ・センチュリーが大変身! あなたはどんなショーファーカーがお好み?

「黒塗りの高級車」の代表格だったセンチュリーが、スタイルをがらりと変えたことが話題となっている。このタイミングで、運転手付きのクルマの未来を考えてみた。■連載「クルマの最旬学」とは

新型トヨタ・センチュリー

変わりゆくフォーマルの常識

2023年9月6日に発表されたトヨタ・センチュリーを見て驚いた。トヨタは「SUVではありません」と主張するけれど、やはりどう見てもSUVのスタイルだ。

トヨタによれば、新型センチュリーの開発コンセプトは「The Chauffeur」で、いまの時代にふさわしい新しいショーファーカーを目指したという。フランス語で「火をくべる人、火夫」を意味する「Chauffeur」という言葉は、蒸気機関が主役だった時代から、運転を担当する人の呼称として使われている。

ちなみに、これまでのセンチュリーも「センチュリー(セダン)」として、併売されるという。

トヨタ・センチュリー
トヨタ・センチュリー
従来のセンチュリー(セダン)より、全高が30センチも高くなった新しいセンチュリー。センチュリー(セダン)の販売は継続して行われるという。

新型センチュリーを見て驚くのと同時に、「なるほど」と納得している自分もいた。というのも、ロールス・ロイス・カリナンやベントレー・ベンテイガなど、ショーファーカーとして使うことを想定した高級SUVがすでに街を走っているからだ。特にベンテイガは、「EWB(Extended Wheel-Base)」、つまりボディを延伸したショーファーカー仕様をラインナップに加えている。

つまり全世界的に、フォーマルな場面でもSUVでOK、という流れになっている。

ドレスコードがユルくなったことや、ショーファーカーの後席に収まるエグゼクティブのライフスタイルの変化など、SUVでOKになった背景にはいろいろな要素がある。ただ、個人的に思うのは、「背が高いほうが物理的になにかと便利」ということだ。

着座位置が高いと見晴らしがいいから都市部の渋滞でもストレスが少ないし、屋根が高いと圧迫感も少ない。加えて、シートの位置が高いと、乗り込む時に腰を屈める必要がない。シート位置の低いスポーツカーだと乗り降りする際に思わず「よっこらしょ」というかけ声が出るけれど、SUVはお尻を水平移動するだけでスッと後席に座れる。

こう考えると、やんごとない方々がくつろいだり、オンライン会議をしたり、商談をする場として、SUVスタイルのショーファーカーが主流になっていくのは自然なのかもしれない。

新型トヨタ・センチュリー
ロールス・ロイス・カリナン
「プロポーションが似ている」と指摘されたトヨタ・センチュリー(上)と、ロールス・ロイス・カリナン。ただし、広さや動力性能、乗り心地など、求めるスペックが似ていれば、当然ながらサイズ感も近くなる。

実は社内に競合がいる!?

新型センチュリーに話を戻すと、気になったのは「ラゲージルームセパレート構造」を新たに開発したということだ。

セダンがフォーマルだとされてきた理由のひとつは、エンジンを収めるボンネット、乗員が乗るキャビン、荷物を載せる荷室の3つが完全にわかれていたことで、これを3ボックスと呼ぶ。

対してSUVやステーションワゴン、ハッチバックなどは、キャビンと荷室の間にトノカバーと呼ばれる間仕切りがあるだけで、荷室が完全に独立しているわけではない。「人間様を荷物と同じ空間に座らせる」という点において、フォーマルではなかったのだ。

ところがセンチュリーの「ラゲージルームセパレート構造」は、遮音機能付きのクリア合わせガラスを採用、キャビンは荷室から切り離されたプライベート空間となった。騒音が減るのはもちろんのこと、お土産にいただいた551蓬莱の豚まんを荷室に入れた時に、あの香りが車内に漂ってお腹がぐーぐー鳴る、ということもなくなった。

トヨタが「SUVではありません」と強調するのは、こうしたこだわりがあるからだろう。

新型トヨタ・センチュリー
写真右手の荷室を中央のキャビンから切り離すことで、ショーファーカーにふさわしい静粛性とプライベートな空間の確保を実現した。

日本でショーファーカーを考える時に忘れてはいけないのは、ミニバンの存在だ。いや、ミニバンというよりも、トヨタ・アルファードと銘柄指定したほうが正確だろう。

背が高くて広いほうがいいというのならミニバンのスタイルが最強で、しかもアルファードは「おもてなしの心」に満ちている。特に2列目シートの快適性に特化したエグゼクティブラウンジ仕様は、足を伸ばせるオットマンからマッサージ機能まで、至れり尽くせりだ。

アルファードは従来、日本市場を中心に、アジア圏で展開するだけだったけれど、新型は中南米にも輸出されるという。もしかすると、アルファードがグローバルのショーファーカー市場にインパクトを与えるかもしれない。セダンからSUVへ移行するという大転換があったわけだから、その波がミニバンに波及する可能性もゼロではないはずだ。

新型トヨタ・センチュリーのドライバーズシートからの眺め。シ
トヨタ・センチュリーのドライバーズシートからの眺め。ショーファーカーとしてだけでなく、ドライバーズカーとしても運転を楽しめるとトヨタは謳う。

トヨタ・センチュリー
全長✕全幅✕全高:5205✕1990✕1805mm
ホイールベース:2950mm 
車両重量:2570kg
パワートレイン:3.5ℓV型6気筒エンジン+プラグインハイブリッドシステム
乗車定員:4名
価格:¥25,000,000(税込)

問い合わせ
トヨタ自動車 お客様相談センター TEL:0800-700-7700

サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。

■連載「クルマの最旬学」とは……
話題の新車や自動運転、カーシェアリングの隆盛、世界のクルマ市場など、自動車ジャーナリスト・サトータケシが、クルマ好きなら知っておくべき自動車トレンドの最前線を追いかける連載。

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