レストランを愛してやまない秋元康、小山薫堂、中田英寿、見城徹が選ぶ、最強のレストランガイド「ゲーテイスト2024」。皿とともに料理人のほとばしる情熱を心ゆくまで味わいたい、“料理人の覚悟”を感じる店をご紹介。今回は東京・白金高輪の『わたなべ』。
中田「きれいすぎず、やりすぎず。バランス感が絶妙」
店主の渡邊大将氏は人気居酒屋『件』で経験を積んだ後、さまざまなジャンルの食べ歩きの体験を生かして三軒茶屋で居酒屋『鈴しろ』を開店。好評を博したが、自分の料理を突き詰めるべく5年で店を畳み、異ジャンルの人気店での研修を経て、2021年に『わたなべ』を開業。おまかせコースは約13品。
中田 まだ1回しか行ってないんですけど、美味しくてびっくりしました。シェフの渡邊さんはまだ若く、しかも実は本格的な料理の修業をしてないという人。要はセンスの塊なんでしょうね。
見城 そんなに修業していない人なのに、きちんと味を出せるんだ。何が一番美味しいの?
中田 席に着くとまず渡邊さんが枕崎産の本枯節(ほんかれぶし)を削りだすんですけど、その鰹節と天然真昆布とメジマグロ節で引いた出汁が最初に出てきて、これが旨い。鰹節の酸味を出さずに旨味だけを抽出した、まるい味。
見城 それを聞いただけで行きたくなるなあ。
中田 あと、前菜のワタリガニを中華の酔っ払いガニみたいにお酒を使って茹でたりとか、見えないところに異ジャンルの要素があるのも面白いです。
小山 食べ手の目線に立った工夫は嬉しいですね。
中田 コースのなかに旨さの起伏があって、いいんですよね。僕はきれいすぎて味がないような料理は好みじゃないんですけど、やりすぎるのも好きじゃなくて、結局バランスかなと。
見城 確かにそう。僕も料理はバランスだと思う。
秋元 まさにいい塩梅なんですよね。さっそく予約しよう。
わたなべ/Watanabe
コースの〆には炊きこみご飯のほかに、卵かけご飯、カレーなどの食事も用意。店主の渡邊氏が『わたなべ』を開業する前に研修を受けたのは、代官山のフレンチと青山の中国料理の名店。異なるジャンルのエッセンスを今の料理に反映させた。
住所:東京都港区白金1-29-9 ライオンズマンション白金東1F
TEL:03-6277-1733
営業時間:17:00~24:00
定休日:不定休
座席数:8席
料金:¥35,000~
※要予約。予約はOMAKASEから受付け。
Instagram:@daisuke_taisho
この記事はGOETHE 2024年7月号「総力特集:恍惚レストラン ゲーテイスト2024」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら