GOURMET

2024.06.14

蒼|包丁は1日10本、魚の血管洗いは硬水、料理は超軟水。狂気のシェフの極上イノベーティブ

レストランを愛してやまない秋元康小山薫堂中田英寿見城徹が選ぶ、最強のレストランガイド「ゲーテイスト2024」。皿とともに料理人のほとばしる情熱を心ゆくまで味わいたい、“料理人の覚悟”を感じる店をご紹介。今回は東京・西麻布の『蒼』。

「蒼」のメニュー
メニューには愛媛、青森、佐渡、相模湾、金沢、京都などなど、漁師や産地を明記した料理名が連なる。

秋元「極端を究めるべく、日々自分と闘っている驚異の料理人」

日本の最高峰と評価される生産者を自ら訪ね、産地の気候風土なども理解したうえで直接仕入れているオーナーシェフ峯村康資氏。フレンチをベースに極上食材の魅力を五感で堪能させてくれる。

秋元 久々にすごみを感じる料理に圧倒されました。

見城 毎日毎日命を賭けて食材と料理に向き合っているという感じ。素晴らしかったです。

中田 ずっと行きたいと思っていますが、予約が取れなくて。

小山 僕も予約が取れなくて。

秋元 まず、食材がすごいんです。愛媛のカリスマ漁師、藤本純一さんや、神奈川の仲買人「さかな人」の長谷川大樹さんから魚を届けてもらっていますよね。

見城「命を賭けて料理と向き合うクレイジー振りと美味しさに驚嘆」

見城 峯村シェフはバーテンダーからスタートして、のち、独学でフレンチの勉強しながら24歳でビストロの料理長になったんだとか。

秋元 でも、10年もの間鳴かず飛ばずで。それで一度最高の食材で料理を作ってみたいと思い立ち、愛媛の藤本さんに魚を送ってほしいと電話をしたそうです。

中田 やはりできる人は的確な行動力がありますね。

秋元 藤本さんは最初は断ったけど、何か引っかかるものがあって峯村さんのお店に実際に食べに行き、その圧倒的な才能を感じたそう。

見城 藤本さんをはじめ、日本各地40ヵ所の浜と契約をしていたり、野菜もトップ生産者を訪ねて信頼関係を築いているらしいね。

秋元 包丁の話もすごくて、1日10本使うらしいんですけど、それを毎日研師に送って研いでもらっているって。それに、魚の血管を洗うのは硬水、料理に使うのは超軟水など、こだわりを挙げたらきりがない。

小山 狂気を感じますね。

秋元 コースは藤本さんの神経〆の真鯛を1尾使ったコンソメから始まり、極上食材が洗練のひと皿になって13皿ほど。どれも忘れ難い美味しさでした。

見城 シンプルですが、味は奥深く美しい。最近行ったなかで出色のイノベーティブです。

蒼/Ao
オープンは2020年1月。魚料理のスペシャリテを多数生みだしている峯村シェフだが、出身地はなんと海のない長野県だとか。

住所:東京都港区西麻布3-21-3 オリンピアード麻布霞坂2F
TEL:03-6434-9829
営業時間:17:00~/20:30~(一斉スタート)
定休日:水・木曜
座席数:カウンター8席
料金:¥49,500~(食材の入荷状況により変動あり)。ワインペアリング¥13,200~
※予約はOMAKASEから毎月60席受付けている。

【特集 ゲーテイスト2024】

この記事はGOETHE 2024年7月号「総力特集:恍惚レストラン ゲーテイスト2024」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=藤田実子

PHOTOGRAPH=佐藤顕子

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