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2024.04.14

EXILE HIRO×鳥しき「焼鳥業界のLDHを目指す」

果てしない夢と尽きることのない情熱。日本のエンタテインメント界の頂点を極め、さらなる高みを目指すLDHHIRO氏と、焼鳥を通して日本の食の魅力を世界に発信する「鳥しき」池川義輝氏が、同じ視点で見つめる先に“輝かしい未来”が広がる。

EXILE HIRO氏(左)と、鳥しき 池川義輝氏(右)。
EXILE HIRO氏(左)と、鳥しき 池川義輝氏(右)。

食とエンタテインメントの確かなる共鳴

千年に一度のミレニアムイヤーに沸く東京で“革命前夜”のふたりが同じ空間に居合わせたのは、今振り返れば必然だったのかも知れない。

あの時を経て、それぞれのステージで押しも押されもせぬ地位を確立したふたりは、日本のエンタテインメントと食文化のさらなる発展のために、新たな一歩を踏みだした。LDH kitchenの取締役に就任した焼鳥の名店「鳥しき」池川義輝氏とHIRO氏が、今ともに思い描く未来とは――。

HIRO 初めて池川親方にお会いしたのは25年ほど前、僕がまだJ Soul Brothersのメンバーとして活動していた頃でしたね。

池川 私が独立前にお世話になった中目黒の「鳥よし」という焼鳥店で、掃除や雑役をする追い回しとして働いていた時でした。お酒を飲みながら、メンバーや会社のスタッフの方たちといつも熱く語っていらっしゃるのがHIROさんでした。

HIRO 町中華や居酒屋で飲むことが多かったので、値段が書いていない焼鳥店デビューをしたのが「鳥よし」でした。実は内心ドキドキして(笑)。当時はそういうお店に行けるようになって嬉しい気持ちもあったし、仕事で悔しいことがあった日は、まだまだこれからだと自分たちを鼓舞したり(笑)。毎日が決起集会のような感じで、時間があれば「鳥よし」の行列に並んでいましたね。それでカウンターで熱く語り合うという(笑)。

池川 EXILEとしてデビューされて、あっという間に国民的スターに上り詰めたHIROさんを見て、有言実行の姿にすごく憧れましたし、小僧の私にとってすごく眩しかったです。天皇陛下(現在の上皇さま)の前でパフォーマンスをされていたのを観た時は、強烈に心が震えました。

EXILE HIRO氏
EXILE HIRO
LDH JAPAN 代表取締役会長兼社長 CEO兼CCO
1969年生まれ。1990年にZOOのメンバーとしてデビュー。2001年にJ Soul Brothers改め、EXILEを結成。2003年にLDHを創業する。2013年にパフォーマーを勇退し、以来、社長に専念してLDHを率いる。日本のエンタテインメントの魅力を海外でも広めるべく尽力する。

池川義輝「真剣に取り組めば既存の価値観や常識を変えられると信じています」

池川氏は2007年に独立し、目黒に「鳥しき」を開店。のちにHIRO氏と再会したことは、新たな焼鳥道を志す大きなきっかけとなった。

池川 開店当初は妻とふたりで毎日、目の前の課題と向き合うことに精一杯でした。もちろん、海外に焼鳥文化を広めるなんて夢のまた夢だと思っていましたが、今は人との出会いによって夢のかたちがどんどん変わるのだと実感しています。あの頃は焼鳥職人の地位が低く、それがすごく悔しくて。

HIRO 自分もそうですが、悔しい思いも大きな夢をかなえるバネになります。僕にとって何が悔しいって、最初に「鳥しき」に連れてきてくれたのがNAOTOだったということ(笑)。それはさておき、初めて親方の目の前の席に座らせていただいて、緊張したのを覚えています。ものすごい気迫を感じて。

池川 HIROさんを正視することができないくらい緊張していたんですよ(笑)。

HIRO 隣の席のお客さんがファンだと話しかけてくれて。

池川 私は内心、ヒヤヒヤしていました(笑)。

HIRO そのおかげでリラックスして美味しく焼鳥をいただけたので、あの時隣にいた方にこの場を借りてお礼を言いたいです(笑)。あまりに美味しくて「すごい!」と「旨い!」しか言葉が出てこなかった。NAOTOが予約してくれていたから僕がでしゃばってはいけないと思って、その次の予約は取れなかったのも悔しい思い出です(笑)。今こうして一緒にビジネスのパートナーになれたことがとても光栄です。

悔しいという感情が時には成長の糧になると話すのは、あらゆる逆境を乗り越え、たゆまぬ努力のもとに成功体験を積み重ねてきたふたりだからこそ。

池川 焼鳥店は今でこそミシュランガイドにも掲載されるなど、鮨や天ぷらにも引けを取らない日本の食文化として注目をされるようになりましたが、私がこの世界に入ったばかりの頃は、焼鳥なんて串に刺して焼くだけでしょ? というイメージを持たれることが多かった。実際、最初は自分もそう思っていました。だからこそ、焼鳥のステータスをあげたいという目標を持つことができた。

これは私の個人的な感覚ですが、ダンサーと焼鳥職人はどこか似ている部分があって。HIROさんはダンサーをパフォーマーと表現して、そのアーティスト性の高さを世の中に広めた人。とことん真剣に取り組むことが、世の中の固定観念や価値観を変えるのだと思っています。今は焼鳥職人に対するイメージも、随分と変わってきた気がします。

鳥しき 池川義輝氏
池川義輝/Yoshiteru Ikegawa
鳥しき ICHIMON 代表
1972年生まれ。大学卒業後、社会人経験を経て、いつしか焼鳥の世界に興味を持つように。中目黒「鳥よし」で修業を積み、2007年に「鳥しき」を開店。2011年以降、ミシュランの星を獲得し続ける。日本一予約が取れない焼鳥店として美食家の憧憬を集める。

HIRO「食は多くの人たちを幸せにする素晴らしいエンタテインメントです」

HIRO氏が2023年10月にLDH JAPANの社長に復帰したのも、コロナ禍を経て、大きく変化したエンタテインメント界をもう一度、見つめ直すためでもあった。

HIRO これまでずっと、人の心を動かすエンタテインメントを目指し続けてきましたが、自分たちのアイデンティティをしっかり持ったうえで、新しい時代を切り拓くパフォーマンスを追求することが何より大切だと感じました。

LDHでは、食もエンタテインメントのひとつであると捉えていて、池川親方は間違いなく、食の世界におけるトップクリエイターです。LDHはもともと人の前でのライヴに重点を置いていますが、ニューヨークの「鳥えん」でも池川親方が店に立つ日は、世界中のVIPから予約が殺到する。僕らのステージに世界の大企業のトップが来てくれるなんてそうそうないことだけれど(笑)、親方にはその技術とパワーがある。だからこそLDH kitchenの取締役として、ともに新しい世界を切り拓くことができるのは“鬼に金棒”という気持ちです。

だが、HIRO氏の心のなかには池川氏への気遣いから、懸念も少なからずあった。

HIRO LDHのカラーがつくのは職人という目線で見た時にどうなのだろうかと。誰かの喜びや幸せな気持ちを生み出すという意味では、食もエンタテインメントですが、やっぱり、いろいろな目で見る人がいる。それに臆することなくLDHに飛びこんでくれた時に、これだけ誇りと自信を持っている職人の方にはそうそう出会えないのではないか。改めて池川親方は本物なのだと感じました。その思いを同じ目線でつなげていきたいと、チームの士気もいっそう高まりました。

HIRO氏が次世代アーティストを次々に世に送りだし、新しいエンタテインメントの世界を創り上げてきたように、池川氏も若手の育成に力を注いでいることは有名。一時はなり手が少ないといわれた焼鳥職人だが、池川氏はこれまでに多くの弟子を輩出。今は海外からの修業希望者も少なくないという。

池川 HIROさんとこうしてお話をさせていただく前から、焼鳥業界のLDHを目指すと公言していました。自分ひとりでできないことでも、同じ志を持った仲間がいれば前に進んでいくことができる。だからこそ、自分の店の若い人には技術以上に礼儀を尽くす大切さを伝えています。

HIRO LDHもまずはそこからです。思わぬことで取り返しがつかない事態になることも珍しくない業界で、初心を忘れないことはとても大切。自分自身も常に肝に銘じています。

池川 デジタル化が進む世の中ですが、焼鳥という食文化は職人の思いとともに紡がれるものであることを願っています。

心と技が一体となった焼鳥道を世界中に発信することを目標に掲げる池川氏にとって、同じ志を持つ「鳥しき ICHIMON」の職人も心強い存在だ。現在は国内に屋号も異なる8つの店を展開。焼き台の前に立つのは、池川氏と同じく心技一体の精神を持ち、焼鳥道を突き詰める、真の“求道者”だ。

HIRO 僕が言うのもおこがましいですが、店に行くたびに職人魂を感じます。美味しい焼鳥を食べると、本当に幸せな気持ちになって、初めて親方の目の前の席に座った時のことを思いだします。自分たちが目指すエンタテインメントは、ひとりでも多くの人に幸せを届けること。やはり、食にはその力がすごくあると実感してます。

ビジネスには策略的なことも必要だが、楽しいとか幸せという人間の素直な感情や心が震える感動は、それだけで引きだすことはできない。

HIRO LDHが考えるエンタテインメントは、今までもこれからも変わらず、アーティストの個性を尊重し、幸せやエネルギーを多くの人に届けること。根本にその思いがあるから迷わないし、その信念を心の底から共有できるアーティストやスタッフ、何よりも僕たちの活動を応援してくれる皆さんと力を合わせて日本の底力を証明したい。思いなくしてビジネスだけがうまくいったとしても、それは僕たちが願うかたちではない。親方が仰るように、心技一体の精神で互いをリスペクトしながら突き進むのみです。

約25年前。中目黒の焼鳥店のカウンターから始まった果てなきストーリー。HIRO氏と池川氏が見据える先には、きっと同じ景色が広がっている。

焼鳥界のLDH。鳥しきICHIMON

きっかけは「鳥しき」の休業日に、若手職人が焼き台に立つ「鳥かど」を始めたことから。池川氏の職人技に魅了されたHIRO氏と手を取り合い「食はエンタテインメント」という共通認識のもと、若手の育成や海外進出などを推進する。鳥しきICHIMONの店ではそれぞれ、腕利きの焼き師が実力を発揮。日本の焼鳥文化の発展に力を注いでいる。

鳥しき|2007年1月 OPEN

目黒駅近くの路地裏に佇む言わずとしれた焼鳥界のトップランカー。2011年にミシュランの星を獲得し、その名は世界の食通の知るところに。予約が取れないことでも有名で、近火の強火で焼き上げるストップ制の焼鳥コースでは、名人・池川義輝氏の魂と比類なき技を体感できる。

鳥しき
住所:東京都品川区上大崎2-14-12
TEL:03-3440-7656

鳥佳|2014年11月 OPEN

ビブグルマンにも選出。店主の飯田忍氏が大切にするのは「居心地のよさ」。料理はもちろん、酒のセレクトにも定評がある。

鳥佳
住所:東京都渋谷区恵比寿西1-8-13 エムロード戸田2F(奥)
TEL:03-6455-3859

鳥かぜ|2021年3月 OPEN

ICHIMONが掲げる“一串一生”の精神を堪能できる完全紹介制のプライベート空間。18品前後が登場するコースはプレゼンテーションも楽しく、食の楽しさを存分に謳歌することができる。

鳥かぜ
住所・TEL:非公開

鳥焼き 小花|2022年1月 OPEN

日本料理の名店で腕を磨いた佐藤新太朗氏が和の調理法を生かし、串に打たない炭火鳥焼き料理をメインにしたコースを提供。

鳥焼き 小花
住所:東京都渋谷区恵比寿3-28-2 SP15 EBISU1F
TEL:03-6455-7826

鳥かど|2023年2月 OPEN

「鳥しき」の定休日に不定期営業する、夢追う職人の鍛錬の場。池川親方の仕事を間近で見つめる若き職人が腕を振るう。次世代の焼鳥界を担うホープの焼きを楽しみたい。

鳥かど
住所:東京都品川区上大崎2-14-12
TEL:非公開

鳥つき|2023年3月 OPEN

「少しずつ美味しいものを多皿で楽しく」というテーマのもと、スモールポーションで緩急に富んだコースを提供。長岡達也氏の焼き技に魅了されて通うリピーターも多い。

鳥つき
住所:東京都渋谷区恵比寿西1-8-13 エムロード戸田2F(奥)
TEL:03-6433-7505

青葉台 とりそら|2023年6月 OPEN

旨みが凝縮した素揚げと東京の下町で愛されてきた、出汁を醬油で味つけしたかしわ鍋をコースで。仏のミシュラン店で修業を積んだシェフの卓越したセンスが光る。完全紹介制。

青葉台 とりそら
住所・TEL:非公開

中目黒 とりまち|2023年9月 OPEN

テーブル、カウンター、個室を備えた空間では焼鳥のほか、看板料理の煮込みや釡めしを味わえる。日常の延長にある和やかな雰囲気も魅力。

中目黒 とりまち
住所:東京都目黒区上目黒3-6-5中目ビル1F
TEL:03-6451-2330

鳥おか|2024年3月 OPEN

最新店の焼き場に立つのは「鳥かど」元店主の大平貴紀氏。 グローバルな焼鳥店を目指す。

鳥おか
住所:東京都港区麻布台1-2-4 麻布台ヒルズガーデンプラザC 麻布台ヒルズマーケットB1F
TEL:03-6441-2774

海外にも広がるICHIMONの輪

「鳥しきICHIMON」とLDHが掲げるひとつの夢が、海外に日本の焼鳥文化を広めること。串打ち、焼き、そしておもてなしの精神から生まれるサービスは日本の焼鳥文化の神髄。全米の焼鳥店で唯一、ミシュランのひとつ星を獲得したニューヨーク「鳥えん」には、世界中から多くの食通が訪れる。アジア初進出店の「鳥かぜ Shanghai」ほか、2024年には台北にも出店予定。広がり続ける“ICHIMONの輪”から目が離せない。

TEXT=小寺慶子

PHOTOGRAPH=前田晃(MAETTICO)

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