会員制とは、仕事場と家庭以外の“拠点”であり“サードプレイス”、そして、そこは人生を間違いなく豊かにしてくれる。いい大人たるもの持っておきたい、それが現代における最新のメンバーシップだ。今回は、大阪・天神橋の会員制焼鳥店「熊の焼鳥 106」を紹介する。【特集 会員制という愉悦】
世界初!? の会員制焼鳥店で“鳥絶”美味に酔いしれる
会員制というクローズドなコンセプトを掲げながら全国的な知名度を誇る「熊の焼鳥 106」。焼鳥バブルに沸く大阪で“西の猛者”たる地位を築いた理由は、オーナー・熊脇稔康(としやす)氏の常識にとらわれない大胆な発想力にある。
飲食店で働きながら、ほぼ独学で焼鳥の技術を学び、自分でやるなら「世の中にまだないもの」で勝負をすると決めた。その時に思いついたのが、完全会員制の焼鳥店だったという。
現在の入会金は30万円と、会費も“鳥”弩級であるが、オープン以来、価格よりもいかにして価値を上げるかを考えてきた。「美味しい焼鳥を食べながら、食を愛する人が寛げる店」を追求するほど熊脇氏が理想とするハードルも高くなったが、それでも入会希望者が後を絶たない。
「お客様に選んでもらえるのはとてもありがたいこと。僕が世の中にないものを求める理由は会員の方に喜んでいただきたいという気持ちに尽きます。そこに全力を注ぐという意味でも、今のスタイルを貫いてきてよかったと思う」と熊脇氏。
刺身に始まり、10本前後の串物、締めが供される魅惑のコースは2万7500円から。美味しさの追求は、焼きの技術向上、遊び心をくすぐる料理の考案にとどまらず、オーナー自ら全国を飛び回り、ここでしか味わえない鶏肉を探し求めることにも。
現在は3種の鶏を使い分けており、最近、仲間入りをした“幻鶏”は、熊本の山村で出会った門外不出の地鶏。200日かけて肥育する鶏を捌き、熟成させるという独自の方法によって旨みが最高レベルに引き上げられた鶏肉は、遠火の温熱でじっくり火を入れるこの店のスタイルとの相性が抜群。食べ慣れた部位でも、想像のはるか上を行く旨みの凝縮感に思わず悶絶する。
突き抜けたアイデアと人を心の底から喜ばせたいというサービス精神。門戸は決して広くないが、それが開けた時、真の付加価値の意味を知る。
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会員からの紹介もしくは、公式アプリからの申請も可能。入会金¥300,000。2023年内は満席だが、アプリから予約もできる。
熊の焼鳥 106/クマノヤキトリ イチマルロク
住・TEL:非公開
営業時間:16:00~/18:00~/20:40~(3部制、一斉スタート)
定休日:不定休
座席数:カウンター11席
この記事はGOETHE2023年10月号「総力特集:会員制という愉悦」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら