2025年に250周年を迎え、これまでに続々とアニバーサリーモデルをリリースしてきたブレゲ。その有終の美を飾り、斬新で画期的な技術を搭載した最新作「エクスペリメンタル 1」が発表された。

日差±1秒を実現した磁石の力とトゥールビヨン
1775年に創業し、250年もの歴史を誇るブレゲ。今春にリリースされた「クラシック スースクリプション 2025」を皮切りに、世界中の時計愛好家を驚嘆させ魅了する数々のアニバーサリーモデルを発表してきた。
そんな記念すべき1年を締め括るのにふさわしい最新作「エクスペリメンタル 1」が登場した。
開発のテーマとなったのは「高精度の追求」と「メゾンの過去と未来の橋渡し」。
本モデルには、250周年モデルにもラインナップされている「トラディション」や「マリーン」など、ブレゲの名品を一貫して支えてきた研究開発部門が誇る技術の粋が余すことなく詰め込まれているのが特徴だ。
まず、高精度の追求について。機械式時計の精度を低下させる要因に「正確なリズムを司るテンプの動作の不安定さ」「地球の重力」「時計への衝撃」の3つがある。
これらを解決するために本モデルに搭載されているのが、ブレゲ史上初となる「マグネティック脱進機(だっしんき)」と「コンスタント・フォース装備の10Hzトゥールビヨン」だ。
脱進機は時計の心臓部ともいわれ、時間を調整する役割を担っている(ちなみに時計の“カチカチ”という音は、脱進機を構成するパーツ同士が接触することで発せられている)。
通常は脱進機内のパーツ同士が物理的に接触することでスピードの調整を行うのだが、部品の摩耗や時計を乱雑に置くなどの外部からの衝撃によって精度が落ちてしまう可能性がある。
そこで本モデルでは「マグネティック」が表すようにパーツの一部に磁石を搭載することで、物理的な接触を大幅に軽減。磁石の反発力を利用し調速機能をサポートすることで、安定した動作と耐衝撃性の向上を図ることに成功しているのだ。
また、調速機能を司るテンプに一定したエネルギーを伝達するコンスタント・フォースを組み合わせることで、飛躍的に動作が安定。
しかもそのテンプが動くテンポは10Hz(=1時間に7万2000振動)となっており、これは一般的な時計の数倍となる。振動数が上がるほど時計の精度は安定するため、これは驚異的な数値といえるのだ。
これらに重力の影響を補正するトゥールビヨンを掛け合わせたことで、本モデルの精度は日差±1秒という、現在の機械式時計における最高水準に達しているのだ。

ブレゲのレガシーと未来をつなぐデザイン
本モデルのダイヤルは、6時位置に時表示、12時位置にあるトゥールビヨン上の秒表示、オフセンターに配置された分表示というレギュレータータイプになっている。
これは1820年に発売されたブレゲの懐中時計「Ref.3448」をオマージュしたもの。また、時計の歴史を200年早めたといわれる天才時計師であり、メゾンの創業者でもあるアブラアン‐ルイ・ブレゲの生誕250年を記念して発表された1997年の「Ref.1747」のデザインコードも取り入れている。
43.5mmのケースは「マリーン」コレクションを踏襲しており、本モデルのデザインはブレゲの歴史そのものを反映しているのだ。
一方で、250周年モデルに共通して使われているメゾン独自の新しい合金「ブレゲゴールド」を本モデルにも採用。
ケースとストラップをつなぐ6本のラグや工具不要で簡単にストラップを付け替えできるコレクション初のインターチェンジャブル機構、緻密な薄膜を形成するALD処理による発色の鮮やかなブルーがパーツに施されるなど、新しい技術が採用されているのも本作の特徴となっている。

本モデルは75本限定となり、ケースバックにはシリアルナンバーが刻印される。
歴史あるメゾンがいくつもある傑作コレクションに満足することなく、新しい技術とデザインを開拓する姿勢はまさに驚異的。
モデル名の通り、現代の時計に採用される多数の機構を実験によって発明したアブラアン‐ルイ・ブレゲの精神が今も変わらずメゾンに根差し、常に時代の先駆者としてあることの矜持を示す特別なタイムピースとなっている。
問い合わせ
ブレゲ ブティック銀座 TEL:03-6254-7211



