連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第38回は、ロレックス「サブマリーナー Ref.5508」を取り上げる。
リューズガードのない「サブマリーナー」第3世代
ロレックスが誇るダイバーズウォッチの金字塔「サブマリーナー」。1953年の誕生以来、その素晴らしい機能美を現在まで保ち続けている。
高い防水性能を実現し、今では標準装備になっているリューズガードは、実は1959年に発表された「Ref.5512」以前の「サブマリーナー」には搭載されていなかった。
該当するリファレンスナンバー(標識番号)は複数あり、それらの「サブマリーナー」は、愛好家たちの間で“ガードレス”と呼ばれている。
“ガードレス”の最終品番となる「Ref.5508」は、同時期に販売されていた200m防水仕様の「Ref.5510」の廉価版という100m防水のモデル。そのため、リューズが直径8mmだった「Ref.5510」対して、「Ref.5508」は6mmとかなり小ぶりであった。
「Ref.5508」の製造期間は1958~1962年と、1958年のわずか1年しか製造されなかった「Ref.5510」と比べると長く、その分現存する本数も多い。
今回紹介する1962年製の「Ref.5508」は、最後期のモデルだけあってパーツの整合性はもとより、コンディションも優れている。
時計の顔である“ミラーダイヤル”は艶がしっかりと残っており、貴重な真鍮製のベゼル、ケースの保存状態も上々だ。
ヴィンテージロレックスのなかでも最もマニアックなジャンルのひとつである、“ガードレス”の世界。まずはその入門機ともいえる「Ref.5508」から、手に取ってみてはいかがだろうか。
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