男性にとって数少ないアクセサリーでもある腕時計。だからこそ、時計選びには個性とともに語れる“ストーリー”も腕元に纏いたい! 今回は、岩手の「グランドセイコースタジオ 雫石」を訪れた。
世界が注目する盛岡。ほど近くにある機械式腕時計の聖地へ
世界から見たホットな日本の地で、グランドセイコーが活発な動きを見せている。
ひとつは東京・銀座。2023年6月後半の「グランドセイコーフラッグシップブティック 銀座並木通り」オープンは記憶に新しい。
もうひとつは今回訪れた岩手・雫石。アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」が発表した“2023年に行くべき52ヵ所”にて、1位のロンドンに次いで2位に岩手・盛岡がノミネートされたが、そんな盛岡にほど近い雫石に建つのが「グランドセイコースタジオ 雫石」である。
ブランド誕生60周年にあたる2020年に盛岡セイコー工業内にできた、グランドセイコーの機械式腕時計製造を担うスタジオだ。
「グランドセイコーが自負する、腕時計としての機能的な価値、ダイヤルなどの装飾で表現している感性的な価値、高級時計ブランドとしての社会的な価値。この3つをしっかりと発信していく場所としてこのスタジオは位置づけられています」と、盛岡セイコー工業代表取締役社長の加藤幸則氏は語る。
スタジオの設計は日本を代表する建築家・隈研吾氏だ。開放感あるガラス張りの木造建築に、精緻な時計製造に適したクリーンルームを併設。
特別天然記念物のニホンカモシカが庭に出現することもあるというからその自然環境の豊かさに驚く。精密機械である時計と、自然との共生が感じられるスタジオは世界でもまれだ。
これまで歴史に名を残す数多くの名作を生みだした「機械式腕時計の聖地」とも呼ばれる雫石。ここでしか購入できないモデルもあり、海外からも問い合わせが増えているという。