連載「意欲的新作ウォッチ」の第157回は、グランドセイコーの「テンタグラフ SLGC001」を取り上げる。
卓越したムーブメントを基に製作されたスポーティなクロノグラフ
グランドセイコーの新しいデザイン哲学を反映させた「エボリューション 9 コレクション」から、ブランド初となる機械式クロノグラフムーブメントCal.9SC5を搭載した新作「テンタグラフ SLGC001」が、「ウォッチズ & ワンダーズ ジュネーブ2023」にて発表された。
Cal.9SC5は、グランドセイコーが2020年に発表した高精度と優れたエネルギー効率を誇る革新的なハイビート自動巻きムーブメントCal.9SA5をベースに開発されている。
このムーブメントの主な特徴は、毎時3万6000回振動による計時精度と、クロノグラフ作動時でも3日間(約72時間)駆動するロングパワーリザーブにある。ちなみに、この約72時間という数字は、ハイビート自動巻きクロノグラフムーブメントでは世界最長となる。
さらには、このムーブメントの開発を機会に、グランドセイコーはクロノグラフのための新たな制度規格を設定。6方向の姿勢、3段階の温度という条件下で17日間にわたる厳格な試験を実施し、さらに3日間、クロノグラフを作動させた状態かつ3方向の姿勢で精度のテストを行う。
外装の話に移ると、Cal.9SC5の性能にふさわしい理想のスポーツウォッチを手掛けるために、グランドセイコーは世界的に評価の高いデザイン文法「エボリューション9スタイル」を基に、「瞬時の判読性、直感で分かる操作性、頼れる堅牢性」という条件を満たすデザインを追求し、視認性や装着感にこだわっている。
力強い針はインデックスとの距離を限界まで近づけるため、 分針とクロノグラフ秒針の針先をダイヤルの目盛りの先端まで伸ばし、その先端部を熟練の職人の手作業により曲げることで、時刻と計測時の高い判読性を可能にした。立体的なインデックスにはルミブライトを塗布し、昼夜問わず時刻の視認性を確保。ベゼルにはセラミックを採用し、耐傷性を高めている。
ケースとブレスレットには、重量がステンレススチールより約30%軽く、通常のチタンよりも色が明るく傷つきにくい、ブライトチタンを使用。ザラツ研磨による歪みのない鏡面と繊細な筋目で構成されたケースの仕上げは、様々な光の階調を描き出す。
装着感もこだわり、ラグ幅を広めにしつつ、重心を低くすることで手首にしっかりとフィットさせ安定性を向上。リュウズガードは、あらゆるシーンにおいて袖に収まるようコンパクトにまとめている。
深いブルーのダイヤルは、グランドセイコースタジオの窓から望む雄大な岩手山からインスピレーションを得ており、グランドセイコーのブランドフィロソフィー「THE NATURE OF TIME」を表現している。
このように、グランドセイコー初の機械式クロノグラフは、優れた機能とスポーティなデザイン、さらにブランドの美学が反映された秀逸な出来栄えを披露した。店頭でぜひ実機を手にとって見てほしい。
問い合わせ
セイコーウオッチお客様相談室(グランドセイコー) TEL:0120-302-617
■連載「意欲的新作ウォッチ」とは……
2022年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる“活きのいい”モデルを厳選! 時代を超えて輝き続ける、腕時計のパワーを改めて感じて欲しい。