時計製造における革新性や審美性、あるいはデイリーユースにおける実用性。あらゆる美点を愉しむための、旬な腕時計を紹介する。【特集 美しい時計】
1. アーノルド&サン/グローブトロッター プラチナ
美しい北半球をプラチナ製ケース中央に収め、その回転と透明なサファイアクリスタル製の24時間リングでワールドタイマー機能を実現。ローカルタイムは赤い矢印が指すインデックスで、一方のワールドタイムはブリッジ中央のルビーと24時間表示リングまでの“経度”を視覚化することで、知りたい都市の時間を読み取る。世界限定28本。
2. ボーム&メルシエ/リビエラ アズール 300m
透明なウェーブ装飾プリントを配したスモーキーなダイヤルが目を引く、人気コレクション「リビエラ」の最新作。あらゆるマリンアクティビティに対応する300mの防水性能を誇り、自社製ムーブメント ボーマティックは約120時間のロングパワーリザーブを実現。逆回転を防ぐアイコニックな十二角形のベゼルには、最初の15分間の目盛りが刻まれている。
3. ベル&ロス/BR-X5 アイスブルー スティール
航空計器に着想を得た四角いケースフォルムで知られるベル&ロスが、都市をテーマに打ちだす「BR 05」コレクション。アイスブルーの文字盤が目を引く本作は、その洗練とシリアスな魅力をさらに際立たせた上位モデルだ。美しいケースには、ケニッシ社によるCOSC認定のマニュファクチュールムーブメントBR-CAL.323を内蔵する。
4. ブランパン/フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ
世界初のモダンダイバーズウォッチ「フィフティ ファゾムス」の誕生から70年、その輝かしい実績をさらに前進させる話題作。プロダイバーたちのさらなる要求に応えるべく、最長3時間までの潜水時間測定を可能にしたもの。径47㎜という大ぶりなケースはチタン製で、ベゼルは3時間で1周する特別な針に対応。300m防水性能を誇る。
5. カール F. ブヘラ/マネロ ペリフェラル パーペチュアルカレンダー ブラック
創業135周年を祝い、新領域への挑戦を謳(うた)うカプセルコレクション。ベストセラーモデルを新解釈した本作は、ケース素材にハイテク感が際立つフォージドカーボンを採用。新開発Cal.CFB A2055を搭載する永久カレンダーモデルだ。アベンチュリン製ディスクと手彫りによる18KWG製の月が構成するムーンフェイズが、美しく輝く。世界限定88本。
6. カルティエ/タンク ノルマル
由緒ある伝統を象徴するメゾンのヒストリカルピースを、現代的なデザインで再解釈する愛好家向けのコレクション「カルティエ プリヴェ」。その7作目として、1917年に誕生した「タンク」の初期モデルが持つプロポーションを蘇らせた。正方形に近いケースフォルムやシャープな剣型の針が大きな特徴だ。世界限定100本。
7. ショパール/アルパイン イーグル 日本限定 エディション “SHIKKOKU”
“SHIKKOKU(漆黒)”の名のとおり、針やインデックスにいたるまで黒で統一された初となる日本限定モデル。わずかな黒のコントラストで視認性を確保し、鷲の虹彩(こうさい)をモチーフとした文字盤の模様を楽しむことができる。ケースとブレスレットの素材には自社開発・製造を行う、リサイクルスティール素材を採用。日本限定100本。
8. コルム/アドミラル 45 オープンワーク オートマティック ルミネセント カーボン
伝説的なヨットレース、アドミラルズカップに着想を得た人気コレクション「アドミラル」。最新作では夜間や暗所で鮮やかなグリーンに発光する、夜光塗料スーパールミノバを混ぜこんだカーボンケースを採用。自社製ムーブメントCO297が鼓動する姿を楽しめるオープンワークダイヤルも魅力だ。
9. クストス/チャレンジ シーライナー P-S オートマティック サファイア
優雅なクルージングの世界を形にした「シーライナー」の最新作は、ケースにサファイアクリスタルを採用する1本。360度どこからでも内部構造を眺めることができる。また、船のスクリューを想起させるスモールセコンドの羽根車の動きを安定させるために磁力を用いている点もユニークだ。
10. エドックス/デルフィン オリジナル メカノ オートマティック
特許取得の防水機構“ダブル・Oリング”や、堅牢な特殊ケースの採用で200m防水性能を実現したアイコニックピースのフルスケルトンモデル。香箱の一部をくり抜いたことで、テンプの繊細な動きや巻き上げゼンマイの動きを眺めることができる。ダイヤルはブランドロゴの砂時計をモチーフにしたカットワークが施されている。
11. フランク ミュラー/グランド カーベックス ピアノ
三次元曲線と呼ばれる美しいケースフォルムの「グランド カーベックス」。その曲線美が際立つ最新作はインデックスを取り払い、時分秒針とロゴのみという極限まで削ぎ落とされたミニマルなデザインが魅力。深みと光沢のある美しい黒文字盤には、ピアノブラックエナメルが採用されている。
12. ジラール・ペルゴ/ロレアート アブソルート ライト&シェード
伝統的な時計製造技術と先端テクノロジーの融合で豊かな表情を披露する最新版の「ロレアート」。ケース素材のサファイアクリスタルに金属加工処理を施すことで演出された、スモーキーな輝きと透明感が最大の魅力だ。可視化され、美しい姿を見せるムーブメントは「ロレアート」のアイコニックな八角形ベゼルにちなみ、地板も八角形になっている。
13. H.モーザー/ストリームライナー・センターセコンド スモークサーモン
ラグがなくブレスレットと一体化したクッション型ケースに見る美しい曲線は、モデル名の由来でもある1920~30年代に活躍した、世界初の高速列車に着想を得たもの。人間工学に基づいたデザインで、装着するとその心地よさが実感できる。新色となるスモークサーモンのフュメダイヤルを採用し、優美なヴィンテージ感が漂う。
14. ロンジン/ロンジン パイロット マジェテック
190年以上の歴史を誇るパイロットウォッチのパイオニアが手がけた最新作。そのルーツは1935年に発表された歴史的モデルだ。個性的なクッション型ケースや双方向回転フルーテッドベゼルなどの意匠を残しつつ、実用的に刷新。ムーブメントはCOSC認定のCal.L893.6で、約72時間パワーリザーブを実現する。NATOベルトが付属し、初回スペシャルボックスに収まる。
15. ルイ・モネ/テンポグラフ スピリット
5時位置に時分を表示するインダイヤルを、9時位置にスモールセコンドを備えている。12時から2時位置にレイアウトされているのは20秒ごとに帰零(きれい)するレトログラード機構。これは1秒1秒の経過を際立たせることで、時間の新しい価値を感じてもらうための“粋な仕かけ”なのだ。世界限定28本。
16. モーリス・ラクロア/リディヤ・リジク×ポントス S ダイバー
2013年の発表後、わずか数年で生産を終了したダイバーズウォッチが2023年、ファンの声に応えるカタチで新作として復活。初代モデルのデザインを採用しつつ、フリーダイバーの世界チャンピオン、リディヤ・リジク氏による性能テストを重ね、視認性や操作性など数々の改良を加えた。写真のほかに2種のラバーストラップが付属する。
17. モンブラン/モンブラン 1858 ジオスフェール ゼロ オキシジェン 8000
現代の最も偉大な登山家兼探検家のひとりである、ラインホルト・メスナー氏に着想を得たモデル。12時位置に北半球、6時位置に南半球を示すふたつの3D回転式地球儀を含むワールドタイム機構を備え、その設定がしやすいよう両半球ともにグリニッジ基準子午線がオレンジカラーで示されている。また、ダイヤルの模様は氷河をイメージしている。
18. オメガ/シーマスター アクアテラ ワールドタイマー
地球上のすべてのタイムゾーンで時を刻めるように作られた、人気のワールドタイマーコレクションの最新作。落ち着いたグリーンを採用しており、ダイヤル中央に描かれた北極点から見た世界地図は、レーザー加工によるもの。ダイヤル外周には世界の都市名が記されていて、アートのようなタイムピースが旅情を誘う。
19. オリス/プロパイロット アルティメーター
2014年に世界で初めて、かつ唯一の高度計を付加した機械式時計を発表したオリス。そして2023年、3年間の開発期間を経てさらに進化した新生「プロパイロットアルティメーター」が登場した。高度は前作の4500mを凌ぐ6000mまで表示可能で、ケースは軽量性に優れたカーボン製。56時間パワーリザーブを誇る自動巻きムーブメントの、Cal.793を搭載する。
20. パネライ/ラジオミール トレ ジョルニ
ワイヤーラグというアイコニックな意匠が特徴の「ラジオミール」コレクション。最新作のなかでも特に注目したいのが、エイジド加工が施された本作だ。ベージュシェードと呼ばれるダイヤルは、淵から中央に向かって明るくなるグラデーション。そしてケースはブラスト仕上げによって経年変化を表現した。このレトロな趣に、男心がくすぐられる。
21. レゼルボワール/ブラック スパロウ
戦闘機のコックピットにある計器に着想を得た「ブラック スパロウ」コレクション。時刻表示方法がユニークで、アール・ヌーボー調のインデックスを指す分針はレトログラード式、6時位置の窓で時を示すジャンピングアワーを採用している。約56時間パワーリザーブを実現するムーブメントは、新開発のCal.RSV-240だ。
22. ロジェ・デュブイ/エクスカリバー ブラックライト スピンストーン モノバランシエ
ベゼルとフランジ、そしてダイヤル上で星をかたどる美しいスピネルに目を奪われる独創的なタイムピース。スーパールミノバでコーティングされているため、昼夜を問わずUVライトの下でも強く輝き続ける。パワーリザーブを約72時間に延長した自動巻きムーブメントCal.RD720SQを搭載している。
23. ティソ/シュマン・デ・トゥレル 39㎜
1853年に創業して以来、真摯な時計制作を行うブランドの看板コレクションがリニューアルを遂げた。クラシカルな佇まいのなかにも、随所に進化が見て取れる本モデル。丁寧に磨き上げられたケースやサファイアクリスタル製のドーム型風防、ダイヤルのカーブに合わせた秒針と分針、バーインデックスの繊細な湾曲、最長80時間のパワーリザーブなどがその好例だ。
24. チューダー/チューダー ロイヤル
2023年「チューダー ロイヤル」コレクションに新しく加わったのが、放射状に広がるブラッシュド仕上げが美しいチョコレートブラウンダイヤルのモデル。ポリッシュ面と溝の彫りが交互に施された特徴的な18KYG製のノッチドベゼルや、ケースから途切れることのないラインを描くインテグレイテッドブレスレットは、アイコニックな意匠となる。
25. ユリス・ナルダン/フリーク ワン
異端の時計として知られる「フリーク」の登場から22年。最新作ではその原点に立ち返るモデルと位置づけ、文字盤も針もリューズもないという3つの特徴を再認識したうえで制作。さらにノッチつきのベゼルは2001年の初代モデルに、オープンワークの輪列は2013年モデルに、高い視認性は2018年モデルにと、歴代「フリーク」の美点を統合した。