連載「意欲的新作ウォッチ」の第150回は、A.ランゲ&ゾーネの「オデュッセウス・クロノグラフ」を取り上げる。
世界限定100本で発売される話題作「オデュッセウス・クロノグラフ」の真価
今から4年前、A.ランゲ&ゾーネ初となるスポーツウォッチ「オデュッセウス」の登場に世界中の時計愛好家は歓喜の声を上げた。
ステンレススチールに始まり、18Kホワイトゴールド、さらにはチタンと3つのケース素材を展開する「オデュッセウス」のファミリーに新たに加わったのが、「ウォッチズ & ワンダーズ ジュネーブ 2023」で発表されたステンレススチール製のクロノグラフ「オデュッセウス・クロノグラフ」だ。
新開発されたブランド初のクロノグラフ専用自動巻きムーブメントCal.L156.1 DATOMATICからも分かるように、このモデルの製作に対するA.ランゲ&ゾーネの意気込みは生半可ではない。
3時位置にアウトサイズデイト、9時位置に曜日表示を配した「オデュッセウス」特有のダイヤルデザインを維持しつつ、ダイヤルの中央に60分まで計測できる分積算針と赤いクロノグラフ秒針を備えたCal.L156.1 DATOMATICは製造が非常に困難であるため、「オデュッセウス・クロノグラフ」は世界限定100本という希少性を持っている。
高級時計の世界において複雑な機構は珍しいものではないが、見応えのあるパフォーマンスと優れた操作性を兼ね備えた「オデュッセウス・クロノグラフ」の機能は特異な存在を放つ。
計測後に4時位置のリセットボタンを押すと、分積算針が瞬時に戻る一方、赤いクロノグラフ秒針は進んだ距離の分だけ逆回転する。さらに詳しく説明すると、分積算針が30分未満の場合は両方の針は0位置に向かって反時計回りに動き、分積算針が30分を越える場合だと両方の針は時計回りの方向に帰零する。
2時位置と4時位置にある2つのボタンはまったく新しいデュアル機能を備えている。ねじ込み式のリュウズが通常位置にある時はクロノグラフの操作を、リュウズを引いて中間位置に入れるとボタンで日付と曜日の調整ができる。
これらの機能に加えて、120mの防水性能と約50時間のパワーリザーブを備えていることは驚異的だと言えるだろう。
1999年のブランドの復興時からCal.L156.1を含め、これまで14にも及ぶクロノグラフムーブメントを手がけてきたA.ランゲ&ゾーネならではのスペシャルエディション。コレクターズピースとしての価値もさることながら、前人未到の領域へ挑んだ姿勢にこそ、この時計の真価があるのだと思えてならない。
問い合わせ
A. ランゲ&ゾーネ ブティック 銀座 TEL:03-3573-7788
■連載「意欲的新作ウォッチ」とは……
2022年も高級ウォッチブランドから続々と届く新作情報。その中から、新鮮な驚きや価格以上の満足感が味わえる“活きのいい”モデルを厳選! 時代を超えて輝き続ける、腕時計のパワーを改めて感じて欲しい。