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2023.02.11

ラグスポ、国産、文字盤etc.時計ジャーナリストが2023年の注目トピックスを大胆予想!

男性にとって数少ないアクセサリーでもある腕時計。だからこそ、時計選びには個性とともに語れる“ストーリー”も腕元に纏いたい! 今回は、時計ジャーナリストの広田雅将が、2022年のトピックスを振り返り、2023年の時計界を大胆予想する!

2022年のトレンドを代表する時計たち

空前のブームが大きく変えた時計の見た目

ここ数年、大きな盛り上がりを見せている時計市場。以前から注目を集めてはいたが、高価格帯を中心にこれほどの伸びを見せたことはなかった。そんな状況は、当然時計のトレンドに影響を与えてきた。

Topic 01.時計ブームと技術革新がもたらす、カラフルな文字盤

際だって目立ったトレンドが、カラフルな文字盤の出現だ。2010年以前、高級時計の文字盤はお決まりの色しかなかった。ブルー、シルバー、そしてブラック。しかし、新しい消費者が今までにないカラーを求めたことに加えて、高価格帯が人気を集めたことから、各社は今までにない色にも挑戦するようになった。グリーンやレッド、そしてサーモンピンク文字盤などが好例だ。

また、オメガはPVD加工やCVDコーティングといった今までにない手法を使うことで、普及価格帯にもカラフルな文字盤を増やそうとしている。今までにない文字盤は、今後もトレンドであり続けるだろう。

PATEK PHILIPPE クロノグラフ 5172

パテック フィリップ「クロノグラフ 5172」
サーモンピンクダイヤルを搭載した本機。中間色は発色が難しいとされるが、パテック フィリップは、この“難しい”色を好んで採用する。手巻き、18KWGケース、径41㎜。¥10,813,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター TEL:03-3255-8109)

OMEGA シーマスター アクアテラ

オメガ「シーマスター アクアテラ」
文字盤の色にかなり力を入れているのがオメガ。2022年のシーマスター アクアテラは、PVDやCVDといった新手法で、今までにない色合いを実現した。自動巻き、SSケース、径41㎜。各 ¥891,000(オメガお客様センター TEL:03-5952-4400)

Topic 02.スイスやドイツに引けを取らない、国産時計の存在感

そしてもうひとつのトレンドが、日本製時計の台頭だ。かつて、安価で丈夫というイメージのあったジャパンメイドの時計だが、2022年は、グランドセイコーが4000万円超えの「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」を発表したほか、カシオも高価なG-SHOCKでより注目を集めるようになった。まだ人気はアメリカとアジアに偏っているが、今後はそれ以外地域でも徐々に定着していくと考えられる。

CASIO MRG-B2000GA

カシオ「MRG-B2000GA」
クオーツ時計では2000ドルの壁は越えられない。そんな常識を覆したのがメタルG-SHOCK。本機のチタンバンドの中駒は刀鍛冶の名門「月山」製で、日本的要素をプラスしている。生産終了のため店頭在庫のみ。クオーツ、Tiケース、径49.8㎜。¥935,000(カシオ計算機 お客様相談室 TEL:03-5334-4869)

GRAND SEIKO Kodo コンスタント フォース・トゥールビヨン

グランドセイコー「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」
トルクを一定にするコンスタントフォースをトゥールビヨンと重ねた超大作で、非常に優れた精度を誇る。完全に調整された刻音が、セイコーの技術力を示す。手巻き、ブライトチタン×Ptケース、径43.8㎜。¥44,000,000(セイコーウオッチお客様相談室 TEL:0120-061-012)

Topic 03.ブームを経て多様性を増したラグスポ

そして「ラグスポ」の多様化も見逃せない。2015年以降、メタルブレスレットにスポーティな外観を持つラグジュアリースポーツウォッチが、時計市場を席巻した。しかし2022年は単にスポーティに振るのではなく、ドレッシーな要素を強めたモデルが数多く発表された。よりシチュエーションを選ばない時計。今年も、こういうドレスに振ったラグスポが、注目を集めるに違いない。

VACHERON CONSTANTIN ヒストリーク・222

ヴァシュロン・コンスタンタン「ヒストリーク・222」
歴史的なモデルのリプロダクション。18KYG製の外装とゴールドトーンの文字盤がドレッシーさを強調する。小ぶりなサイズもドレスウォッチ寄りだ。ブティック限定。自動巻き、18KYGケース、径37㎜。¥9,768,000(ヴァシュロン・コンスタンタン TEL:0120-63-1755)

2015年頃から、時計のトレンドは機能やムーブメントよりも、明らかに文字盤やケースといった外装にフォーカスされるようになった。2023年以降も、こういった流れは変わらないだろう。春に開催される時計見本市では、かつてない外装の時計が多く見られるはずだ。

 

腕時計のビジュアルが進化した2022年
「ラグスポと限定版なら何でも売れる」と言われた2022年。ただし、過剰ともいえる時計ブームは各社に外装の改善を促した。カラフルな文字盤だけでなくケースの完成度は高まり、長年おざなりだったブレスレットも明らかに質が上がった印象。2022年とは、“装身具としての腕時計”がよりいっそうの進化を見せた1年だったと言えそうだ。反面、円安や需要の増加により輸入時計の価格は上昇してしまったが、その傾向は鈍化するだろう。
時計ジャーナリストの広田雅将氏

Masayuki Hirota
1974年大阪府生まれ。大学卒業後、サラリーマンを経て2004年に時計ジャーナリストとして活動を開始。2017年より、高級時計専門誌『クロノス日本版』および、そのウェブ版である「webChronos」で編集長を務めている。

TEXT=広田雅将

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