ロカビリー歌手、音楽プロデューサー、作詞家、俳優、レーサー、落語家、画家。常に変身し続けるミッキー・カーチスさんと医療の壁に挑み続ける和田秀樹さん。反骨同士の対談は静かで熱い“ロック”だった!【対談4回目】

精神科医・幸齢党党首。1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業後、同大附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー等を経て、和田秀樹こころと体のクリニック院長に。『80歳の壁』『幸齢党宣言』など著書多数。
はずれてもいいと思うから面白いものが作れる
ミッキー ヨーロッパなんかはさ、浮世絵に憧れてね。もうジャパニーズの時代があって。みんな浮世絵を描いてた。ゴッホなんかより浮世絵のほうがいっぱい出てくるもんね。
和田 大衆迎合っていうわけじゃないけど。庶民の熱を受けて作り上げたもののほうが世界では評価されたりする。そういう文化を生み出せる日本を、僕はいい国だと思ってるんです。
ミッキー そうだね。本当に。
和田 ミッキーさんもロカビリーで若者を熱狂させたり、『学生街の喫茶店』を大ヒットさせたりしてきた。やっぱりその時代その時代の大衆に見事にうけてきたわけです。これがすごいと思うんですよ。
ミッキー アウトサイドアーティストだから。
和田 (笑)。アウトサイドアーティストであったとしても、うけるってことは、その時代に合ってるってことなんですよ。日本人はずっと演歌を聞きたいわけじゃない。ロックを求めたり『学生街』を求めたり。それを捉える感性がある。芸術家でありながら大衆の感覚もわかっている。そういうところもミッキーさんの特異な才能だと思うんですよ。
ミッキー 大衆の求めてるものを作るんじゃないんですよ。
和田 いや、もちろん。
ミッキー 自分が好きなものを作ってるだけなんですよ。だから、当たりはずれが多いんですよ。
和田 あ、そうか。それ、いいですね。はずれてもいいと思うから面白いものが作れる!
ミッキー そう。

ミュージシャン・俳優。1938年7月23日生まれ。1958年、第1回「日劇ウェスタン・カーニバル」でロカビリー三人男としてブームを巻き起こし同年、映画『結婚のすべて』で俳優デビュー。日本初の音楽プロデューサーとしてガロやキャロルなどを世に送りだす。ハーモニカや養蜂など幅広い趣味も。自伝書に『おれと戦争と音楽と』。
絵を描かずにはいられない
和田 (対談の会場となった)この展覧会は作品の展示だけでなく、購入もできるんですね?
ミッキー そう。
和田 160点くらいあって、展覧会中にもまだ描き足しているそうですが(笑)。
ミッキー だってね、なんか。毎日描きたくなるからね(※結果180点ほど展示されていた)。
和田 (壁を指さして)あの細かく描かれた絵は何ですか?
ミッキー ああ、あのずらーっと並んでるやつね。あれは千体地蔵なんですよ。1枚の絵に100体お地蔵さんを描いた。その絵が10枚あるので1000体。
和田 価値がありますね。
ミッキー お顔が全部違うんですよ。1000体描くのは大変だよ。
和田 それは大変ですね。1000体一つ一つ違うお顔を描くわけですから。
ミッキー (スタッフに)1枚はずして持ってきてよ。

和田 本当に一つ一つ顔が違うんですね。手先が器用なんですね。発想も素敵です。
ミッキー 面白いでしょ。屏風かなんかにしてもいいよね。
和田 この展覧会にはどういう方が来られるんですか。
ミッキー インスタグラムなんかを見て来てくれる人もいてね。
和田 絵の好きな方ばかり?
ミッキー 今回はそういう人が多いよね。1枚1枚よーく見てよーく見て。で、買ってくださる方もいる。嬉しいですよ。
和田 それは嬉しいですね。
ミッキー 最初に展覧会をやったときはね、俺と一緒に記念写真を撮るの。いわゆるミッキー・カーチスと写真を撮ってサイン会みたいな感じでね。1日1000枚撮ったよ。だけど今回は絵だけを望んでる。俺のファンじゃないよね?(スタッフに声をかける)
スタッフ いえ、「俺のファン」もいらしてますよ(笑)。
和田 (笑)。いまだに「俺のファン」が来てくださる。ファンの熱狂的なところとかも、やっぱりあのロカビリー時代のいいところじゃないですか。
ミッキー そうだよね。
和田 だけどミッキーさんに会いたいためにくるファンの人もすごいと思いますよ。だって「若い頃からファン」という方も結構な年齢でしょ。
ミッキー うん。
和田 高齢になると女の人のほうが元気だから、90歳ぐらいのファンもいるのでは?
ミッキー いるよね。パーキンソン病の人とかもきたよ。
和田 やっぱり気持ちが若いんでしょうね。ファンも若いしミッキーさんも若い。風貌だけが老けてるだけで(笑)。
ミッキー (笑)。
和田 譬えに出して悪いけど、沢田研二さんのコンサートなんかもやはりオールドの女性ファンが黄色い声援を送ってます。
ミッキー 沢田も頑張ってるよね。

変幻自在に変わる。できることをやる
和田 年を取れば、風貌は変わるけど、気持ちは若いまま。それは素敵な生き方だと僕は思うんですよ。ミッキーさんはさらにいろいろと変幻自在に変わっておられる。
ミッキー 俺はやりすぎちゃう(笑)。
和田 まさに。
ミッキー ある程度までいかないと気がすまない。落語やったときも。
和田 あ、そうか。
ミッキー 結局、真打ちまで。
和田 すごいですよね。
ミッキー 見習い半年やって。前座3年やって、二ツ目2年やって。それで真打やって。60で真打になった。
和田 そういう生き方はとても素敵です。「年を取ったからもうこれで十分」みたいな気持ちが一切ない。だからこそミッキーさんは、いつまでも輝いていらっしゃるんですね。
※5回目に続く








