PERSON

2025.06.21

飯島直子、57歳になった今思うこと「『ひとりぼっちになってしまった』という寂しさも感じたけど」

小泉今日子さんと中井貴一さんが月9史上最年長の主役であることも話題になった『続・続・最後から二番目の恋』が、2025年6月23日(月)に最終回を迎える。そのドラマ内で和平の妹・典子を演じる飯島直子さんも、今年57歳を迎えた。自身は“老い”とどう対峙しているのか、飯島流ともいうべき、その考え方を語ってくれた。

『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)
『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)より。

年を重ねることに不安を感じた時もあった

シリーズ1作目では45歳だった千明は定年を1年後に控えた59歳に、50歳だった和平は63歳になり、勤めていた鎌倉市役所を定年退職して嘱託として働くなど、登場人物の13年後を描いているドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)。

飯島直子さん演じる和平の妹・典子も58歳となり、ひとり息子はすでに独立。放浪癖のある夫は家を空けがちのため、長倉家と自宅を行き来しながら、気ままなひとり暮らしを謳歌している。が、内心では誇りをもって仕事をしている千明と専業主婦の自分とを比較し、「自分の人生はこれでよかったのか」「このまま何もないまま年を取っていくのか」と不安や焦燥に駆られていて……。

定年、子供の巣立ち、夫婦関係の変化、否が応でも実感させられる心身の老い。登場人物たちの年齢相応の悩みをリアルに描いているのも、このドラマが多くの大人たちから支持される理由だ。

「典子のように結婚して、子供もいてという人とは少し違うかもしれませんが、年を重ねていく不安は、私自身にもあります。というか、ありました。45歳、ちょうど人生の折り返し地点を過ぎた頃だったかな。一生懸命走ってきたことをこれからの人生にどう生かしていくのか、後半戦をどう生きていくか、生きていけるのか。そんなことをよく考えていました。

自分が年を取るということは、親も年を取るということ。介護や死が身近なものになります。私は2017年に父を、2021年に母を亡くしましたが、親という一番の味方がいなくなってしまうと『自分はひとりぼっちになってしまった』という寂しさを感じましたね」

『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)
「人生このまま終わりたくない」と思う典子は、雑誌のスカウトを受け、グラビア『湯けむり美人』に挑戦。いつもボーダーTシャツにジーンズという典子が披露した美しい背中に、「癒し系は健在!」「色香があふれ出ている!」とSNSは大バズリした。

人生は60歳から。50代はまだ通過地点

老いに対する不安を抱いた45歳から12年、現在57歳になった飯島さんは、来るべき60代とどう対峙し、どう受け入れていくつもりなのだろう。

「私、50代はまだまだ通過点で、人生60歳からと思っているんです。20歳の時、『60歳でこうなっていたい』という目標も立てていたんですよ。子供が考えることだから、自分の家を持つ、仕事を頑張らなくても生活できるくらいのお金を貯めるというくらいなんですけどね(笑)。

若い頃って、勢いはあるけれど、自信があるかというとそうでもない。だから、自分を大きく見せようとして鎧をつけたがるし、我も強い。けっこう厄介な年齢だったなと思います。でも、年を重ねていくうちに、いろんなことに折り合いがつけられるようになってきて、上手に肩の力を抜けるようになってきました。“こうあるべき”と、自分を縛っていたものからも解放され、そのままを受け入れられるようになってきたというか。今は、なんでもチャレンジしたい、チャレンジしないともったいないという気持ちですね」

年は“気がついたら取っていた”というもの

このポジティブさ、明るさが、飯島さんがいくつになっても若々しく、溌剌(はつらつ)といられる秘訣なのかもしれない。そう告げると、「そもそも、年って“気づいたら取っていた”という感じじゃないですか?」と、意外な言葉が返ってきた。

「『あれ、いつの間にこんなに股関節が硬くなったんだろう? 足が上がらなくなったんだろう?』って、身体的な変化を実感すると『私も年を取ったな』とは思います。でも、気持ちの面で老いを感じることは、あまりない気がするんですよね。50代になっても60代になっても、昨日までの自分と気持ちは変わらないから、老いに気がつかないというか。

子供にとっての10年はすごく大きいけれど、私たちくらいの大人になると、10年なんてあっという間。『続・続・最後から二番目の恋』でも、(和平の娘役)えりなは(シーズン1の)11歳から24歳になり、少女から女性に成長したけれど、私たち大人は、そこまで変わっていないと思いません?」

年齢は単なる記号。「50代だから」「60代だから」と、年を重ねることに特別な意味を持たせること自体が、ナンセンスなのかもしれない。次回は「なんでもチャレンジしたい」という飯島さんの新たな挑戦を紐解く。

『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)
『続・続・最後から二番目の恋』
毎週月曜21:00~、フジテレビ系で放送
脚本:岡田惠和
主題歌:浜崎あゆみ
出演:小泉今日子、中井貴一、飯島直子、坂口憲二、内田有紀、石田ひかり、三浦友和
 
鎌倉を舞台に、人生の“黄昏れ時”にさしかかりつつも、「いくつになっても、未来に恋していたい」大人たちが織りなす、ホームドラマ&ラブコメディー。個性豊かな登場人物たちが直面する悩みはリアリティがあり、同世代の共感を呼ぶ一方、若い世代にとっては人生の道しるべに。年を取るのも悪くない。そんな気持ちになれる、ハートフルな作品だ。最終回は2025年6月23日放送。

飯島直子/Naoko Iijima
1968年東京都生まれ。モデルとして活動後、1988年に『11PM』のカバーガールで芸能界デビュー。1994年から2000年まで放送されたコカ・コーラ「ジョージア」のCMが大きな話題となり、“元祖癒やし系”として大ブレイク。現在は、『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)のほか、NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』に出演し、パーソナリティを務める『飯島直子の今夜一杯いっちゃう?』(BSフジ)も好評。2023年から始めたインスタグラムは50万近いフォロワーを有するなど話題に。

TEXT=村上早苗

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