今、チェックしておきたい音楽をゲーテ編集部が紹介。今回は、渡辺貞夫の『HOPE FOR TOMORROW』。

モンスター級のスケジュールで音楽活動を展開する大レジェンド。
ジャズ界の大レジェンド、渡辺貞夫がエネルギッシュに音楽を発信している。2026年2〜3月は「CALIFORNIA SHOWER」と銘打ちデビュー75周年ツアー。4月以降はカルテット編成、並行して同時期の7月からブラジル・テイストのツアー。5月は新設のSGCホール有明に自身のビッグバンドで登場。さらに新譜も準備中。御年93。濃密な音楽活動を展開している。
最新作『HOPE FOR TOMORROW』は2024年に録音したライヴ・アルバム。アップテンポのオリジナル曲「バタフライ」「サイクリング」は、スリリングな演奏。ファンから人気の高い「オンリー・イン・マイ・マインド」やバーデン・パウェル作の「プレリュードのサンバ」など、バラードはとろけるようにムーディな演奏だ。
ベースのベン・ウィリアムスや艶やかなピアノを弾くラッセル・フェランテは、渡辺のアルト・サックスに寄り添い音の景色を描いていく。そのアンサンブルをストリングスがふわっと包みこむ。この1枚でジャズの魅力のすべてを体験できる。
「オンリー・イン・マイ・マインド」は、ボサ・ノバのリズムも渡辺の頭のなかで鳴り始めたという。今後のステージで披露したいと話している。

Kazunori Kodate
音楽ライター。近著は『不道徳ロック講座』(新潮新書)、『ジャズ・ジャイアントたちの20代録音「青の時代」を聴く』(星海社)。他に『新書で入門 ジャズの鉄板50枚+α』(新潮新書)など多数。

