さまざまな紆余曲折を経て、杉村太蔵氏は今、「フリーランス界の頂点にいる」と自負し「我が人生、大満足」と断言する。これからの時代に自分の価値を高め、結果を手に入れるための“杉村太蔵的法則”を明かしてもらう。連載最終回。【その他の記事はこちら】

鉄板の失敗エピソードを30秒で話す
「人はどう思っているかわかりませんが、我が人生、大満足!」。
杉村氏がそう言って屈託のない笑みを浮かべる裏には、高い自己肯定感がある。それは、お調子者が抱きがちな根拠なき自信ではない。真摯に、全力で物事に対峙してきたからこそ得られる確固たるものだ。だから杉村氏は、周囲から自分がどう思われ、どう批判や批評されようとも意に介せず、信じた道を突き進めるのだろう。混沌を極め、先が見えない現代において、この“ぶれない強さ”は武器になりそうだ。
「僭越ながら申し上げさせていただくと、これからの時代、どういう人間が成功するかを一言で表すなら“常にご機嫌なヤツ”。これに尽きます。結局のところ、仕事って人間対人間で成り立つものですからね。『この人にまた会いたい』『この人ともっと話をしたい』『一緒に何かをしたい』と思われた者勝ちです。誰だって機嫌の悪いヤツよりも、機嫌がいい人と一緒に仕事をしたいはず。とくに、能力が同じなら、絶対に後者が選ばれるでしょう。
加えて、ユーモアを磨くこと。常にご機嫌でユーモアがあれば、収入は3割から5割、アップすると思いますよ」
ユーモアを磨くために杉村氏が勧めるのは、自分の失敗談や叱られたエピソードを簡潔にまとめるという作業。
「ただ単におもしろい話というだけでは、聞いている人は喜びません。すでにお伝えしたように、人間は優越感を抱きたい生き物。おもしろおかしい話でも、そこに自慢が入ったらダメ。誰かに怒られたとか失敗した話でないと、好感を抱いてもらえないんです。実際、僕が筑波大学を中退した話とか新人議員の時に武部(勤)さんに怒られた話は、誰に話しても大ウケですから!(笑)」
その際ポイントになるのは、話の長さとエピソードの本数だ。テレビのコメントで求められるのは、ひとつのエピソードに対し、時間にして30秒から45秒、文字にすると200〜300字程度。それを目安に、話をまとめるのがベター。所要時間1分以上だと長過ぎて、聞いている方は興ざめしてしまう。
「失敗エピソードは、ひとつだとウソくさいし、5つ以上だと『コイツ、大丈夫か?』と、人間性を疑われかねません。そう考えると、2個ないし3個くらい用意するのがベストでしょうね。自分の失敗談や怒られた話を、おもしろおかしくまとめるという作業は、けっこう大変。知的な時間になりますよ」
挑戦心とあきらめない姿勢が成功につながる
杉村氏がこれからの時代に成功する人間に必須だと考えていることが、もうひとつある。それは、結果が期待できそうになくても、「とりあえずやってみる」という意欲と行動力だ。
「以前、番組でご一緒した経済学者の成田悠輔さんが、『これから先、どういう人が成功するかというと、多分、ダメだろう。でも、とりあえずやってみる!という訳のわからない勇気を持ったヤツだ』とおっしゃっていたんですよ。
僕もまったく同感。ダメだろう、ムリだろうと思っていても、『とりあえずやってみよう』というわけのわからない勇気を持って挑むヤツ。そしてどんなに失敗しても簡単にはあきらめず、再度チャレンジするヤツが、結局のところ成功するんじゃないかと。結果がダメでも、その理由を探って、『じゃあ今度はここを変えてやってみよう』とまた挑戦する。その繰り返しが大事だと思うんです。
僕は今、金融や投資の知識と実績を活用して、故郷・旭川の商店街の再活性事業に取り組んでいます。地方創生は、歴代の内閣が取り組んできたけれど、なかなか成功しない厳しい分野なので、僕の挑戦もすぐに結果が出るわけではありません。実際、軌道修正も求められていますしね。でも、あきらめようとか撤退しようなんて、さらさら考えていません。うまくいかなかったということは、改善の余地があるということ。改善を続けていけば、成功する可能性はおおいにありますから」
一度や二度の失敗にめげたりひるんだりせず、何度でも挑戦する。その強さもまた、底辺を生きてきたことで培われた杉村氏の強さなのだろう。杉村太蔵の生き方には、令和を生き抜くヒントが隠されている。
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杉村太蔵/Taizo Sugimura
1979 年北海道生まれ。筑波大学中退後、オフィスビルの清掃員を経て、外資系証券会社に勤務。2005年、自民党公認候補として衆議院議員選挙に立候補、当選(2009年7月で任期終了)。2010年7月、参議院議員選挙に立候補するも落選し、その後はタレントとして活動する一方、投資家としても手腕を発揮。2022年、地元である北海道旭川市に「旭川はれて屋台村」をオープン。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程所定単位取得退学。自身の投資術を綴った著書『杉村太蔵の推し株 「骨太」投資術』(文芸春秋)も好評。

