都議選2025が告示された。投票日は2025年6月22日。腐敗した都議会、そして地方議会から日本を甦らせる。そう掲げて石丸伸二氏が結党した地域政党「再生の道」は、日本の救世主となるのか。石丸氏と社会学者・西田亮介氏との対話から、その考えを明らかにする。全10回。新書『日本再生の道』より一部を抜粋して紹介する。【その他の記事はこちら】

小池都知事のやりたい放題。機能不全で目詰まりを起こしている都議会
――都議会は腐ってるんですか。
石丸 ある経験者が「9割腐ってる」と言っていました。
―― 「腐ってる」をもうちょっと解像度高く分解して言うと、どういう意味で腐ってるんですか。
石丸 僕の評価としては、議会としての機能が果たせなくなっています。都議会の役割は、知事(執行部)の評価・監視をすることです。その仕事ができなくなっている。知事与党が作られてしまったので、知事が「これをやるぞ」と言ったら議会が「はいはい、 わかりました」と賛成するための装置になっているんですよ。自民党・公明党・都民フ ァーストの会が都議会の 80議席を占めているので、小池さんはやりたい放題なんです。
2017年7月2日投開票の東京都議会議員選挙で、小池百合子知事が率いる新党「都民 ファーストの会」がいきなり49議席を獲得して第一党となった。選挙前に57議席を占めていた自民党は3議席を減らして惨敗し23議席、公明党は23議席を獲得している。これにより、 都議会で自公両党が過半数を占めるパワーバランスは崩れた。21年7月4日投開票の都議選では、実質、知事与党の都民ファーストの会は31議席へと大きく議席を減らした。ただし、定数127議席のうち自民党は33議席、公明党は23議席(合計56議席)だから、自公両党だけで過半数は取れない。
17 年から今に至るまで、都民ファーストの会が都議会のキャスティング・ボート(議決権をどちらにも左右できる立場)を握り続けている。小池都知事の政策に反対する提案があったとしても、キャスティング・ボートを握る都民ファーストの会が議決でひっくり返してしまえる。
―― そもそもの役割である「知事の監視機能」が働かなくなっちゃった。
石丸 都議会は、本来果たすべき役割を果たせなくなってしまいました。残り40議席の野党は「自分たちがブレーキとして働く」と言うのかもしれませんが、野党は過半数を取っていないので、ブレーキを踏んでも踏んでもかからないのです。つまり与党だけでなく、野党も機能不全になっている。自暴自棄になってあきらめ、「なんなら全部反対してやる」という不毛な状態に陥ってまともな議論になりません。
―― 恐ろしく不毛ですね。
石丸 不毛です。
―― そんな不毛な議員に、毎年千何百万円も歳費(給料)を払い続けているんですか。
石丸 はい。
―― それはたしかに変えたほうがいい。
石丸伸二/Shinji Ishimaru
1982年広島県高田郡吉田町(現・安芸高田市)生まれ。京都大学経済学部卒業。三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)行員を経て、2020年8月に安芸高田市長選挙で初当選(2024年6月まで市長)。2024年7月、東京都知事選挙に挑戦。SNSとユーチューブ動画を駆使して「石丸旋風」を巻き起こし、165万8363票を獲得して現職・小池百合子知事に次ぐ第2位に食いこむ。2025年1月、地域政党「再生の道」を旗揚げ。来る東京都議会議員選挙(2025年6月13日告示、6月21日投開票)で、全42選挙区に最大60人の擁立を目指す。
西田亮介/Ryosuke Nishida
1983年京都府京都市生まれ。慶應義塾大学総合政策学部総合政策学科卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授、東京工業大学(現・東京科学大学)大学マネジメントセンター准教授、同大学リベラルアーツ研究教育院准教授を経て、2024年4月より日本大学危機管理学部教授。東京科学大学リベラルアーツ研究教育院特任教授も務める。