PERSON

2025.01.07

出会った当初は新入社員と役員、15歳差の経営者ふたり

サザビーリーグ アイシーエルカンパニー Presidentの高下泰幸氏と、アンティル代表取締役の桂俊成氏。15歳離れた経営者ふたりのエピソードを紹介。

桂俊成氏と高下泰幸氏

新入社員と役員

 初めてお会いしてから、もう10年が過ぎたんですね。

高下 出会った当時の桂くんは入社したてだったよね。

 はい。クライアント先の役員から東大出身の体育会系で頭がキレキレの人だから、と聞いていたので、これはやばい、と思っていました。

高下 PR業務を依頼するのに、最強チームを編成してほしいと伝えたら、新入社員で最も生きのいいのを連れてきました、と紹介されて。

 僕も体育会系だったからかもしれません。高下さんはアメフト、僕は野球ですけど。

高下 でも、新入社員らしからぬ雰囲気があった。愛想笑いとか、まったくしないし(笑)。

 高下さんこそ、若手扱いなんて、まったくなかったです。

高下 一生懸命、話を聞いてくるし、これは芯のありそうな奴だな、と思って。

 実は打ち合わせのたびに胃がキュルキュルしてました。

高下 でも、そういうのはまったく見せないから。

 一生懸命、プレゼンを練習して行ったんです(笑)。

高下 忘れられないのは、コミュニケーションミスによるエラーが起きた時。

 すぐに高下さんに電話を入れたんですが、出張で福岡にいらっしゃるタイミングで。東京へ戻る時間を確認しました。

高下 それで最終便で羽田空港に着いたら、到着出口で桂くんがひとりで待ってた。

 顔を見て謝罪したかったのと、状況を直接お話ししたくて。そうすれば、早く対応ができますから。実は1時間ほど、空港で待っていました。

高下 びっくりしたし、義理堅いな、と思った。ロジックだけじゃなくて、ちゃんとパッションも持ってる男だな、と。信頼感は一気に高まった。

 あの時、食事もご馳走になって、いろんな話をして。

高下 それから、どんどん出世して若くして社長になって、桂くんの見る景色が変わっていくのが面白かった。私も何度か転職して、ここぞという時にPR業務をお願いして。お互い立場は変わるけど、いい距離感で、いつも刺激がもらえた。

 僕はたくさん勉強させてもらいました。読むべき本を教えてもらったり、いいチームの作り方のヒントをもらったり。

高下 一緒に飲んでも昔話で盛り上がるんじゃなくて、今と未来の話ばかりするのがいい。

 未来をめぐる熱い会話、とても楽しいです。

談笑する桂俊成氏と高下泰幸氏
桂俊成(左)
アンティル代表取締役。1988年東京都生まれ。立命館大学卒業後、ベクトルグループ入社。社長室にて新規事業参画やIRの業務を兼任。2015年、グループ会社のアンティルに異動し、2020年より現職。
高下泰幸(右)
サザビーリーグ アイシーエルカンパニーPresident。1973年京都府生まれ。東京大学卒業後、アンダーアーマーやアシックスでマーケティングや経営企画の要職を歴任。カンペールジャパン社長を経て、2022年より現職。

高下 仕事から始まって、食事したり、飲んだりするようになって、じゃあゴルフも行くか、となって。

 高下さんのゴルフは、とても印象的でした。どんなに狭くても、ドライバー一択。ショートカットを狙う。高下さんのゴルフスタイルは仕事スタイルに似ている、と思いました。常に最短距離を目指す。

高下 桂くんのゴルフはスマートでカッコいい。ドライバーじゃなくて、しっかり3番UTを使ったり、コースマネジメントがしっかりできてる。煽られても、自分のやり方は曲げない。

 高下さんも、どんな苦しい状況でも自分のポリシーを貫かれますよね。

高下 私は、とにかく早くゴールに近づきたいので(笑)。せっかちだから。

 でも、お会いして10年経って、話をする内容が大きく変わったな、と思っています。高下さんの視座に少しずつ近づけるようになった気がします。

高下 いやいや、こちらこそ、いろいろ学ばせてもらっていて。こないだも桂くんの会社でAI活用が進んでいるというので、社員も連れてオフィスにお邪魔して。

 実はあれは、ものすごくうれしかったんです。気合い入り過ぎて、80ページも資料をつくっちゃいました(笑)。

高下 15歳離れてるけど、そういう認識はほとんどない。本当にプロとしてすごいなぁ、と思ってる。

 僕はなんとか高下さんに追いつきたいんですけど、背中すらまだ見えません。でも、ゴルフだけは、ちょっとだけ見えてきたかもです。いや、見えてないかな(笑)。

TEXT=上阪徹

PHOTOGRAPH=高嶋佳代

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