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2024.06.03

心を軽くする“イヤなとき大喜利”とは。人気NO.1講師が教える「イヤな気分の消し方、向き合い方」

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。

「入社して2ヵ月。職場に行くのが億劫になったり、マイナス思考になったりします。無意識に込み上げてくる“イヤな気分”との良い向き合い方があれば教えてください」という相談をいただきました。

なるほど。あなただけではありません。いくつになっても心を完璧に鍛えることはできないし、心は強くなりませんからね。

そこで今週は、僕が1万人の生徒に伝えてきた「イヤな気分の消し方、考え方」をシェアしていきたいと思います。

ステップ① イヤな気分にさせる「脳」ってありがたい

まず、なぜ「イヤな気分」が込み上げてくるのでしょう? 

僕は生徒らに、「あなたの脳が優秀だからやで」と伝えています。

脳は「成功」よりも「失敗」をより記憶している器官なので、事あるごとに不安やマイナスのシグナルを発します。

見方を変えれば、これは“私たちの生存率を上げている”ということ。

「そこのタンスで小指をぶつけたぞ」「海で溺れたことあるぞ」「犬に嚙まれたことあるぞ」など、あえてイヤな気分にさせることで被害を防ごうとするセルフ生存戦略なんです。

この話をすると、生徒たちはみんな安堵します。大切なのは“イヤな気分になる自分をイヤにならない”こと、たまには“イヤな気分にさせる脳をホメてみる”ことなんですね。

ステップ② 心を軽くする「イヤなとき大喜利」

芸人学校では、よく大喜利をするのですが、これは「イヤな気分の解消」にも有用なツールです。

例えば、梅雨は心も晴れない季節ですが、私たちの祖先は、春雨、五月雨、涙雨など、雨に400種類以上も名前をつけて親しんできました。これと同じような遊び心で、

「いつも雨の日は憂鬱だったのに、今日はうれしい。なぜ?」

というお題で大喜利をしてみると、

「かわいいレインブーツを持ってる」

「家庭菜園をはじめた」

「ワンチャン、相合い傘もありえる」

「水不足のダムの貯水率は上がっている」

……などの回答を考えることができ、徐々にポジティブな思考になっていくのです。

ちなみに僕は、この「イヤなとき大喜利」に、よく歴史上の偉人を登場させます。

例えば、朝の通勤電車に乗るのは憂鬱になりますが、「家康、秀吉、信長、どんな天下人でも、この夢のマシンには一度も乗れなかった」と考えればお得な気分になれます。

面倒なPCでの資料作成も、「発明王・エジソンでさえ、一度もネット検索はできなかった」、会議が渋滞して夕食がカップ麺になっても、「美食家・マリーアントワネットでも、ペヤングは食べれなかった」など、視点と思考を変えれば、気分も変えることができるのでオススメです。

ステップ③ 「イヤなもの」に救われる未来もある

芸人学校に入学してくる生徒の三大属性は、「貧乏だった」「いじめられていた」「シングルマザーだった」です。

彼らは苦い経験をもち、当時は、自分が置かれていた境遇が「死ぬほどイヤ」だったのですが、今ではその「イヤ」を笑えるエピソードに換えて、じゃんじゃんお金を稼いでいます。

また僕も、毎日仕事に行くのがイヤで、職場は「逃げ出したい場所」でしたが、14年前に離婚をしたとき、悲しみや辛さを忘れさせてくれる職場が「逃げ場所」になり、仕事に忙殺されることで心の傷が癒えていった経験があります。

芸人さんや自身の経験から分かったことは、“今の自分をイヤな気分にさせているモノが、いつか自分を救う可能性もある”ということ。

「イヤな気分」は、未来の自分を支える“伏線回収のフラグ”にもなるので、すべてを「悪」ととらえず、「貯金」や「投資」のような感覚でとらえていくことも必要だと思っています。

あるフィギュアスケーターは、「スケートは夏にうまくなる」と言っていましたし、雪国の野球部監督は、「球児は冬に力をつける」と言っていました。

「一見マイナスに思える状況=イヤな気分」のときこそ、私たちは成長していく生き物なのかもしれませんよね。

それでは、また来週お逢いしましょう。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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