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2023.12.02

ヒコロヒー×岸博幸「たばこ、酒、麻雀好き。ありのままに生きる」

慶應義塾大学教授・岸博幸先生が、各分野で活躍するいま気になる人と対談する不定期連載企画「オトナの嗜み、オトコの慎み」。今回の対談相手は、お笑い芸人のヒコロヒー。【過去の連載記事】

ヒコロヒーと岸博幸(立ち)

自分をよく見せようとは思わない、繕ったところでバレたら無意味

 今回の対談相手はバラエティやドラマ、CMでも大人気のヒコロヒーさん。テレビ番組『全力! 脱力タイムズ』でご一緒して以来、ずっと「頭のいい人だなあ」と思っていたんです。

ヒコロヒー いやいや、基本的にめちゃめちゃ頭悪いです(笑)。学校の成績がよかったことは一度もないし。

 頭のよさと偏差値はまったく関係ないですよ。ヒコロヒーさんの頭の回転の速さとか、語彙の豊富さとか、いつもすごいなと感心しています。あれだけのボキャブラリーを、どうやって増やしたのですか?

ヒコロヒー 読書、ですかね。でも、頭が悪いから人の名前や固有名詞が覚えられない。登場人物の名前やキーワードになりそうな難しい文章を、ノートに書きながら読んでいるんです。

 それがね、頭のいい証拠。手で書きながら読むと格段に記憶に残るという研究発表がいくつもあります。でも、なんで読書を?

ヒコロヒー 心が落ち着くんです。1日に15分の読書で、68%ストレスが軽減するという説もあるらしくて。

 コツコツとした努力と誠実な人柄が大きな成功に結びついたんですね。

ヒコロヒー 努力というか、我慢はしました。デビューして10年、まったく売れませんでしたから。女の20代、丸々ビンボー生活。友人が「美味しいパンケーキの店があるよ」なんて会話をしていても、まったくついていけなかった。

 それだけ“お笑い”を愛しているってこと?

ヒコロヒー 愛していますね。それと、意地。20代は「絶対に売れてやる」って思いが強かった。でも売れるために自分のスタイルは変えたくない。妥協なく、自分が考えるお笑いの道を誠実に貫いていこうと。

 下積み時代はお笑いの仕事だけで生活できた?

ヒコロヒー いいえ。バイトに明け暮れる毎日でした。水商売もやっていました。

 水商売では人を見る目が養えたでしょう?

ヒコロヒー それはありますね。勤めている会社の名前を出して、エリートを気取って勘違いしている人。肩書きじゃなく、「人間一本で勝負しろよ」って言いたくなります。

 勘違いヤロウはどこにでもいる。

ヒコロヒー どんなに売れている方でも、人を見下すような態度は嫌ですね。特にバラエティではそれが表れやすいのかなと。ツッコミのちょっとしたひと言で、本当の人間性が垣間見えたりするじゃないですか。そういう人間性は視聴者にも感づかれてしまうもの。結局は、人間力を高めていかないとこの世界で生き残れないんだろうって思います。

大切な言葉は「嘘をついたらアカン」

 人間性を高めるためにはどうしたらいい?

ヒコロヒー 嘘をつかないことですね。桂米朝師匠の落語で、好きな一節があって。「嘘をついたらアカン。なんでアカンのや? 自分が怖いものが増える」っていう内容なんです。嘘をついたら、それを隠すためにさらに嘘が増えるし、いつかは全部バレてしまう。

 だからヒコロヒーさんは何も隠さない。ヘビースモーカー、大酒飲み、借金まみれだった過去。

ヒコロヒー そんなの、いつかはバレるかなと思います。20代の頃は「たばこを吸うことは内緒にして」って言ってくる人もいましたが、「そんなの意味ある?」って感じてました。絶対に隠し通せるものじゃない。それが、私という人間の本質なんだから。

 飾らないありのままの姿勢が、成功に結びついた。

ヒコロヒー 運がよかっただけです。本当に周りに恵まれたとしか言いようがありません。番組では有田哲平さんや岸先生と知り合うことができたことも、ものすごく幸運でした。一瞬一瞬の出会いが、不思議なくらいいい方向へ連れていってくれるんです。

 成功を摑んだ人は、みんな決まって「運がよかった」と言う。でも、運を引き寄せたのはヒコロヒーさんの力。ヒコロヒーさんが出会う人を大切にするから、自分も周囲から大切にされる。そしてお笑いを愛し続けたから、天が運を授けてくれた。ヒコロヒーさんは人が見ていない部分で、相当努力を重ねていますから。

ヒコロヒー 私は文句や悪口を芸にしていたりするので、その悪口がマイルドすぎると面白くないし、キツすぎるとただの嫌な女になってしまうかなと。「その微妙なバランスをデリケートに突き詰める」ってところが私の芸のベースにあるんです。だから、反省は欠かせないです。自分が出たテレビやライヴの動画などを見ながら、「このひと言は毒が強すぎた」などと細かく振り返っています。

 その探求心が見た目のカッコよさにもつながっている。ちょっとした身振りも深く考え抜かれているって感じがします。ヒコロヒーさんに喫煙所でお会いすると、たばこの吸い方がカッコいいなと思うんですよ。

ヒコロヒー ありがとうございます。喫煙所っていいですよね。初対面の人でも親近感が湧く。たばこの縁で親しくなった芸人さんは数え切れません。

 ヒコロヒーさんは「麻雀している時のたばこの吸い方が日本一美しい」とも言われています。

ヒコロヒー 麻雀が強い人はたばこの吸い方が綺麗、弱い人は吸い方が汚いっていう持論があって。だから私も綺麗に吸いたいなって。それに麻雀って“はったり”が重要。たばこは“はったり”の小道具に使えるので、吸い方を練習しました。

 確かに強い弱いは“はったり力”の差。はったりが上手な人は強いし、頭がいい。ヒコロヒーさんと麻雀を打ったら、勝てそうな気がしませんね(笑)。

ヒコロヒーと岸博幸(座り)
岸博幸/Hiroyuki Kishi(右)
1962年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。経済財政政策担当大臣、総務大臣などの政務秘書官を務めた。現在、エイベックスGH顧問のほか、総合格闘技団体RIZINの運営にも携わる。
ヒコロヒー/Hiccorohee(左)
お笑い芸人
1989年愛媛県生まれ。2017~2020年まで4年連続でNTV『女芸人No.1決定戦THE W』準決勝進出。現在テレビ朝日系『キョコロヒー』、TOKYO MX『5時に夢中!』に出演。エッセイなど執筆活動も行う。
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連載
岸博幸のオトナの嗜み オトコの慎み

TEXT=川岸徹

PHOTOGRAPH=鈴木規仁

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