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2023.09.14

【バスケ・渡邊雄太】代表引退を覚悟! 自らを追い込んだ理由

2023年9月10日にドイツの優勝で幕を閉じたバスケットボール男子W杯(日本、フィリピン、インドネシアの3ヵ国共催)。日本代表は19位となり、アジア最上位に与えられる来夏のパリ五輪出場権を獲得した。大黒柱の渡辺雄太(28歳・サンズ)は大会前に今大会で五輪切符を逃したら代表引退すると公言。自ら追い込み目標を達成した。連載「アスリート・サバイブル」

代表引退から生涯代表発言

2023年9月2日。日本が順位決定リーグ最終戦でカボベルデに勝利してパリ五輪切符獲得を決めると、渡邊は日の丸の国旗を肩にかけて絶叫した。

「死ぬまで代表やります! 死ぬまで日本代表です。僕は」

代表引退危機を乗り越えて、堂々と“生涯代表”を宣言した。

最初に代表引退を口にしたのは2023年7月15日に都内で行われたイベント後。「日本を五輪に連れていくことができなかったら、代表選手の資格はないんじゃないかというくらいの気持ち。自分は代表ユニホームを脱ぐつもり」と覚悟を口にした。

2023年8月19日に都内で行われた国際強化試合後の壮行会ではさらにトーンがアップ。

1万3000人超の観衆の前で「パリ五輪に行けなかったら代表活動は最後にしようと思っています。代表のユニホームを着てもっと長い間プレーしたい。沖縄でみなさんの力を貸してください」と呼びかけた。

退路を断って迎えたW杯。開幕直前に右足首を捻挫して満身創痍(そうい)のなか、全5試合に先発出場。1試合平均35分の出場はチーム最長だった。

1次ラウンドでは優勝したドイツ、2021年の東京五輪銅メダルのオーストラリアに敗れたものの、強豪フィンランドに勝利。日本がW杯で欧州勢に勝つのは初の快挙だった。

順位決定リーグでもベネズエラ、カボベルデを連破。フィンランドは最大18点差、ベネズエラ戦は最大15点差を逆転する劇的な白星だった。

富永啓生、河村勇輝、比江島慎ら日替わりでヒーローが誕生したが、チームを支えたのは紛れもなく渡邊。ゴール下で体を張り続け、苦しい時間帯には個人技から得点を重ねた。

崖っぷちに強い男、W杯出場6度目で初の勝ち越し

渡邊は2011年に16歳で代表デビュー。2016年リオ五輪最終予選で五輪切符を逃し、2019年W杯は5戦全敗に終わった。開催国枠で出場した2021年の東京五輪も3戦全敗に沈み、人目をはばからず号泣。今大会が自身3度目の世界大会だった。

結果は3勝2敗。自身初白星を手にするとともに、日本としてW杯出場6度目で初の勝ち越しという快挙も成し遂げた。

代表引退の可能性に言及し、自らを崖っ縁に追い込んだのは、過去の成功体験があったからだ。

2018年にグリズリーズとツーウェー契約(下部Gリーグの傘下チームとNBAを一定期間行き来できる契約)を締結。いつ解雇されてもおかしくない状況のなかで日本人史上2人目のNBAデビューを果たした。

昨季はネッツで無保証のキャンプ契約から開幕ロースター入りを勝ち取り、レギュラーシーズンは自己最多の58試合に出場。1試合平均5.6得点、3点シュート成功率44.4%といずれも自己最高のスタッツを残した。その活躍が評価され、新シーズンからはサンズと2年契約を結んだ。

「NBAでも、自分を崖っ縁に追い込んだ時にうまくことが運び出して、いい結果が生まれてきた。今回も逃げ場を失えば、逆にうまくいくと思った。そんな感じで公で言わせてもらった部分もあった」

大黒柱の覚悟は他の選手に伝わり、特に若手を刺激した。司令塔の河村勇輝(22歳・横浜BC)は大会中に何度も渡邊に「まだまだ代表引退なんてさせませんよ」と伝え、奮闘。「雄太さんを代表引退させない」を合言葉にチームは一丸となった。

大会後に渡辺は「そこまで計算してやったわけではない。それで少しでもチームに火がついてくれたんだったら良かったなって思います。結果オーライかな」と振り返った。

チームは2023年9月4日に大会会場の沖縄から帰京して解散。渡辺はNBA規定により代表活動には世界大会の4週間前からしか参加できないため、次の代表合流はパリ五輪前になる見通しだ。

新天地サンズで迎えるNBA6季目は2023年10月25日に開幕。パリでの躍進に向けて、世界最高峰リーグで自分を高める戦いが始まる。

「崖っ縁に強い男なので、また崖っ縁の状況をつくって、パリ五輪で頑張りたい」

次はどんな手段で自らを追い込むのだろうか。その言動から目が離せない。

渡邊雄太/Yuta Watanabe
1994年10月13日香川県生まれ。香川・尽誠学園時代に全国高校選抜優勝大会で2011年から2年連続準優勝。米ジョージ・ワシントン大を経て2018年にグリズリーズと契約し、日本人2人目のNBA公式戦出場を果たす。ラプターズを経て、2022-23年シーズンはネッツに所属。2021年には東京五輪でバスケットボール男子日本代表の主将を務めた。2m6cm、97kg。ポジションはスモールフォワード。妻は元フジテレビアナウンサー・久慈暁子。

■連載「アスリート・サバイブル」とは……
時代を自らサバイブするアスリートたちは、先の見えない日々のなかでどんな思考を抱き、行動しているのだろうか。本連載「アスリート・サバイブル」では、スポーツ界に暮らす人物の挑戦や舞台裏の姿を追う。

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TEXT=木本新也

PHOTOGRAPH=YUTAKA/アフロスポーツ

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