さまざまな飲食店や商品開発の立ち上げに関わってきた中山社長が考える、今、会員制が増えている理由とは――。【特集 会員制という愉悦】
敢えて会員制を選ぶことで、“応援購入”がより愉しくなる
「実は"応援購入"と"会員制"って、非常に近しい存在なんですよ」
そう語るのは、アタラシイものや体験の応援購入サービス、Makuake(マクアケ)の創業者である中山亮太郎氏。今、さまざまな業界で会員制ビジネスが広がっているなか、“応援購入”という新しいカタチを生みだしたMakuakeでも、ここ数年で会員制の飲食店のプロジェクトが急激に増えているという。
「ひと昔前だと、会員制って高額な入会金が払える人や、メンバーに紹介された人だけが楽しめるステータスの象徴でした。もちろん、その役割は今でもあるのですが、最近の会員制には“愛着の証明書”のような意味がある。そこに商品やつくり手のストーリーを知ったうえで、商品開発や新店のオープンを支援する“応援購入”というシステムがマッチしたのだと思います」
会員制にすることでゲストとの間に特別な距離感が生まれる。お店の理念やコンセプトを十分理解してもらうことで、心地よい時間を過ごしてもらえる。ゲストとの関係性を大切にするからこそ、Makuakeの飲食店のプロジェクトには会員制が多いのだ。
「Makuakeで初の会員制のプロジェクトは、2014年にローンチした馬肉専門店『ローストホース』です。購入をしていただいたお客様だけが会員になれるお店は、ユーザー体験としても面白いと思いました」
ローストホースのプロジェクトは、前身の馬焼肉専門店の人気もあり、わずか数日で購入者が殺到、予定よりも早く会員数の上限を締め切ることに。特別な馬肉料理を味わえるとあって、瞬く間にオープンが実現した。
現在では、会員制の飲食店のプロジェクトが年々増え続け、今では、Makuakeの飲食店のプロジェクトの多くが、会員制という形態を採用しているそう。
「日本の飲食業界って、世界と比べても質が高い。フレンチもイタリアンも、すべてのジャンルに美味しいお店がある。だからこそ美味しさ以外の差別化が求められる。会員制には、他にはないメンバー同士のつながりがある。だから愛されるんです」
同じ商品やお店に愛着を持つ人たちと交流するコミュニティとして、居心地のいい場所になるのも会員制の魅力のひとつ。メンバーとの横のつながりが、お店への愛着をよりいっそう強くさせる。そんなお店に対する愛情を表現するものとして、会員制のお店が選ばれているのだ。
「会員制は“自己顕示”ではなく“自己完結”ができる場所。だからサードプレイスとして求められる。自分がそのお店の一員として応援できる、愛着の証なのではないでしょうか」
この記事はGOETHE2023年10月号「総力特集:会員制という愉悦」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら