ゴールドは古くから変わらぬ高級な素材だが、時代に合わせて進化し続ける先端素材でもある。その多様さこそが、ゴールドウォッチを選ぶ理由になるのだ。【特集 100年後も受け継ぎたい高級腕時計】

無限の美しさを腕元に。永遠に輝くゴールドウォッチ
太陽のように輝くゴールドは、古くから権力者の装身具の素材として好まれてきた。美しいだけでなく、柔らかい分加工しやすく、希少性が高いため資産価値もある。それゆえ腕時計のケース素材としての歴史も長い。近年はチタンやカーボン、セラミックといった、軽くてつけ心地に優れ、タフで機能的な素材が好まれる傾向にあるが、ゴールドケースならではの輝きやずっしりと手首に感じる重みは、時代を超えて人々を魅了し続ける。
さらにゴールドの先進性にも注目したい。純金(24K)は柔らかいため傷がつきやすいので、銅などの金属を混ぜて固くする必要がある。混ぜる金属によって色や特性を変えることができるため、高級素材であるにもかかわらず、新しい表現を追求できるのだ。それもゴールドウォッチの魅力といえるだろう。
以前であればゴールドウォッチとはドレス系のことだったが、時計の楽しみ方が広がった結果、スポーツウォッチの時計にもゴールドケースが増えている。王道のエレガントさを楽しむのも正解で、アクセサリー感覚で大型ケースを選ぶのも楽しい。自由に楽しめるのが、今どきのゴールドウォッチなのだ。
1.グランドセイコー|ヘリテージコレクション SBGH368
日本の春の情景を暖かな光で表現する
立体的なケースサイドの造形が特徴の「62GS」に、ピンクゴールドケースをレギュラーモデルとして初採用。ダイヤル装飾は、桜の花を雪が覆い隠す「桜隠し」の情景を表現。小ぶりなケースと温かみのある素材感の相性もよく、腕元が華やかになる。

2.ジラール・ペルゴ|ロレアート ピンクゴールド セージグリーン
絶妙な配色によって定番モデルを進化させる
1975年にデビューした人気のラグジュアリースポーツウォッチに、新色ダイヤルが登場した。やや灰色がかった黄緑色のセージグリーンは、ピンクゴールドケースと組み合わせることで、さり気ない色気をつくりだす。

3.H. モーザー|ストリームライナー・フライバック クロノグラフ オートマティック フローズン
じっと眺めていたくなる美麗クロノグラフ
フライバック式のクロノグラフだが、インダイヤルなどは設けず、美しいダイヤルを楽しむ時計に。ゴールドケースの中で満天の星が瞬いているように見えるダイヤルは、表面にフロスト加工したあとに、ミッドナイトブルー フュメに着色している。

4.ローラン・フェリエ|クラシック・トラベラー グローブナイトブルー
技巧派ブランドらしいリュクスな旅時計
ケースサイドのプッシャーでセンターのローカルタイム時針を操作し、9時位置にはホームタイム表示を備える旅時計。シャンルベ・エナメルによって宇宙から見た夜の地球を描きだし、ホワイトゴールドの輝きとともに旅の世界を美しく表現した。

5.ハリー・ウィンストン|HW オーシャン・デイト ムーンフェイズ オートマティック 42mm
ジュエラーならではの美しい輝きを楽しむ
オフセンターのダイヤルレイアウトで美しい躍動感を演出。煌めくブルールテニウムクリスタルのダイヤルに合わせて、バゲットカットのブルーサファイアを美しくセッティングしている。世界限定25本。

6.ロジェ・デュブイ|エクスカリバー モノトゥールビヨン
色気を纏った唯一無二のメカニズム
象徴的なアストラルを配したスケルトンムーブメントに、フライングトゥールビヨンを融合。繊細なメカニズムとダイナミックな構造美が同居する時計は、ブラック×ピンクゴールドの華やかな配色によって、別格の美しさを得た。

7.IWC|インヂュニア・オートマティック 40
ラグジュアリー感を強めたゴールドに輝くスポーツウォッチ
天才デザイナー、ジェラルド・ジェンタのデザインコードを継承する形で2023年にデビューした現行インヂュニアに、レッドゴールドモデルが追加。ブラックダイヤルとのコンビネーションで、艶やかな腕元に。シースルーバックのためムーブメントも観賞可能。

8.パネライ|ルミノール マリーナ ゴールドテック
変色しにくい特殊な金素材でボリューム感のある腕元に
軍用時計として考案された肉厚のケースやリューズプロテクターはそのままに、独自素材のパネライ ゴールドテック™で華やかにアップデート。ラバーストラップが付属しているので、カジュアルなシーンでも楽しめる。

9.チューダー|ブラックベイ 58 18K
マットなゴールド仕様でシックダイバーズに
タフウォッチの名門らしく、ゴールドケースでありながら防水性能は200mを実現。ケースがマット仕上げなので、ゴールド素材でもシックな雰囲気に。深いグリーンとの組み合わせも綺麗。ブラウンのアリゲーターストラップも付属する。

10.ベル&ロス|BR-05 GOLD
ミリタリー×スポーツで艶っぽい腕元を演出
航空計器の角形デザインを腕時計に落としこんだBRシリーズ。2019年デビューの「BR-05」は、角を丸めブレスレットと一体化することで、都会的な雰囲気に。ボリュームがあるので、ゴールドアクセサリー感覚で楽しみたい。

11.グラスヒュッテ・オリジナル|セネタ・エクセレンス・パノラマデイト・ムーンフェイズ
丁寧な時計づくりのなかに華やかな遊びを入れる
ドイツ時計の文化を継承する名門らしく、端正なデザインのなかにオリジナリティを発揮。レッドゴールドケースの上質さやムーンフェイズとアウトサイズデイトを斜めに配置するアバンギャルドさが、うまく共存している。

12.パルミジャーニ・フルリエ|トリック パーペチュアルカレンダー
これ見よがしではない一歩先のラグジュアリー
色数を減らし、表示も極力シンプルにすることで、複雑な永久カレンダー機構でも、ダイヤルの美しさを楽しめるように。ハンドグレイン仕上げのダイヤルは、ゴールデンアワーと命名。柔らかな色が魅力だ。世界限定50本。

13.エルメス|アルソー タンシュスポンデュ
腕時計でありながら時間という概念から解放される
シンプルな時計に見えるが、9時位置のプッシュボタンを押すと時分針が12時方向に移動し、カレンダー針は4時から5時位置にかけてのせり出し部に消えてしまう。流れる時を隠すことで、時間から解放される。そんなロマンティックな機構だ。

この記事はGOETHE 2025年8月号「特集:100年後も受け継ぎたいLUXURY WATCH」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら