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2022.09.29

【マネー対談】Makuake坊垣佳奈×ABCash児玉隆洋「カッコいいお金の使い方とは?」前編

お金のトレーニングスタジオ「ABCash」を運営し、新刊『未来のお金の稼ぎ方』を出版した起業家、児玉隆洋氏が「未来のお金」についてさまざまな分野の賢人たちに問う対談シリーズ。対話から見える、お金、経営、事業で成長するために持つべき視点とは――。

お金対談1

コロナを境に、お金の使い方に変革が起きている

「アタラシイもの体験の応援購入」という概念と、そのシステムを世の中に浸透させたMakuake。取締役の坊垣佳奈氏と、児玉隆洋氏は、共にサイバーエージェント出身の起業家という共通点がある。次の時代を切り拓くふたりの経営者が今感じている、若い人たちの変化、起業について語り合った。

児玉 サイバーエージェントを出て起業し、4年が経ちました。この間に世の中がすごく変わったなと感じています。私は日本の金融教育の底上げをしたくて起業したのですが、創業した当初はもう反対の嵐で。それこそ、サイバー時代の同期や仲間にも「金融教育なんて聞いたことない」「絶対怪しまれるよ」と心配されたほどです。それが今は高校で金融教育が必修化され、投資人口も増加。「中立なお金の情報」は強く求められるようになった。4年前は想像もできませんでしたね。

坊垣 金融教育に対する意識も変わったと思うし、お金の使い方も大きく変わってきたと思います。私たちMakuakeは新しい商品やサービスを「応援購入」というカタチで、世の中に発信してきましたが、最近この概念が今までにないスピードで受け入れられているのを感じるんです。理由を考えると、やはりコロナ禍で行動が制限され、みんながいったん立ち止まったのが大きい。接する人や働き方が変わるなかで、自分にとって何が大切なのかを改めて考える人が増え、同じお金を使うならなくなってほしくないお店でテイクアウトしようとか、外食需要が減って困っている農家さんから食材を買おうとか、消費に「応援する」という概念が芽生えた。それが変化を後押しした気がします。

児玉 たしかに自分が運営する、お金のトレーニングスタジオ「ABCash」の受講生さんを見ていても、「エシカル消費」のように、その商品を支える理念や企業の姿勢をチェックしたり、社会的意義を考えたりしたうえで商品やサービスを選ぶ人が増えてきたのを感じます。単に安いからとか、おしゃれだからとかで売れる時代ではなくなってきましたよね。

坊垣 消費は「より意味を持つほう」へと、確実に流れていますね。インスタグラムもかつてはラグジュアリーなホテルで素敵なモーニングを食べている投稿をする人がインフルエンサーでしたが、今はたとえおにぎりひとつでも、「これがいい理由」をちゃんと語れる人が人気。ライフスタイルに哲学や思想が求められる時代といえるのではないでしょうか。

お金対談

児玉 姿勢やビジョンが重視される傾向は、就活でも同じです。今までのように「大手」や「安定」ありきから、若者ほど企業理念やビジョンを重視する方向にシフトしています。我々のところへの応募も、Wantedly(ビジョンやミッションを軸とした仕事のマッチングサービス)」経由がほとんどです。

坊垣 昔は利益を追求して事業を伸ばしている企業がカッコよかった。でも、今はおそらくカッコいい企業の定義が変わっているんですよね。きちんとしたビジョンがあるか、ビジョンに想いを持って経営しているか、口先だけでなく行動が伴っているかを人は見ているし、そういう企業に人も集まっているのを強く感じます。

児玉 かつては情報が一方通行で嘘を見抜けなかったけど、今はちぐはぐなことをしていたらすぐにSNSで指摘される。SNSが発達して個人が力を持ったことで、情報の透明性が一気に上がりました。若い人だけでなく、商品やサービスを出す企業側も変化している。

坊垣 ありのままが伝わる世の中になったということではないでしょうか。嘘はバレるけど、逆にちゃんとやっている企業は、それがきちんと伝わる。たとえばアパレルも大量廃棄が問題になれば、そのブランドはSNSで叩かれますが、それを受けて業界全体が大量生産、大量廃棄を見直す流れができると、今度はちゃんと評価される。経営者が姿勢を正すことを忘れなければ、きちんと世の中に認められるし、社会としてもたぶん、よい方向に進んでいくのではないかと思っています。

利益だけを追求していたら、誰もついてこない

児玉 とはいえ、ビジョンだけでは食べていけないのも事実で。目の前の数字も達成しなければいけないのが経営者としては辛いところですが。

坊垣 たしかにそれはありますね。ですが、それでも利益に振り切ったらいいことはないと思います。なんのために創業したのか、わからなくなってしまうし、社員もお客様もついてきません。

お金対談3

児玉 それは間違いないですね。坊垣さんは利益と大義のバランスを取るために、経営者としてどんなことを意識していますか?

坊垣 私は打ち出すプロジェクトのインパクトと中身の両方が濃いかどうかをとにかく重視しています。インパクトは強くても中身が薄いものや、やりたくないものを世の中に出してしまったら、Makuakeのビジョンである「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」に背くことになる。そうなったら、いくら儲かっても虚しいし、社員も幸せにはなれない。逆に、中身がよくてもインパクトが弱くて数字を出せないプロジェクトでは頑張る意味がない。みんなが笑顔になるためには、両方を揃えることが本当に重要。

児玉 ABCashもビジネス理念として、「大義と算盤(そろばん)」を掲げています。世の中をよくすること、人のためになることで利益を追求しましょうという意味です。金融教育を広げながら、そろばんもしっかり弾いていく。そうしないと、事業が大きくならず、金融教育を広げていくこともできない。

坊垣 Makuakeの場合、まったく新しいジャンルのものを生みだすことが多く、インパクトと中身が揃っていても、規制が入ってしまったりして実現が難しかったりします。でも、少しでもリスクがあるものを避けていたら、「生まれるべきものが生まれ」なくなってしまう。今のように変化の大きな時代は、そこで立ち止まったら圧倒的に取り残されてしまうので、ここは何があろうと頑張るのが私たちのミッションだと思っています。

後編に続く

 

Kana Bogaki
マクアケ共同創業者/取締役。2006年、サイバーエージェントへ新卒で入社し、サイバー・バズの立ち上げに携わる。その後、ゲーム会社2社を経て2013年マクアケ(旧サイバーエージェント・クラウドファンディング)を設立。共同創業者として取締役に就任。著書に『Makuake式「売れる」の新法則』(日本経済新聞出版)がある。

Takahiro Kodama
ABCash Technologies代表取締役社長。2007年、サイバーエージェントに新卒入社し、AmebaBlog事業部長、AbemaTV局長などを歴任。2018年、日本の金融教育の遅れ・お金の情報の非対称性に大きな課題を感じ、ABCash Technologiesを設立。趣味はサーフィン。

 

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TEXT=大上ミカ(カクワーズ)

PHOTOGRAPH=太田隆生

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