俳優として、パフォーマーとして、歌手として。さまざまな顔を持ち表現を続けていく岩田剛典。デビュー12年目にして初のソロアルバムを発表、その制作は時に自邸のダイニングと作業部屋でも行われたという。表現者であり、それを俯瞰してみるビジネスパーソンでもある岩田さん、その戦いの場である家への思い、そしてそこに込める浪漫とは――。【特集 浪漫のある家】
優しい印象ではなく、無機質な部屋が今の理想
「仕事とは、常に変化していく時代を相手にするもの。だからこそ僕は、自分の表現だけを突き詰めるのではなく、世の中が何を求めているのか、俯瞰して考えていきたいと思っているんです」
EXILEと三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのメンバーを兼任、話題のドラマや映画に数々出演してきた岩田剛典さん。自らの作詞曲を含むソロアルバムも発表し、アルバムジャケットのアートワークも手がけた。今まさに自分の表現を突き詰めているのだろうと思いきや、この頃は「ビジネスの視点」でものを見ることも多くなったという。
「デビューして12年経ち、ようやく自分でプロジェクトを進めることができるようになってきた。企業でいえばプロジェクトリーダーみたいな役割かもしれません。ここは赤が出るかもしれないけど、こっちで補おうとか、常に考えていますよ。おこがましいかもしれませんが経営者の方の苦労も理解できるようになってきた。もしかしたら僕は表現者としては少し頭でっかちかもしれません。でも芸を磨きながら、裏方のことも見るなど、複合的に動いていかないと成功はないと思っています」
家にいても仕事のことを考えてしまうという岩田さんが、自邸での時間の大半を過ごすのはダイニング。作詞や台本読み、今後のプロジェクトについて考える際には、いつもダイニングテーブルの上に資料を広げるという。
「ソファに座っているよりも、ダイニングにいるほうが落ち着くんですよね。ダイニングテーブルは白で、家全体も白い家具で統一しています。他にもテレビ台、照明にいたるまですべて、角のない丸いものにしているのもこだわり。といっても優しい印象ではなく、無機質な部屋を目指しているんですよ」
物は増やさず、ミニマムに。常に部屋づくりは引き算だという岩田さんだが、一方でひとつだけ無機質ではない部屋が。
「絵を描くための作業部屋をつくったのですが、ここだけは絵の具や筆が散乱してぐちゃぐちゃ(笑)。ここに入ったら絵を描く以外のことはしません。集中して描くことでストレス発散になっているんです。一方で描き始めたら完成まで突っ走りたいタイプなので、身を削って描いてしまうことも。部屋に入ると『今日も描かないといけないのか』と憂鬱に思ってしまう日もあるんです」
その作業部屋で生まれた油絵がソロアルバム『The Chocolate Box』のジャケットに採用されている。明るい色を用い一見油絵だとは信じられないほどのポップな作品だ。
「油絵っぽくないですよね。完全に独学で油絵を始めたからでしょうか。3ヵ月ほどかけて描きました。描いている時はちゃんと完成させて、成仏させてやる! という気持ちでしたね」
ソリッドに無駄なものを削ぎ落とした居住空間と、絵の具が飛び散る乱雑な作業部屋。その対比こそ、リーダーとしてプロジェクトを進めつつ、自身の表現を磨いていく現在の岩田さんの姿を表しているのだろう。今後、さらに家に浪漫をつめこんでいけるとしたら、どうしたいかたずねると。
「サウナをつくりたい! 普段よく行くのですが、家にあったら最高ですよね。街でいうなら、ニューヨークにも住んでみたいです。『成功してやる! 』という思いを持った人たちがたくさんいる街。僕はまだ、落ち着けない。そういう刺激を求めているんです」
ソロプロジェクトは動きだしたばかり。いつか手に入れる浪漫のある家に思いを馳せながら、クリエイターとしての道を岩田さんは邁進する。
SHOOTING LOCATION
YAMATO HARUMI Model
サウナ、露天風呂、水風呂、テラスデッキつき、294㎡ひと部屋だけの完全プライベート空間。会員制宿泊サービスYAMATO STAY登録者のみが利用可能。オンラインコンシェルジュが24時間対応する。住所非公開。