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2022.06.10

【西野亮廣】「完成物」でなく「制作プロセス」を販売するという選択肢が、なぜ生まれ、なぜ成功するか?──連載「革命のファンファーレ2」Vol.46

毎度お騒がせしております。キングコング西野です。今回の記事は、毎朝voicyという音声メディアで配信している「#西野さんの朝礼」でお話したことから、編集して紹介させていただきます。(※今回の記事を音声で楽しみたい方はコチラ

今日は「会社は本来の目的を忘れ、社員を養う為の組織」というテーマでお話ししたいと思います。

【連載「革命のファンファーレ2~現代の労働と報酬」】

第46回 会社の目的は何?完成品を「届ける」ことのはず。 であれば、すべきこととは…。

西野亮廣

「会社」は気を抜くと、「社員を養う為に働く」という方向に進んでしまう

僕は毎日2000〜3000文字の記事をオンラインサロンに投稿しているのですが、先日、僕の会社の「見直さなきゃいけないところ」について書いたんです。
その記事の中で、「こういった『見直し』をこまめにしていかないと、会社というのは、目的を達成する為に社員を雇ったのに、社員を養う為に働く組織になるよね」と書きました。

「Aという商品を頑張って作って売って、どうにかこうにか売り上げを作ってるけど、そもそもなんでAを売ってるんだっけ? これって僕らが会社としてやりたいことだったり、世間が求めていることだっけ? …いやいや、よくよく考えてみたら、社員を養う為にAを作って売ってるぞ」というのって、よくあると思うんです。
「ガソリンを補充する為に走っている」とか、「ご飯を食べる為にお腹を空かせる」みたいな。

たとえば、野球をしようと思ったら「9人」が必要だから、その9人を養う為に、チームとしてグッズを販売するのは、よく分かるんです。
その時の「9人を養う為に」は、突き詰めて行くと「野球をする為」に辿り着くので。
ただ、それを続けていくうちに、気がついたら「9人を養うこと」が最終目標になって、野球の練習をする時間そっちのけで「どうやったら、もっとグッズが売れるんだっけ?」「どうすれば黒字になるんだ?」みたいな会議を繰り返すようになる。

本末転倒もいいところなんですが、ただ、「会社」というのは、少しでも気を抜いたら、そっちの方向に進んでしまう性質を持っている。
僕らは、このことを自覚しておく必要があると思います。

「もともとの目的」にアプローチが合っているのか、定期的な見直しが必要

やっぱり、「定期的な見直し」が必要なんだと思います。
「僕らは何の為に働いているのか?」「僕らの会社は何の為にあるのか?」という自問自答ですね。

健康な会社は、「野球を続ける為に何年間もグッズを売り続けてきたけど、今の時代は、グッズでマネタイズするのは効率的じゃないよね。やめよう」みたいな見直しを常にしている。

たとえば、「ライブのチケットって何の為に売ってるんだっけ?」みたいな問い。
「ライブを作って、お客さんに見てもらう為に、ライブのチケットを必死になって売っている」…というスタートがあって、ここに対して、多くの人が「チケットが売れた」「チケットが売れない」「こうすればチケットが売れるぞ〜」みたいな議論をしている中、
「いやいや、ライブを作って(より多くの人に)見てもらうことが目的なんだったら、スポンサーから広告費をもらって、ライブを制作して、それでお客さんには無料で見てもらいましょうよ」と提案したのが『テレビ』だと思うんですね。

もともとの目的から目を背けず、ちゃんと目的に対してアプローチをしている。

会社というのは、あれ(テレビがやったようなこと)を、やらなきゃいけないんだと思うのですが、なかなか難しいんですよね。
作っている側も「チケットを売ること」に慣れていれば、お客さんも「チケットを買うこと」に慣れているので、なかなか、そこに気がつきにくい。
なんなら、そこのやり方を見直したら、炎上したりする。
「ライブを無料で届けるなんて、良くない!」みたいな(笑)

絵本『えんとつ町のプペル』を全編無料公開した時も、そんな感じでした。
「そんなことをしたら、クリエイターが食いっぱぐれるだろ!」みたいな。

僕はよく「制作プロセスを販売する」みたいなことをしているのですが…たとえば、Aという作品の雛形を作るのに「100万円」が必要だとして(一旦、原価とかもろもろを抜きにして)、その作品を刷って、一個2000円で販売するなら、500個売らなきゃ採算がとれない。

でも、希少価値で考えると、完成品よりも、「製作中のもの」の方が希少価値が高いじゃないですか?
完成した東京タワーはいつでも見れるけど、建築中の東京タワーは昭和33年に生きた人しか見ることができない。

であれば、希少価値が高い方でマネタイズした方が効率が良いですよね。
つまり、「制作過程を1万円で100人に売って、そこで採算が取れたので、完成品は無料」みたいな。

目的は「完成品を売ること」じゃなくて、「完成品を届けること」なわけだから、こういうところの見直しは、その時その時でやっていかなきゃいけない。

会社の話に戻すと、「そもそも何の為に社員を雇っていて、社員は何の為に働いているのか?」という問いですね。

会社には、必ず「もともとの目的」があるハズで、そこに対してのアプローチ(その目的を実現する為の方法)が、本当に今の方法で合っているのか?
このアプローチを疑うことを辞めちゃってはいないか?

これは考え続けなきゃいけないんだと思います。
とにもかくにも、「会社」というのは少しでも気を抜いたら「社員を養う為の組織」になる性質を持っている…ということは覚えておきましょう。

 

お知らせ!『西野亮廣講演会』全国各地で続々開催!

『西野亮廣講演会』のお知らせです。
全国各地で続々と開催が決まっています。
7月2日(土)に沖縄、
7月16日(土)に豊橋、
7月18日(月)に福岡、
8月7日(日)に東京、
8月20日(土)に熊本、
9月4日(日)に岐阜で、それぞれ『西野亮廣講演会』がございます。
私、西野亮廣がマイク一本で1時間半ほど喋る変なイベントです。
チケットをお求めの方は、『西野亮廣全国講演会』で検索してみてください。
サロンメンバーさんが作ってくださったイイ感じのホームページに飛びますので、そちらから。
会場によっては、まだ、チケットを発売してなかったりしますが、そのへんはご容赦ください。
講演会開催情報

よろしくお願いします。

 

お知らせ!『西野亮廣エンタメ研究所』法人会員スタート!

そして、もう一点。
僕が現在手掛けているエンタメの作り方や届け方をベースにして、毎朝2000文字程度の記事を投稿している『西野亮廣エンタメ研究所』というオンラインサロンがあるのですが、前々から、経営者さんから「ウチの社員に読ませたい!」という声を本当によくいただいていたので、「だったら法人向けのやつを作りましょう!」となりまして、このたび…
オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の法人会員がスタートしました。
#すでに110社を超える企業さんからお申し込みいただいております。
こちらは、1ライセンスあたり「980円」で、1ライセンスで一人招待できます。
僕が毎朝投稿している記事(過去記事も含む)を、Facebookアカウント無しでご覧いただけます。
記事の内容は主に「マーケティング」や「チームビルディング」や「ブランディング」といった…まぁ、仕事をしていく上では絶対に頭に叩き込んでおいた方がいいようなことを、せっせと書いています。
興味がある方はCHIMNEYTOWNのホームページからチェックしてみてください。
トップページの一番上(横にスライドするところ)に、お申込みフォームがあります。
西野亮廣エンタメ研究所 法人会員

よろしくお願いします。

 

西野亮廣氏ポートレイト

西野亮廣/Akihiro Nishino
1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。共著として『バカとつき合うな』。製作総指揮を務めた「映画 えんとつ町のプペル」は、映画デビュー作にして動員170万人、興行収入24億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たす。そのほか「アヌシー国際アニメーション映画祭2021」の長編映画コンペティション部門にノミネート、ロッテルダム国際映画祭クロージング作品として上映決定、第24回上海国際映画祭インターナショナル・パノラマ部門へ正式招待されるなど、海外でも注目を集めている。

●国内最大となる、約4万人の会員数を誇る有料会員制コミュニティー(オンラインサロン)「西野亮廣エンタメ研究所」はこちら
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連載 革命のファンファーレ2~現代の労働と報酬

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連載
『革命のファンファーレ』から『夢と金』

猛烈な勢いで仮説・検証・実行・改善を繰り返し、多彩なプロジェクトを成功させてきた西野亮廣さん。ベストセラー『夢と金』の著者でもあり、現代の日本において、ビジネスパーソンがベンチマークすべき人物の筆頭といえる西野さんの“今”をお届けする連載。

TEXT=西野亮廣

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