どんなスーパースターでも最初からそうだったわけではない。誰にでも雌伏の時期は存在しており、一つの試合やプレーがきっかけとなって才能が花開くというのもスポーツの世界ではよくあることである。そんな選手にとって大きなターニングポイントとなった瞬間にスポットを当てながら、スターとなる前夜とともに紹介していきたいと思う。連載コラム「スターたちの夜明け前」の年始特別総集編①
ダルビッシュ有
2004年選抜高校野球1回戦・熊本工戦
ダルビッシュの名前が野球界の間で聞かれるようになったのは中学3年とかなり早い段階だった。中学硬式野球のクラブチーム、全羽曳野ボーイズでエースとして活躍。当時から190㎝を超える長身と140キロを超えるストレートを誇り、高校野球関係者の間ではその進学先が大きな話題となっていた。最終的にダルビッシュが進学先に選んだのは地元大阪から遠く離れた宮城県の東北高校。入学した当時は2学年上に高井雄平(現ヤクルト)が高校ナンバーワン左腕として注目を集めていた――。
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山本由伸
2015年9月26日秋季高校野球宮崎県大会・延岡学園戦
現在のプロ野球で最も勢いのある若手投手となると、最も多くの人が名前を挙げるのが山本由伸(オリックス)ではないだろうか。プロ入り2年目の2018年から中継ぎとして一軍に定着。先発に転向した’19年は最優秀防御率、’20年は最多奪三振のタイトルを獲得している。今シーズンも開幕戦こそ負け投手になったものの、続く登板ではソフトバンクを相手に被安打2、13奪三振で完封という圧巻のピッチングを見せた。防御率0.78、25奪三振はいずれも4月11日終了時点でパ・リーグトップの成績である。
そんな山本だが高校時代は全国的に有名な選手ではなく、ドラフトの順位も4位とそこまで評価が高かったわけではない。ただそのプレーは当時から大きな可能性を感じさせるものだった。山本のピッチングを初めて見たのは’15年9月26日に行われた秋季高校野球宮崎県大会、対延岡学園戦だ。この日、山本は4番、ピッチャーで出場。’13年夏の甲子園で準優勝も果たしている県内屈指の強豪を相手に抜群のピッチングを披露する―-。
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前田健太
現在(2021年4月時点)、ダルビッシュ有(パドレス)と並んで、日本人メジャー投手の代表格と言えるのが前田健太(ツインズ)だ。昨年はナ・リーグのサイヤング賞投票では2位に選出。今シーズンも開幕投手を任せられるなど、完全にチームのエースと呼べる存在となっている。そんな前田の名前が全国的に知られるようになったのは2004年のことである。1年生ながら背番号11で夏の甲子園に出場し、初戦でいきなり先発を任せられたのだ。PL学園で背番号11の1年生投手ということで桑田真澄を連想させるということもあり、多くのメディアで『桑田二世』とも紹介されている。しかしこの時の前田は日大三を相手に打ち込まれたこともあって、個人的にはそれほど強く印象には残っていない。1年生にしてはセンスのある投手だなというのが正直な感想だった―-。
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